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418話 安堵
昔世界中でゾンビが発生した。
何処かの国の研究所からゾンビ菌が流出したらしい。
らしいと言うのは、その時引きこもりの僕はゲームに夢中で外で起きている事にまったく気が付かなかったから。
ゲームの途中トイレに行こうとした僕の耳に窓の外から人の断末魔の悲鳴が響き、何事かとマンションのベランダから下を見る。
僕の目に映ったのは道をノロノロと歩む沢山のゾンビと、そのゾンビに追い詰められ捕まり喰われる人の姿。
ゾンビが発生してから十数年、偶に聞こえていた人とゾンビの戦闘音やゾンビに襲われた人の悲鳴もここ数年聞こえない。
逆に立てこもっているマンションを取り囲むゾンビの数は、ドンドン増えていく。
ここら辺に立てこもっていた人たちは逃げるかゾンビに喰われるかしていなくなったのだろう。
でも何処かに生き残っている人はいる筈。
だって高速鉄道の高架線の上を沢山のゾンビが移動していくのが見えるから。
今、人類最後の1人となった男が高架線の出口を求めて彷徨くゾンビの群れを見て、安堵していた。




