共有される情報
昨日は須藤さんと昼から夜までしこたま飲み明かしたけど、今日も元気いっぱい木原譲二です。
おっと安心してほしい、念のための二日酔い対策にちゃんと酒を飲みながらもチェイサーをしっかり飲んでいた。飲みの〆には味噌バターコーンラーメンを大盛で平らげたし、寝る前にはしじみの味噌汁も飲んだ。そのおかげで――
「あー、素晴らしきビュッフェ形式……見て選んで取るの楽しい……」
「ジョージ!ツギアレ!」
「はいはい、ほうれん草のお浸しね。俺は……おっ卵焼き――甘いやつか、ならいいや。鮭の切り身にしよ」
こうして早朝から朝食ビュッフェに突撃している。早朝だからか他に食事に来ている客はまばらなので気楽に選ばせてもらっている。いろんな皿を見て回ってはオーロラのリクエストを聞いたり俺の食べたいものを皿に盛っていく。久しく味わっていなかったね、この楽しさは。
綺麗に皿が埋まったら一旦そこで切り上げ、確保していたテーブルに戻り食事に入る。もし視聴者たちが見たら『ジョージとオーロラちゃんのくせに大盛じゃない!?』とか言いそうだけど、流石の俺も他の人のこと考えてほどほどに取るわ。
温かいお茶と共に鮭の切り身、切り干し大根の煮物などを食べていく。うん、安定した美味さでいくらでも食べることが出来てしまいそうだ。
いくらといえば朝食ビュッフェにもいくらが並んでいたのはやはり北海道だからか?噂には聞いていたけどいざ実際に目の当たりにすると一瞬フリーズしてしまったぞ。折角なのでいくら丼にして食べたが。
よし、ある程度腹は膨れたな。それじゃあ準備してからネイムル牧場ダンジョンへ向かうとする――ん?どうしたオーロラ。あ、そうか!カレー食べるの忘れてた!いかんいかん、朝食ビュッフェはカレーも美味いんだった。ナイスオーロラ。
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「おはようございます、木原様。本日もよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
はい、やってきましたネイムル牧場ダンジョン。早速受付に向かい、職員と挨拶を交わしてダンジョンに入る手続きを進める。そういやビュッフェにも受付に行くまでも須藤さんいなかったな。まだホテルで寝ているのだろうか。
「木原様、昨日お預かりしましたウォーハンマータイプのゴーストウェポンですが、お受け渡しが可能となっております。そしてこちらが鑑定書となりますが――おめでとうございます、スキル持ちでした」
「おっ、マジすか」
ワイルドオークジェネラルが装備していたゴーストウェポンは通常個体のそれとは異なり、赤いオーラを纏っていた。そのことからもしかしてと僅かながら期待していたのだが、現実になるとは嬉しい限りだ。ただワイルドオークジェネラル、能力らしきもの使っていたっけ……?
まぁいいかと職員から受け取った鑑定書を確認してみる。はいはい、元ゴーストウェポン云々は飛ばして……えーっと?スキル"空打"?使用者の魔力を消費して殴れないものを殴れる?……なぁにそれぇ。
念のため職員に確認してみたが、やはり書類以上のことは分からないらしい。まぁこの人が鑑定したわけじゃないもんね。無茶を聞きました。
ま、仮に使えないスキルだったとて、ウォーハンマーが優秀であればいうことはないんですよ。昨日使ってみた感じは悪くなかったし。むしろ少し変なスキルがあるくらいが面白いかもしれないな。
じゃ、ウォーハンマーも確かに受け取ったわけだしダンジョンへ――え?まだ話すことがある?
「はい、昨日までの探索結果を共有させていただければと」
「あぁなるほど、それは助かります」
こうして職員から共有されたネイムル牧場ダンジョンの情報は以下の通りだ。
・ダンジョン内の天候は雪固定だが、降雪量は時間経過でランダムに変化する。ちらほら粉雪が降るときもあれば吹雪の場合もある
・現在確認済のモンスターはゴーストウェポン/ワイルドオーク/スノーウルフ/氷烏/グラキエル・ペンギオス/フォートレスマンモ
※ワイルドオークはワイルドオークキングも確認→討伐済→ダンジョン内の最終ボスの可能性は限りなく低い
※グラキエル・ペンギオスは皇帝級を確認→弱らせたが逃亡
※ゴーストウェポンの近縁種と思しき巨大な手甲のモンスターを確認→討伐完了後、オーラの色が赤から紫に代わり急に再度動き始め逃亡
・雪の下は草原を確認。除雪して一時的に露わにすることは可能だが一定時間経過すると、地面から雪が沸き元通りになる。継続して地面を確保するには常に除雪する必要あり
・雪の下の草原には薬草も生えていることを確認。他ダンジョンに生えている同種よりも軽微だが薬効が高いことを確認
・ダンジョン内のいくつかの樹木には実が成っていることを確認。しかし、確保しようとすると木の上の雪が落ちてくるので採り方を工夫する必要あり
・積雪の中には罠は確認されず。しかしスノーウルフなど雪に擬態して隠れているモンスターはいるので注意は必要
といった感じだ。なるほど、除雪してみるとか発想はなかったな……やっぱり調査を専門とした冒険者とかもいるんだろうか。なんかゲームの検証班みたいだな。にしても地面から雪が沸いてくるのもまたすごい話だな。流石ダンジョン。
とはいえ情報がもらえたのはありがたい話だね。逃亡したボスらしきモンスターとか色々気になることはあるが……今日はモンスター以外の食べるものがないかを重点的に探してみるのもいいかもしれないな。
職員に感謝を述べ、改めて手渡された撮影ドローンを起動しネイムル牧場ダンジョンに入場する。さて、雪の降る加減はちょくちょく変わるらしいが一体どれくらい――吹雪いていました。
「うおっ――!?」
なんか服がズボッてしたかと思えば、オーロラが「サムイ」と文句を言う暇もなく突っ込んできたようだ。今日もこれですか……?今日は多分オーロラの探索もそれなりに必要になってくるからほどほどにね?
■鑑定結果
ウォーハンマー(無銘)
元ゴーストウェポンの武器のため銘はない。複数の金属を混ぜ合わせた合金だが、その内容は不明。
既にゴーストウェポンとしては活動を停止しており、その分ほんの僅かながら軽くなっている。
スキル:空打
使用者の魔力を消費して殴れないものを殴れるようになる




