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男だけど期間限定でアイドル♀活動してます  作者: ソラ・ルナ
第二部

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17話.買い物をして帰りました

 皆で一度動画を見た後、そのままSNSへと動画をアップロードした。

 『スターナイツ』のメンバーが監修している事を知っているから、というのもあるのだろうけれど、踊りの内容を悪く言う人は一人も居なかった。

 そうして僕やユリアは皆に踊りの指導をした。ユナは座って女子達に注意してくれてた。


 男女共に同じ内容なので、僕は男子を、ユリアとユナは女子を主に担当してくれた。

 まぁユリアは時々こっちに来て男子にも教えていたけれどね。


 その甲斐あって、今日一日でも皆結構踊れるようになっていた。


「あー、結構難しいな! これでも簡単な方なんだよな姫咲?」

「うん。でも所々少し難しい要素は確かに入れてるから、そこさえマスターすれば大丈夫だよ」

「そっか! 『スターナイツ』の皆と一緒に踊れるってだけでも感激だし、絶対覚えるぜ!」

「ああ! なぁ姫咲、ここのターンこれで合ってるか見てくれよ!」

「あ、ずりぃぞ! 姫咲、次は俺も見てくれ!」


 皆やる気に満ち溢れていて、上手くいかない所はすぐに聞きに来てくれるので、教えがいがある。


「むぅ、姫咲君に教えて貰えるなんて、皆どれだけ贅沢か分かってない……」

「クス。知らない者は仕方がないわユリア」

「ユナちゃん」

「では、お手本を私達で魅せましょうかユリア」

「!! うん!」


 突然手を叩く音が聞こえて、そちらに皆の視線が向く。

 そこには腰に手を当てて、ふんぞり返っていると言ったらあれだけど……いつものユナが立っていた。


「愚民共。これからこの私とユリアがお手本を見せてあげるわ。精々魅了されなさい」

「ふふ、頑張るね!」

「「「「「ワァァァァァッ!!」」」」」


 突然の二人の言葉に、クラスメイト達が歓声を上げた。

 なんだなんだと、他のクラスの人達も見に来ている始末だ。


「姫咲、貴方がセンターを務めなさい」

「え」


 周りを見ていたら、突然ユナに話を振られた。


「姫咲君はこの踊りを考えてくれた張本人だからね! 私達と一緒に踊ろうよ!」


 ユリアまでそう言う。

 周りを見るに、嫉妬5割興味5割といった所だろうか。

 しかし、ここは僕も断固として言おう。


「おおタクト、頑張れよ!」

「しし! ひっきーの踊りも楽しみだし!」

「よし、やるよ」


 単純な僕である。

 断る気満々だったのに、この二人にこう言われてしまっては仕方ない。


「よっしゃ! それじゃ音楽スタートするぜ!」


 博人の言葉で僕達は踊り始める。

 激しい踊りではないけれど、皆が踊りを楽しめるようにしっかりと考えて作った踊りだ。

 ユリアとユナは振り付けも当然ながら完璧で、何も言う事が無い。

 踊り終えて、皆のテンションが最高になったのを肌で感じた。

 それからはもう、放課後になるまでずっと皆練習していたのだった。


「ふぅー、今日は体力的にもめっちゃ疲れたなタクト!」

「あはは、そうだね」


 嘘である。僕はほとんど疲れていない。

 なんせ普段の練習量の方が凄まじく多いからね。

 あと、練習より本番の方がよっぽど体力が必要だし。

 僕の場合本物の女子ではないから、余計神経も使うのである。


「皆はこの後も練習するの?」

「ああ! 他のクラスの奴らはこれから練習だし、付き合ってやらねぇとな!」


 あー、そうか。

 他のクラスは他のクラスで出し物があるから、それプラス練習する事になるのか。


「ま、姫咲は気にすんなよ! 今日もいっぱい教わったし、明日また確認頼むぜ!」

「ん、了解」

「それじゃ行くかタクト!」

「なになに、どこに行くしヒロ」

「おおさっちゃん。タクトの買い出しの手伝いにな! みっちゃんがクラスの手伝いで行けないらしいから、俺が荷物持ち手伝ってやろうと思ってよ!」

「おー、放課後デートってやつだし!」

「男同士だぞさっちゃん!?」

「あーしはボーイズラブに理解がある方だし?」

「俺にはねぇよ!?」


 ちなみに僕にも無い。


「しし、冗談だし! それじゃ、あーしも一緒でも良いし? 嫌だと言ってもついてくつもりだけど!」

「さっちゃん……ええと、良いかタクト?」


 僕の返答なんて分かっているだろうに、律儀に聞いてくる博人に苦笑する。


「勿論構わないよ。博人と皐月さんはペアみたいなものだし」

「「///」」


 この二人はまっすぐにこう言うと顔を見合わせて照れるので面白い。


「ったく、かなわねぇなぁタクトには」

「しし、ひっきーのそういうとこ好きだし! それじゃ行こっか!」

「そうすっか! ほれタクト、行こうぜ!」


 二人共笑顔で僕を引っ張っていく。

 うん、僕はこの二人が好きだな。


 そうしていつも買い物をするスーパーへと辿り着いた。


「おー、相変わらずここのスーパーは人でいっぱいだな」

「だねー。夕方は割引されるからお得だし!」

「おおさっちゃん、主婦みたいな事を」

「あーしなんてまだまだだし! お惣菜の半額まで割引された時が戦争だし……」

「「……」」


 皐月さんのマジトーンに若干及び腰になる僕達。

 僕も特売の日とかに買いたいけど、中々予定が合わないんだよね。

 遅くの時間は美香に心配をかけるので、出かけない事にしているし。


「それでひっきー、何々買うし?」

「んっと、まずは野菜類を見て、そこから円を描くように見ていく事になるかな。大体それでレジに行く感じで必要な物は揃うから」

「マジで。俺まず菓子の所行くから、その感覚分かんねぇなぁ」

「ヒロはあーしが居るからそれで良いし!」

「お、おう」


 ホントこの二人は隙あらば惚気(のろけ)るんだから。

 まぁ、好きな二人のラブラブな姿というのは、見ても悪くないけどね。


「それじゃ、買い物の(かご)取ってから行くよ二人共」

「おう!」

「あれひっきー、手押しのあれは使わないの?」

「うん、大丈夫だよ」


 そう言って籠を両手にかける。

 大体美香が籠に商品を入れていくので、いつもこのスタイルだ。


「いやいや、それでどうやって商品入れるし」

「そういえば美香が居ないんだった。博人、任せて良い?」

「お、おう。良いけど、それなら籠一つ渡せって。何の為に来たのか分かんねぇじゃねぇか」

「あ、そうだったね。それじゃ半分お願いね博人」

「おう!」


 笑いながら籠を受け取る博人に、皐月さんも笑ってる。


「しし、なんか二人夫婦みたいだし!」

「さっちゃん、どうあっても俺達をBLの世界に引き込もうとしてるな?」

「僕はノーマルなので……」

「さりげなく自分だけ違うって言うなよタクト!? 俺だって違うからな!?」

「しししっ!」


 皐月さんも笑ってるので、冗談なのは分かっているのだけど。

 ……冗談だよね?


 それから買い物を済ませてスーパーの外へ。


「ぐぎぎ……お、おめぇ……タクト、毎回こんなに買い込んでるのか!?」

「まぁ大体?」

「ヒロ、ひっきーですら余裕で持ってるのに、ひ弱だし!」

「いやいやいや! 俺は力ある方だぜ!? タクトが見かけによらず力持ちすぎるんだよ!」

「えー。ひっきーって見た目ひょろいしー」


 うん、それは否定しない。

 僕は筋肉をつけても、それが表に現れないタイプなのだ。

 ピンク色の筋肉って言うんだったかな? 何かの書物で読んだのだけど、ボディビルダーのような見せる筋肉ではないんだよね。

 僕はトレーニングを毎日欠かしていないので、華奢に見えても筋肉はあるのだ。


「重たければ持つよ?」

「そんなトゥンクするような事を言うんじゃねぇタクト! 俺も男だ、持つに決まってんだろ!」


 まぁ、飲み物も結構入ってるので、結構な重さなのは間違いない。


「それじゃ行こっか。皐月さんはどうする? 家、僕とは反対側じゃなかった?」

「しし、気にしなくて良いし! 帰りはヒロに送ってもらうし!」

「そっか。それなら安心だね」

「おう、任せろよ! 女の子を一人で返したりしねぇよ!」


 博人らしくてつい笑ってしまう。


「ん……?」

「ど、どうかした?」

「ううん、気のせいだし。なんとなくなんだけどね、今のひっきーがレオナ様に被って見えた気がして……あはは、何言ってんだろうねあーし」


 どっきーん。

 普段から仲の良い二人には特に気をつけてるつもりだけど、こんな事からも。


「はは、何言ってんださっちゃん。タクトだぞ? レオナ様とは月とすっぽんだろ?」

「親友に向かってなんて言い草かな博人」

「いや、わりぃわりぃ。だけどさ、レオナ様と比べたら誰だってすっぽんだって」

「あはは、そんな気がしただけだから、気にしなくて良いし!」


 少し気まずい会話をしながら、家へと着いた。


「それじゃタクト、また明日学校でな!」

「また明日だし!」

「うん、二人とも付き合ってくれてありがとう。また明日学校でね」


 そう言って二人と別れ、僕は家へと入った。

 その後で二人がこんな会話をしていた事など、知る由もなく。


「……なぁさっちゃん。さっきのだけど」

「ん? なんだしヒロ」

「タクトがレオナ様に見えたっての」

「あー。一瞬だけね、そう見えたんだよね」

「それなんだけどよ。実はタクトってさ、レオナ様の兄妹だったりしねぇかな!?」

「な!?」

「だってよ、そうじゃねぇと踊りの礼だからってあんな動画撮ってくれたりするか? 見ず知らずの俺の為にだぜ?」

「それは、確かに……でも、それじゃ美香ちゃんは?」

「ほらあれだよ、腹違いの兄妹とか……」

「!! そんな、ひっきーにそんな辛い過去が……?」

「ああ。そんで公には会えないから、俺にも隠していたんだとしたら、辻褄が合うんだよな……」

「そっか、レオナ様との事、親友のヒロにも言ってなかったんだもんね。多分、この予想は真実だし……!」

「さっちゃん」

「ヒロ」

「「この事は誰にも」」


 二人は言って、頷いた。

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