139 成長したミナトとタロ
地の大精霊モグモグを助けてから、一か月が経った。
ミナト達は、まだもふもふ氷竜村にいた。
「りゃあああ~」
「ルクス、いい気合いの入れ方であるな! その調子であるぞ!」「ばうばう」「ぴぃ」「ぴぎ」
「ふわちゃああ」
「ミナト! ブレスが口から出ておるぞ! 手から出すのだ!」「わあぅ~」「ぴぴ」「ぴぃぎ」
午前中、ミナトとルクスは、氷竜王グラキアスに竜の戦い方を教えてもらうのが日課だった。
ルクスは古代竜の聖獣だがまだ幼いので、魔力の扱い方といった基礎を習う必要があるのだ。
「ルクス! 休憩中も、魔力を体の中で、ぐるぐるまわすのだ!」
「りゃむ~」
「うむ! 魔力を回すと活性化するゆえな! 寝ているとき以外ずっと回すといいのだ」
グラキアスはルクスに対しての指導に特に熱が入っている。
「ルクスは筋が良いのだ! 将来が楽しみであるな!」
「りゃむりゃむ!」
「その調子で魔力を活性化したら、きっと近いうちに人型にもなれるのだ!」
それを聞いたミナトが、手から氷ブレスを出しながら尋ねる。
「ねね。人になるには魔力を活性化しないとだめなの?」
「そうだな。というか、姿を変化するには魔力を活性化する必要があるのだ」
「ふむふむ?」
「よいか? 姿を変えるには、肉体を魔力的な物へ一度変換させた後に行う必要があるのだ」
「なるほど~」
物理的な存在から、物理的な存在へは直接かえることはできないということかもしれない。
「じゃあ、僕も魔力を活性化したら、竜になれるようになる?」「ばうばう?」
タロも竜になりたいようだ。
「それは難しい。特殊な魔法ゆえなー」
「そっかー」「わふ~」
ミナト達の横ではタロと不死鳥のピッピ、スライムのフルフルが懸命に応援していた。
「がうがう」
「んにゃ?」
その近くで、白虎の聖獣の子であるコトラは姉の虎3号に戦い方を教えてもらい、
「ふんふんふん!」
「コリン! なかなか良くなってきたぞ! その調子だ!」
子供だがコボルトの勇者であるコリンはジルベルトに戦い方を教えてもらっている。
「よし! 今日はここまででよかろう!」
「ありがとうございました!」「りゃりゃ~」
グラキアスが終わりを宣言し、訓練は終わりになる。
ミナト達が訓練を終えると、コリンやコトラの訓練も自然と終わる。
「疲れたです」「んにゃ~」
「ね、疲れたね。でも楽しいね」「りゃあ~」
「ばうばうばう」
地面に座って水を飲む子供達の顔をタロがベロベロ舐めて、ねぎらっている。
「ぴぎ!」
フルフルは、一番疲れているコリンの足を全身でもみもみしはじめた。
「フルフル、いつもありがとです! きもちいいです」
そして、ピッピはコトラの背中に乗る。
「にゃ~」
コトラはありがと、とお礼を言った。
不死鳥のピッピは暖かい体を使って、コトラの血行をよくして、疲労回復を早めているのだ。
ちなみにミナトは、ほとんど疲れてないし、筋肉痛にもならないので安心だった。
「コリンは相変わらず筋がいいな。成長著しいぞ」
「そうです? えへへ~」
コボルトの勇者、つまり至高神の聖者の一人であるコリンは、成長が早いのだ。
「ルクスもいい吠え方であったぞ! ミナトもほとんど完璧であるな」
「りゃりゃ~」「そっかー、えへへ」
「がう」
「にゃ~」
師匠達に褒められて、子供達は嬉しそうだ。
「お昼ご飯食べたらなにしよっか」
「んー。家を建てるのも終わったし、開墾作業とかも大体おわったですし……」
一か月の間に、もふもふ氷竜村は、大きく変わった。
しっかりとした家がいくつも建って、来年に向けて畑や果樹園が手入れされた。
それをミナト達や、魔猪達、それに氷竜であるレックスやグラキアスも手伝ったのだ。
「今日は鉱山に行く用事も無いですし……」
コボルト達は、数日おきにあんパンやレトル薬を鉱山に売りにいくのだ。
あんパンもレトル薬も、鉱夫達に評判が良く、その評判は口コミで街の方に広がっている。
「昨日、鉱山いったもんね」
ミナト達も、コボルト達といっしょに鉱山に行くことが多い。
モグモグと遊んだり、祠を作ったり、鉱山周辺の聖獣と契約したりするためだ。
「じゃあ、今日は神像でもつくろっか?」
「ばう~」
ミナトとタロは神像作りが好きなので、空いた時間があればいつも作っているのだ。
最近では、至高神像とサラキア像の他に、コボルト神像まで作っていた。
ちなみにコボルト神像はミナト作なので、できが非常に良い。
かなり可愛いタロに似た犬の像となっている。
「タロも上手になったもんね!」
「ばう~」
タロは誇らしげに尻尾を振るが、タロの至高神像作りの腕前はまだまだだった。
それでも、以前よりはましになり、こけしっぽくなってきている。
「僕はレトル薬を作るですよ!」
作業を始めようとするミナト達に、グラキアスが言う。
「神像作りの前に、そろそろステータスの確認をした方がいいのではないか?」
「あ! そうだね! 最後に確認したのって、グラキアスと契約した後だものね」
早速、ミナトが、神具であるサラキアの書を取り出すと、皆は目をそらす。
人のステータスを見るのは、マナー違反だからだ。
「みてもいいのにー」
「ばう~」
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ミナト(男/5才)
HP:758/758→864 MP:1027/1027→1691
体力:720→782 魔力:931→1626 筋力:733→803 敏捷:702→797
スキル
「使徒たる者」
・全属性魔法スキルLv35→43 ・神聖魔法Lv52→63 ・解呪、瘴気払いLv120→132
・聖獣、精霊と契約し力を借りることができる ・言語理解・成長限界なし ・成長速度+
「聖獣・精霊たちと契約せし者」
・悪しき者特効Lv375→401
・火炎無効(不死鳥) ・火魔法(不死鳥)Lv136→139
・隠れる者(鼠)Lv73→98 ・索敵(雀)Lv45→49 ・帰巣本能(鳩)Lv29→31 ・鷹の目(鷹)Lv76→78
・追跡者(狐)Lv85→108 ・走り続ける者(狼)Lv58→63 ・突進(猪)Lv32→58
・登攀者(山羊)Lv27→30 ・剛力(熊)Lv142→186
・回避する者Lv63→70
・細工者Lv30→58 ・製薬スキルLv15→25 ・切り裂く者(虎)Lv61→83
・水魔法(大精霊:水)Lv143→145 ・水攻撃無効(大精霊:水)
・氷魔法(大精霊:氷)Lv130→143 ・氷結無効(大精霊:氷)
・毒無効 ・状態異常無効
・古代竜の威(古代竜)Lv5→8 ・氷ブレスLv8→8(氷竜) ・竜の咆哮Lv5→8(氷竜)
NEW
・地中探査(大精霊:地)Lv35 ・土操作(大精霊:地)Lv28 ・地魔法(大精霊:地)Lv128
契約者
聖獣269体+14体
・不死鳥2羽 ・ネズミ70匹→75匹 ・雀42羽 ・鳩25羽 ・鷹10羽 ・狐12匹→15匹
・狼5頭→7頭 ・猪3頭 ・ヤギ2頭 ・熊9頭→11頭 ・虎8頭→10頭 ・スライム20匹 ・コボルト30人
・古代竜一頭 ・氷竜一頭
精霊3体
・湖の大精霊メルデ
・氷の大精霊モナカ
NEW
・地の大精霊モグモグ
称号:サラキアの使徒
持ち物:サラキアの書、サラキアの装備(ナイフ、衣服一式、首飾り、靴、鞄)
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「おおー、強くなってる!」
「ばうばう」
タロはさすがミナトと言って喜んでいる。
この一か月で契約したのはネズミ五匹、狐三匹、狼二頭、熊二頭、虎二頭の計十四体の聖獣だ。
聖獣との契約分以外にも、スキルを使用したことによる成長分などもある。
【細工者】と【製薬スキル】が上がっているのは、ほぼ毎日の神像作りとレトル薬作りの成果だ。
「ばう~」
「タロのステータスも見てみよっか」
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タロ(男/5才)※成長度は3か月の子犬に相当
HP:9210→9523/9210→9523 MP:3045→3329/3045→3329
体力:9025→9318 魔力:6890→7003 筋力:7250→7368 敏捷:6940→7034
スキル
「神獣たる者」
・全属性魔法Lv92→94 ・ステータスにプラス補正
「強くて大きな体」(とても強い)
称号:至高神の神獣
持ち物:至高神の首輪
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「タロは強いねぇ」
「ばう~」
タロは元々強いのに、さらに成長しているのだった。





