訓練
どうも、からあげ大佐です。黄凰支部の3人が揃ってようやく本格的に物語が進みそうなくらいまではきました。今回は飯テロがあります。
朝が来た。
記憶を失ってから最初の朝。
初めて目覚めた時は森の中だったが、
今はベットの中だ、
優しい騎士団の人たちに助けられて、
本当に良かった。
エキナ「おーい!シナー!おはよー!起きてるー?起きて〜!」
ベットから体を起こした時、
タイミングよく扉の外から声がした。
シナ「今ちょうど起きたところだよ。」
エキナ「わかった!入るね!」
シナ「え?」
ベットから降りようとした時、
返事する間もなく。
エキナが扉を開けて入ってきた。
エキナ「シナおはよう!」
エキナは満面の笑みで元気よく挨拶をする。
人の部屋に入ることに躊躇がないのだろう。
シナは口を開けて驚きの表情で固まっている。
シナ「あ....あぁ...うん....おはよう....」
驚きを通り越して呆れた顔をしている。
シナの顔を不思議なそうな顔で覗き込む。
エキナ「シナ?どうかした?そんなことより朝だよ!ほらほら!起きて起きて起きて!」
時間にして大体6時半。
朝であれば時間は関係ないのだろう。
エキナは扉の外に出て勢いよく手招きをしている。
シナ「あ、あぁ、うん。ちょっと待ってて」
それを追いかけるように、
ベットから降り部屋から出る。
エキナ「ごはんーごはんー!」
ウキウキで階段を降りていくエキナを、
シナはゆっくり降りていく。
ゴルド「おー!シナ!昨日はよく眠れたかぁ?!がはは!まぁ!しらねぇ場所じゃあ熟睡なんてできねぇわなぁ!」
キッチンに立つゴルドが、
降りてきたシナを見て挨拶をしてくれる。
エキナ「えー!そんなことないよ!絶対ぐっすり眠れたって!」
先に降りていたエキナがシナの方を振り返る。
エキナ「ね!シナ!眠れたよね?」
シナ「えっ..あぁ...うん。よく...眠れたと思う...」
どっちも傷つかないように気を遣った。
はぁと軽くため息をつく、
その時、ふわっと美味しそうな匂いが。
シナの鼻の先をくすぐった。
シナ「...パン?」
2人「「おそぅ!腕にご飯よりかけてできたから朝飯を呼びに作ったからな行ったんだぁ!」」
シナの一言に対して、
2人が同時に口を開く。
声が大きいのも相まって、
何を言っているのか聞き取れなかった。
シナ「え、え?腕にご飯よりかけて??朝飯を呼びに作った??」
また困惑の表情を浮かべる。
なんだかいつも困惑しているような気もしてくる。
ゴルドがその大きな手で頭を掻きむしる。
ゴルド「まぁ、なんだ!シナの分もちゃぁんと用意してあるからな!座って食おうや!」
テーブルの上には、
ゴルドの手には小さいだろうが普通の手なら、
ちぎって食べるのにちょうどいい大きさのパンと、
豪快に焼かれ盛り付けられた分厚いベーコン。
簡単な味付けで炒められたスクランブルエッグ、
彩豊かなサラダの盛り合わせ、
豆とトマトのスープが置かれていた。
食べ切れるのか心配になるほど量が多い。
ふと思った。
シナ(あれ...料理のことは覚えているのか...)
考え込みぼーっと立っているシナを心配したのか。
エキナ「シナ?...食べないの?すわろーよー」
とエキナが呼んでくれた。
シナ「あ、あぁ。うん、座るよ」
考えていたことを一度忘れて顔を上げる。
ゴルドは体が大きいので2人分の椅子を使っている。
その反対側に座るエキナの隣の椅子を、
シナはここに座ってと言わんばかりに手招きをする。
そこに促されるようにシナは着席する。
ゴルド「それじゃあ食べようか!」
2人「「いただきまーす!」」
ゴルドとエキナがパンっと手を合わせる
遅れてシナも手を合わせる
シナ「い、いただきます」
とりあえずパンを一つ手に取り口に運ぶ。
一見固そうに見えるパンは思っていたほど硬くなく、
柔らかいパンだった。
スープに浸して食べることで、
より一層柔らかくなり、スープの味と絡み合い。
ちょうど良い甘さになった。
シナ「!...美味しい...」
肉厚で肉汁が溢れ出るベーコンは、塩味が濃く
噛めば噛むほどに口いっぱいに旨みが広がる。
その反面、簡単な味付けのスクランブルエッグは、
ふわふわ且つとろとろで
かみごたえのあるベーコンで、
疲れた顎でも優しく包み込む。
彩豊かなサラダは食卓に彩りを追加するだけでなく、
濃い味付けの多い食卓の中、口の中をリセットし、
また次、また次と食欲を回復させる。
エキナ「シナお腹空いてたんだね〜!」
ついつい無我夢中で食べていたのを、
エキナとゴルドが優しい顔で見ていた。
なんだか恥ずかしく思える。
シナ「ご..ごめん...つい...美味しくて...」
思わず食べる手を止める。
ゴルド「がはは!いいんだぞ!食える時に食いたいだけ食わなきゃやってられねェってもんよぉ!それにな!うめぇって言ってくれるのは作った方からすれば嬉しいもんさ!」
分厚いベーコンを鷲掴みにし、
豪快に噛みちぎりながらゴルドが言う。
エキナ「そーだよ!思う存分食べていいんだよ!」
エキナも勢いよく頷きながら、
シナにそう伝える。
シナ「わかった。ありがとう」
最初よりかはペースは落ちたが、
シナはまた食べることを再開した。
ゴルドは見ての通り想像通り、
豪快にたくさん食べ進める。
食器は使わずに手で直接掴んで食べる。
だが意地汚く見えることはなく、
逆に見ていて気持ちが良かった。
エキナは思っていたよりたくさん食べていた。
もしかするとゴルドより食べていたかもしれない、
一つ一つ丁寧に切り分け少しずつ口に運ぶ。
礼儀正しい食べ方だったが、
いや、明らかに食ってる量おかしいじゃん。
そうして各々食事を終え、手を合わせる。
3人「「「ごちそうさま」」」シナ「でした」
みんなでお皿や食器を片付ける。
全部片付け終わり一息ついた頃。
エキナ「ふー...ご飯おいしかった〜....あ!そうだ!」
ソファーに座るシナの隣に、
エキナが座り、両手でソファーをボフッと叩く。
エキナ「シナ!今日は何したい?何する?」
急に呼ばれてシナはビクッと驚く。
シナ「えー、なにをって言われてもなー...そ」
答えようとした時ゴルドが遮る。
ゴルド「エキナ!おめぇは今日見回りの担当だろうが!」
ニッと笑い、ドンっと自分の胸を叩く。
ゴルド「だから今日は俺がシナと出かける!」
相変わらずのでかい声、
エキナは一瞬ハッとした顔をしたが、
すぐ不満気な表情をして文句を言う。
エキナ「えー!!一日くらいいいじゃーん!!見回りも大事だけどさぁ....ゴルドずるいよー!私もシナと出かけたいー!」
ソファーに膝立ちになり、
後ろにいるゴルドの方を向いて、
ジタバタしている。
ゴルド「ダメだ!ほら、準備して行ってこい!」
大きな手でエキナを掴み、持ち上げて、
階段に向かって1階に投げる。
エキナ「ねー!えー!もー!!いってきまーす!!」
何か他にも文句を言っていたような気もするが、
渋々装備を身につけ、見回りに出て行った。
シナ「い、いいのか?あんな無理矢理....」
ゴルド「あー?いいんだよ、どうせちゃんと仕事はするからな」
手をぱんぱんっと払う。
ゴルド「さてと...シナ!お前も今日から騎士見習い。男たるもの強さを身につけるべきだ!そうだろう!」
ニカッというよりミガッ!というような顔で、
シナの方に振り向く。
シナ「え、強さ?」
机の上を片付けようと、
お皿を重ねていた手を止める。
シナ「強さ...ま、まぁ...あって損は無いと思う...けど」
大きな手を前に突き出し、
人差し指をピンっと立てる。
ゴルド「ならば!することは一つ!道具を持って裏の森へ行くぞ!」
シナ「......も、森????」
そしてまたもやゴルドはミガッと笑う。
〜〜〜移動中〜〜〜
住宅街を抜け、田畑を抜けた先。
黄凰を丸く囲う鬱蒼とした森、
木々が立ち込め、獣が走り回る。
生息する魔物もある一定の範囲であれば、
弱めとされる比較的安全な森。
ゴルド「よぉし!このあたりでいいな!」
木刀や真剣、多種多様な武具を持ったゴルド。
それに連れられてここにやってきたシナ。
シナ「森でやるのか...?なんかこう...訓練場的なのとかは...?」
辺りを見渡せば一体全て森。
木漏れ日が眩しく、心地よい。
元々シナが倒れていた場所とは反対側だからか、
穏やかと言うより、静かな悪寒といった感じ。
ゴルド「うちは田舎なのもあってか土地が無くてな!まぁこんなにもいい場所があんだ!わざわざ作る必要もねぇ!」
ドサっと荷物を地面に下ろし、
その中から一本の木剣を取り出す。
ゴルド「ほら!これを握ってみな!」
シナに向かって木剣を放る。
シナ「おぉわっとと...」
落としかけるがなんとかキャッチする。
ゴルド「どうだ?握り心地というか...しっくりするか?」
そう言われ握り方を変えてみたり、
向きを変えたり、木剣を動かしてみる。
シナ「うん、しっくりくるよ。特に変な感じはしないかな」
最初の青い剣のこともあってか、
初めて剣を握ったわけじゃないのだろう。
重いとか、辛いとの気持ちも無い。
シナ(....あれ...あの剣...どこいったんだ?....握ったまでの記憶はあるのに....)
シナ「.........」
ゴルド「...?...どうした?シナ、急に黙り込んで」
シナ「え、あぁ、なんでもない」
サッと顔を上げる。
ゴルドも木剣を握っていることに気づく、
片手で握っていても腕が大きいので、
少し小さく見える。
ゴルド「そうか...なら構えろ!!!」
構えろ!と叫ぶゴルド、
だが構える暇もなく、木剣を盾に振りかぶる。
ゴルとの巨体から放たれる一撃は、
当たればひとたまりもないだろう。
シナ「えぇ!?!」
シナは木剣を横向きに持ち、
真剣ならばできないが刃の部分を握り、
なんとかゴルドの攻撃を防ぐ。
木剣同士のぶつかる音が、
森中にこだまする。
シナ(急に?!てかおもっ!!)
ゴルド「おぉ!よく防いだなぁ!だが持つかなぁ?」
ゴルドはより一層力を強める。
どちらの木剣かはわからないが、
ミシミシと悲鳴が鳴く。
シナ「もたねぇよッッ!」
弾き返すのは不可能。
受け続けるのには限界がある、
ならば受け流すのみ。
シナは木剣を上方向にスライドさせる。
スライドと同時にゴルドの方向に体を進ませる。
木剣の勢いを利用し、ゴルドの股下へ滑る。
スライディングで通り抜けゴルドの後ろに周る。
ゴルド「おぉっ!」
受け流されたことでゴルドの木剣は地面に落ちる。
落ちると言うのは比喩表現である。
手を離したわけでもなく、腕が落ちたわけでもない。
地面に当たる衝撃で土が宙を舞ったのだ。
シナ「おい!そんなの当たったらひとたまりもないだろ!」
背後にまわり込んだシナは木剣を振り翳す。
シナ(ゴルドは体がでかい...胴体に打ち込んだも意味がない...だったら人体の急所!頭!)
シナ「おらぁ!!」
頭を狙って木剣を振るう。
この程度がダメージになるとは思ってはいない、
隙が作れればそれでよかった。
.....だが
ゴルド「ふんっっ!!」
バキィッ
防がれた音ではない、弾かれた音ではない。
この音は木剣がゴルドの右後頭部に、
当たった音だ。当たったどころか折れた。
見事真っ二つに。
シナ「え、えぇ??」
シナ(木剣だぞ??木剣、当たって硬い!ならまだしも...折れる?!)
ゴルド「いいじゃねぇか!シナ!!歯ぁ食いしばれよぉ!!」
ゴルドが回転するように振り向く、
左回りで回転する、後から見える右手には。
木剣は握られていなかった。
その代わり、大きな握り拳
その拳がシナの腹部をぶん殴る。
回転し、力を込めたその拳で、
シナは吹き飛び、木に激突。
シナ「おっごぉっっ!?!」
吹き飛んだシナは当然気絶、
また、森で気絶したのだ。
ゴルド「ふぅん....おっと...やりすぎちまったか?」
振り上げた拳をおろし、シナに近寄る。
シナは木を背もたれにするように気絶している。
ゴルド「....これは...すこし休ませれば目を覚ます...な。」
読んでくださりありがとうございます。いいね、ブクマ、感想をしてくれると励みになります。
6話はどうでしたか?飯テロとゴルドとの訓練、ゴルドのキャラクター像がわかってきてルナではないでしょうか。次の話もぜひ読んでくださいね




