135/531
売る
昔、私達が住むこの地方を大飢饉が襲い一家全滅が目前となったとき、子供を奴隷商に売った。
子供は泣き叫び必死に手を伸ばし助けを求めてきたが、背に腹は代えられず耳を塞ぎ、目を固く瞑り、子供が乗せられた奴隷商の馬車に背を向ける。
奴隷商の馬車が村を出て行き見えなくなってから、馬車が走り去った方向に向けて手を合わせ「どうか好い人に買われますように」と呟いた。
あれから数十年の年月が過ぎ、またこの地方を大飢饉が襲う。
私は今、前の大飢饉のあと生まれた子供に食材として近所の食堂に売り払われた。




