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行き遅れた領主の娘の婚姻譚◆

作者：百坂陸様

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【あらすじ】

イルメルサは領主の娘。魔力もなく行き遅れていたが、王命により、父よりも年上のガウディール領主と婚約することになった。

婚約式に臨むため、ガウディールに向かった彼女は、途中の森で盗賊に襲われ、供のものを殺され、自身も胸に矢を受ける。深夜魔物にも襲われ死を覚悟した彼女を助けたのは、森に不法に居住している若い魔術師の男だった。

【感想】

二晩かけて一気読みしましたぁ！面白かった！

生き物なら何にでも魔力が宿る世界で、魔力がないために人々から蔑まれ、行き遅れたイルメルサ。

しかし愛する家族のため、老年のガウディール領主に嫁ぐことになります。

その移動の途中、イルメルサは盗賊に襲われ負傷し、森に住む魔術師ラスティに助けられます。

ラスティとは互いに反発しあいますが、イルメルサにとって彼の住みかは意外に心地良く、飼い犬ジーンとも仲良しに。

しかし虐げられると分かっていても、生存した以上は嫁ぎ先に行かねばならず、彼女はラスティの元を去っていきます。

そして、ガウディール領主バルバロスとの婚約をすませたイルメルサの元に、森で出会ったラスティが身分を偽って再び現れる……というのが大筋。

魔力がない体質ゆえに軽んじられ、秘密の研究に巻き込まれるなど、ひどい目に合うヒロイン。でも気丈で気高く、家族思い。

歯に衣着せぬ物言いのヒーローに、イルメルサは最初こそ反発しますが、危険をおかして陰ながら助けてくれる彼に次第に惹かれていきます。

ヒーローは誰に対しても率直すぎる性格だけど、本質的に優しいんですよね。その上、ピンチに駆けつけてくれたら惚れないわけない。

犬のジーンもめっさかわいいです。モフモフは癒し。

あと、ガウディール領主バルバロスはマジクズです。こんな悪役らしい悪役も珍しい……

とっとと成敗されろと思いながら読んでました。

途中辛いシーンも多いのですが、最後はハッピーエンドで良かった。シリアス寄りの恋愛ファンタジー。

全93話。