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勘違いがあったようです

 可愛らしく罵って成宮先輩は駆け足でホテルの中へと戻って行ってしまった。

 篠崎先生はため息をついてからゆっくりとホテルへ歩いて戻って行った。


「お二人はどのようなご関係なのでしょうか」

「さぁ?」


 おや、彼氏である統括もご存じない。

 とういうかこれって浮気現場となるのだろうか。

 別に罵ってただけだしなぁ。ただならぬ関係のようには見えたけど、見えただけだし。


「大丈夫ですか?」


 決定打はなくて、そう見えただけでも疑念はあるだろうし、不安に思うだろうと彼に声をかける。


「あ、ごめん。何か言った?」


 しかし、彼は何かを考え込んでいたのか私の声への反応が薄かった。

 やっぱり心配ですよね。


「あの、なんて言うか。はっきりしている訳ではないですし、こういったことは考えるより本人に確認するのが一番良いのではないかと」

「ちょっと待って。何のこと」


 うあぁぁぁ、申し訳ないです。

 私、恋愛については前も今も干からびてるのでまともなアドバイスが言えないんですよ!!


「えーっと、だからその、成宮先輩が浮気をしてると決定した訳ではないですし、成宮先輩について私が理解しているように言うのも烏滸がましいですが、短い付き合いの中でも良い人だと思いましたし、そんな不誠実な事をするような方には見えませんし、だから、大丈夫!…です」


 自分でも何を言っているのかわからんね!


「浮気…」

「あ、いや、その」


 そこだけとっちゃいました!?


「浮気。は、ないな」

「ですよね!」


 そうですよね!こんなにお似合いなのに私ったら何言ってるのかしらね!


「そもそも、付き合ってないからこれを浮気とは言えない」

「ですよね!付き合って……付き合って、ない?」

「ない」

「そ、それは統括と成宮先輩が、でしょうか」

「そう」


 え、そうなの!?

 だってあんなに周りでベストカップルだの美男美女カップルだのなんだの言われてるのに!?


「叶には好きな相手がいて、年上だから同学年に言い寄られたくないといって俺を盾にしているんだ」


 な ん だ と ?

 こんがらがってきたぞー?


「…話を整理してもよろしいでしょうか」

「どうぞ」

「まず、統括と成宮先輩はお付き合いをされてらっしゃらない」

「ないね」

「成宮先輩には片思いをしている年上の方がいらっしゃる」

「そう」

「成宮先輩は同じ年頃の人に言い寄られたくない。そして、統括はそんな周りから成宮先輩を守っていらっしゃる」

「まあ、そのあたりはお互い様だけど」


 彼と彼女様は両想いではなくて、けれど成宮先輩には想い人がいるにも関わらず彼は成宮先輩の盾として守っている。つまり………彼の片想いということか!!


「大丈夫です!」


 目の前にあった彼の手を掴み、両手で包み込む。

 私の行動に驚いている彼を見上げながら私は考えを改めていた。

 完璧な彼だって人間ですもの!

 悩みがないなんてないんです!


「私は統括を応援しております!」

「え?」


 大丈夫!成宮先輩だってきっと遠くの片想いより近くの想いに気が付いてくれるはず!

 これだけお似合いなお二人なのですから。


「微力にしかなりませんが、私も統括のお気持ちを支えて行こうと思います」

「ありが…とう?」

「あ、さすがにそろそろ戻らなくてはいけないですね。私では恋愛に関して頼りになる助言を出せませんが、むやみやたらと回転の速い脳はありますので作戦計画はいつでもご相談くださいませ!」


 チートは使ってなんぼですから!さあ、今は戻りましょう戻りましょう。

 掴んでいた手を離してホテル出入り口へ向かう。

 エントランスに明瀬総長が居たので、持ち場を離れてしまった事について謝ると気にしていないと手を振られた。

 どうやら私は統括のお手伝いに駆り出された事になっていたらしい。

 なるほど、彼からも言ってあるとはこういうことか。

 彼を見ると成宮先輩と打ち合わせを始めている。うんうん、お似合いだな。

 成宮先輩はやく気づいてくれないかなぁ。良い人は案外傍にいるものですよー。


「斎条さん」

「はい、明瀬総長。何かご入り用でございますか」

「いいえ。もう校外学習も後は帰るだけですからね。新たな指示はないわ。ただし、学園に戻ってから色々話は聞かせてもらうわよ」

「あー…はい」


 生徒にはばれない様に動いていたけれど、何か感づいているご様子。

 エントランスでちょいと暴れましたし、ドマッチョ(黒)に誤魔化しを任せてたし、いきなり統括のお手伝いに駆り出された事になっているし、感の良い人なら違和感ぐらいは気づきますよね。

 まあ、今は苦笑で流しておこう。


 それよりも、恋愛ってどうやって応援したらいいのという疑問で頭の中はいっぱいだ。

 人の恋路にちゃちゃを入れるのは苦手…というか、自ら進んでやったことがない。

 ガンバレと応援するのはいくらでも出来るけれど、それだけでは役に立ってない気がする。

 でも下手に手をだして応援が障害になってもいけないし…。

 うーんと考えながらちらりと明瀬総長を見て、その隣にいる副長を見る。

 高校生の悩みは高校生に相談するのが一番いい…かなぁ。

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