新井式回転抽選器
回転寿司のいいところって安く美味しい寿司が食べられるってのもあるんだけど、所謂邪道寿司が食べられるところもあるよな。俺が今食べている炙りサーモンマヨ寿司もその一つだ。この寿司にあるまじきこってり感!それを熱々の緑茶で流し込む感覚たまらねぇ……!
「オーロラ、何か頼むか?」
「アレ!アレおいしそうだった!えーっとチーズの天ぷらの奴!」
「おぉいいじゃん。ってか酒はいいのか?結構種類あるぞ?」
今日俺は運転手だから当然お酒はNG。可能な限り身元バレ・家バレを防ぎたいから運転代行サービスも使用したくないから飲むつもりはないのだが、オーロラは別に飲んでも構わないんだよな。もしかして食べることに夢中で酒のことを忘れたのかと思って聞いてみたら、オーロラは首を横に振った。
「ンー、飲むときはジョージと飲みたいしイイノ!」
「オーロラ……っ!」
別に1人で飲んだとて気にしないのになんて優しい子なの……っ!帰ったら一緒にいっぱい酒飲もうな!いつも飲んでるけど!!!
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「フゥ~……」
「満足したか?」
「ヨはマンゾクじゃ!」
回転寿司から退店するとオーロラは俺の頭の上に乗る。見えはしないが、重さのかかり方や、声と共に聞こえてくるポンポンという音から、寝っ転がってお腹を叩いているのだろう。満足しているのなら何よりだが、その口調は某ヤマダを想起してしまうな。あっちは一人称「わえ」だけど。
オーロラを頭に載せたまま街を歩いていると、何やら行列が出来ていた。何事かと列の先頭を見てみるとガラガラ抽選会が行われていた。どうやら街総出で行われているイベントのようで、一定額の買い物をすると抽選券が貰えて、それを10枚集めることでガラガラが回せるそうだ。そういえば回転寿司で会計を終えた時になんか紙を貰ったけど……あぁ、やっぱりこれが抽選券か。
ふむ、回転寿司で貰えた抽選券は5枚か。ならあと5枚集めれば1回は引けるな。何かの縁だし引いてみるかな。ともすれば、残り5枚の抽選券を獲得しなければいけない訳だけど……そこら辺の店をぶらぶらしながら良さげなものが合ったら買うなり食べるなりすりゃいいか。
「ってな感じだけどオーロライケる?」
「ダイジョウブだよ!」
こうして俺とオーロラの繁華街めぐりが始まった。念のために言っておくけどオーロラ、食べるだけじゃないからね?雑貨とかも買うかもしれんからね?――お、アレなんか良さそうだな。
「りんご飴の専門店なんてあるのか……すごいな」
「オマツリの奴と違う!ココアの味がする!」
「この香り――玉露か!?どこだ、どこからする!?」
「ジョージ、リョクチャに目が無いよね……」
「ジョージ、このクッションスゴイ!シズム!」
「沈んでるなぁ……店員さん来そうだからそろそろ浮こうか。わぁ、妖精の型がとれた」
「へぇ、これ1つで千切りにおろしにスライスに水切りとかも出来んのか……買いだな」
「ジョージ、このオサラ買ってー」
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「よし、こんなもんだな」
「14マイになっちゃったね」
そう、色々興が乗って色んなものを購入していったらいつの間にか、抽選券を9枚も獲得していた。そうなれば、後6枚――は止めておこう。これ以上買うとそれこそ際限なく買ってしまいそうだ。恐ろしいのが、際限なく買えてしまうほど金があるからなぁ……ということでこんなところで一旦終了。列に並ぶことに。
そういや、この抽選会の景品ってなんだったっけな。いや、チラッと見えた気はしたんだけれどどうにも覚えてないんだよな。ここはオーロラに確認してもらいにと思ったところで列の前の方からけたたましい音がした。そしてその後に続くように人の声が。
「おめでとうございます!1等の旅行券5万円分当選いたしましたー!」
旅行券だったみたいだな。おぉ、落胆の声があちらこちらから聞こえてきた。まぁ抽選会の目玉だもんな。それが自分の前で当たったとなれば声を漏らしてしまう気持ちは分かる。しかし旅行券か、今の俺に当たっても処理に困る所だったから別の人に当たってよかった。
「ジョージ、出番キタよ!」
「ん、お願いしまーす」
「ハイ、10枚ですね。1回回してください」
しっかり抽選券が10枚ある事を確認したスタッフが俺をガラガラの前に誘導する。取っ手を掴み、その上にオーロラが覆いかぶさるように俺の手に抱き着く。これ、オーロラ視点だと中々キツそうだと思うのだが、当の本人がやりたいというのだからやらせてみることに。
ゆっくりと回すと、中の玉がミックスされガラガラと大きな音を立てる。そして一周半くらいしたころ、穴から玉が飛び出してきた。その色とは――緑。……緑?
「おめでとうございます!3等当たりでーす!」
「マジか」
「ヤッタねジョージ!」
まさか当たるとは……しかし3等か。3等は確か……あぁなるほど、これは配信で使えそうだ。中々に美味そうだし酒にも合いそうだ。




