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TSエルフさんの酒飲み配信~たくさん飲むからってドワーフじゃないからな!?~  作者:


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【麺】これはなんでしょう【麺】

 この世には似てはいるが"作り方"や"文化背景"で名前やスタイルが変わる料理というものが多々存在する。炒飯と焼き飯、炊き込みご飯と混ぜご飯、たこ焼きと明石焼きといった風にだ。

 今日の料理もそれに漏れず類似する他の料理があるのだが――


『ほう、油そばですか』

『いやこれまぜそばだろ』

『いやいや汁なし担々麵だろ』


 名前を出さずにとりあえず、丼の中に入ったその料理を視聴者に見せたら大体3つの料理名が流れた。まぁ気持ちは分からんでもない。俺だって事前情報なしにこのタレの油を纏って光沢を放った中太麺の上に刻みネギやら韓国のりやら振りかけられ、さらには立派なチャーシューが何枚も添えられたこの料理を出されたら、汁なし担々麵以外の2つで迷っていたかもしれない。


 ただこのまま視聴者たちが論争を続けていれば論争をしていない視聴者が純粋に楽しめないだろうから、ここは俺がこの悲しき争いに終止符を打たなければな。

 ……でもその止める作業をしていては折角のこの湯気がもうもうと立ち昇るこの料理が冷めてしまうな。それはよろしくない。というかそちらの方が重大である。


「オーロラ」

「ウン」


 俺達が交わす言葉はそれだけでいい。未だ争いを続ける視聴者達を尻目に俺達は人知れず、丼に入った麺及び具材たちをよく混ぜる。次にビールの入ったコップを互いに合わせることで打ち鳴らし、軽く一飲み――そして水分を得たことで滑りが良くなった口、そして唇で中太麺を――啜る!


 あぁ、なんということだろう。その料理にはスープと呼べるほどの汁が入っていないはずなのに、ごま油でコーティングされているからだろう、スルスルと口の中に吸い込まれていくではないか。うおォん、俺はまるで掃除機ハイエルフだ。ゴミ吸い取る方じゃなくて電源コード巻き取る方。


「ア゛ーッ、ビールに合うな……」

「ンググ!」


 オーロラは……うん、満足そうだ。それにオーロラの吸引力も一切の淀みがない。思えば初めてオーロラがラーメンを食べた時は……いや、最初から啜れましたねオーロラさん。啜るのに磨きが掛かっちゃってますよ。


『え』

『あの』

『美味しいか?』

『俺達がOHANASHIしている間に何食べてんだ』


 さて、一旦啜ってとりあえずは満足。まだまだ麺は残っているがそろそろ言っておかないと視聴者たちがもはや論争どころか何も言わずに食べ始めた俺達に対して困惑のコメントを投げかけている。あ、ハイ美味しゅうございます。

 これを食べた後は少々唇がギトギトするのが難点なんだよな。ティッシュで唇拭いてと――


「これ油そばです」

『アッハイ』

『なんでちょっとキメ顔なんだよ』

『毒味役かな?』

「失敬な、誰が好き好んで毒を食うものかよ」

「ホントだよネー」

『あの辛鍋食っといてよく言う』


 辛味は毒じゃないって言ってるだろうが。

 まぁそういうことで、俺達が今回食べているのは油そばだ。ちなみに俺自身、汁なし担々麵はともかくとして、油そば・まぜそばの明確な違いはよく分からないが、油そばを食べたいから油そばのレシピを調べてほとんどその通りに作ったから油そばで間違いない――ハズだ。


「んじゃ、一通りスタンダードな味を楽しんだところで、味変タイムといきましょうか。はいこれ」

「キター!」


 画面外から取り寄せたのは黄緑色のペースト状の物体が入ったタッパーだ。これの正体をしっているオーロラは待っていましたとばかりに手を叩いてその登場を喜んだ。パカッと蓋を開けると放たれる中々に刺激的な香り。青葉のように鮮烈で、舌先が微かにしびれる香りがする山椒をさらに鋭くしたような感じだ。


 俺はそのペーストをスプーンで掬い上げ、油そばの上に乗せて全体的によく馴染むよう、しっかりとかき混ぜる。フハハ、馴染む。実に馴染むぞ!そうだ、オーロラもよく混ぜるんだぞ!

 おぉ、ペーストを混ぜたことによって麺も全体的に黄緑を帯びたな。おほーっ、香りも交わってこれはこれは……いいですねぇ。では一口――


「「!?」」

『おわっ』

『一瞬ジョージの目の中に星が見えた』


 これはどう表現すればいいのか……頭の中で花火が打ち上げられた?バットで後頭部を殴られた?そんな錯覚を覚えるほどにペーストを混ぜただけで油そばは味わいを一変させた。なんだか背筋がヒヤッとするような気もしている。オーロラも苦しくはないようだが、衝撃的な体験だったようで口を一文字に引き締めてピクピクと震えている。


『え、なに混ぜたん』

『今日俺ら置いてけぼりだな』

『それはいつもそうでは?』

『そうかな……そうかも……』

『山椒?』

「いや、麻痺草をペーストにしたやつ」


 あれ、コメントが流れなくなったな。システム不具合でも発生したかな?ちょっともー運営さん頑張ってよねー……って――


『ほぼ毒草じゃねぇか!』

『用法用量を守って正しくお使いください』

『まだパクチー食ってた方が分かる』

『頼むから大葉ジャンキーだけにしておいてくれ』

『※このハイエルフと妖精は特殊な訓練を受けています』

『バケモンバケモン』


 ……あぁ、どうやら怒涛のコメントの書き込みによって排出がつっかかっていたようだな。HAHAHA、不具合じゃなくてよかったよかった。ところで大葉ジャンキーとバケモン言った奴は屋上な?久々にキレてはないけど。

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― 新着の感想 ―
> 毒味役かな? 某あのアニメのシーン思い出した 麻痺草の流れの前振りか( ˘ω˘ )w
いやジョージさんはジャンキーでしょうし化物ですよww まぁ一般人としてはって注釈を付ける必要はあるから、逸般人としては“まだ”大人しい方なのかも?
まあ、薩摩の武士は河豚を箸先で突付いて、その毒を舐めて楽しんでいたそうですよ。 そんな遊びをするのなら、長州(山口県)の職人みたいに毒抜き方法を模索すればいいものを(笑) なお、日本人って毒素材を食す…
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