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TSエルフさんの酒飲み配信~たくさん飲むからってドワーフじゃないからな!?~  作者:


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別に倒さなくても構わんのだろう?

 叫びたい気分だけれど、今叫ぶわけにはいかない。とりあえず助けに行く――前に連絡しなきゃ!俺はスマホを取り出し、登録していた番号に電話を掛ける。出ろよ出ろよ……?


『はい、こちら戸中山ダンジョンですー』


 ――出たッ!この声は友風さんだな!?話が早い人で助かる。大声を出したい気持ちを押し殺して極めて冷静に、小声で話し始める。


「友風さん、俺だ。木原譲二だ。」

『あれ?ジョージさん?どうしたんですか?トラブルでも起きました?ファッションショー見たいんですからしっかりしてくださいよ?』


 ちょっと待て。俺、友風さんに直接配信でファッションショーするなんて言ってないよね?まさかコイツ、業務中に配信見ていたんじゃないだろうな!?おい、公務員だろお前!来る人少ないかもしれんけど仕事しろよ!じゃなくて!


「緊急事態だ。アカオオダイショウが麓に現れた。今、冒険者2人を追いかけてる」

『はぁっ!?』


 電話口から驚きの声が聞こえる。アカオオダイショウに気付かれまいか焦ったが、奴は標的である冒険者から目を離していない。バレてはいないようだな……


『……すいません、取り乱しました。アカオオダイショウ、間違いありませんね?』

「出来れば見間違いであって欲しかった。俺はこれから冒険者を助けに行くけど……アカオオダイショウに太刀打ちできるか分からない。応援要請してもらえる?」

『それは……すみません、お願いできますでしょうか。』


 とても悔しそうな、申し訳なさそうな声が聞こえる。大方、他人の目を避けてきた俺が緊急事態とは言え誰かの目に留まってしまうことに引け目を感じているのだろう。……いや、引け目感じる必要ないでしょ。確かに人目は避けてきたけれど、それと人命を天秤にかけることは俺にはできない。


「任せて」


 そう伝え、電話を切る。そんでもって少し深呼吸。逸る鼓動を抑え、肩に止まるオーロラに視線を向ける。


「オーロラ、ごめんな。少しばかり騒がしくなるかもしれない」

「――!」


 え?どんとこい?あ、はい。別に騒がしくなっても俺と一緒で楽しければいいと。やっべぇ、オーロラさん漢気がありすぎる。女性型らしくお胸があるのに男らし過ぎる。

 だけど、うん!覚悟完了だ。オーロラがこんなにも漢らしいんだ。元男である俺が漢らしくなくてどうするんだ。まずは、冒険者2人に向いているアカオオダイショウの意識を引きはがす!となれば効果的なのは音だ。Aカードから爆竹とチャッカマンを取り出し、点火!それを思いきり空に向かってぶん投げる!

 当然のことながら、放り投げられた爆竹は爆発し、激しい音を立てる。


「シューッルルルル」

「「ヘァッ!?」」


 あーうん、そうだよね。いきなりの爆竹。冒険者2人も驚かないわけないよね。ごめんごめん驚かせちゃって。でもこれ君たちを助けるためだから。その証拠にアカオオダイショウが冒険者2人から目を離し爆竹が爆発した空に視線を向ける。

 その隙を俺は見逃さない!思いきり地面を踏みしめ、走る!アカオオダイショウとの距離を詰め、その顔面をぶん殴る!――あらやだこいつの肌冷ッとするわ。


「うぇああああ!?」

「た、助けぇ!?」


 分かるよ、絶体絶命の危機の時にいきなり爆発音が聞こえたらエルフが出てきてアカオオダイショウぶん殴ってるんだもん。情報量がとんでもないよな。感情がごちゃ混ぜになるよな。でもだからってそこで震えてもらっちゃ困るんだわ。


「ここは俺が引き受けるから逃げろ!」

「「は、はいぃ!?」」


 こんな時じゃないと言えないセリフナンバーワンですね、これは。だが、効果は抜群のようで、2人は覚束ない足取りながらも離れていく。残されたのは俺とオーロラ、そしてぶん殴りの衝撃から我に返ったアカオオダイショウ。……手加減なしにぶん殴ったつもりなんだけどピンピンしてるなこいつ。

 おっと、一瞬逃げた2人に視線を向けたものだから追うのかと思ったらすぐに興味を失くしたかのようにその目を逸らし――俺たちに向ける。ははぁん?ロックオンされたな?ふふん、だが残念だったなぁ、アカオオダイショウ!こっちには状態異常のエキスパートオーロラさんがいるんだぞ!お前なんて眠らせて一目散に逃げてやる!


「オーロラさん、あいつを眠らせたりとか出来る?」

「――!」


 え?無理?マ?掛けられてもすぐに解除されるから無意味?そっかぁ……頼りにしてた感はあったんだけど……仕方ない。虎の子。本当に虎の子なんだけど――!Aカードから取り出したそれを奴に向けて投げつける。

 エルフ化によって強化された肩で投擲されたそれは銀色の口を大きく広げアカオオダイショウの鼻っ柱に思いきり噛みつく!


「シュルル――!?」


 突然の痛みにアカオオダイショウが頭を振るが、噛みついたそいつはそう簡単には離れないぞ。そいつは俺の狩りをこれまでずっと支えてきたんだ、生半可な力では外れない――噛みついたそれの正体は、ご存じトラバサミだ!

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― 新着の感想 ―
[一言] トラバサミを相手にシュゥゥゥ!!! 超、エキサイティン!!! ……攻撃の見た目は入れ歯飛ばしアタックみたいだな……
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