出会い。深める
どうも、からあげ大佐です
創世輪廻譚の3話になります
黄凰にたどり着いた後のお話になります
話のストックが減ってきてるので急いで続きを書きます
それではどうぞ
黄凰の田畑の中の道を、
中心街を目指し2人は歩く。
エキナ「村って感じだけど結構広いでしょ!のんびりしてるしさ!」
手を後ろで組み、
スキップ混じりに歩きながらエキナが喋る。
シナ「うん、いいところだ。」
その隣を、少し後ろについて歩く。
整備された土の道は、
少し歩きにくいところもあるが、
柔らかくて、安心する。
道端の水路のそばには、
ところどころ草花が咲いている。
「あらぁ、エキナちゃん。そっちの人は彼氏さんかい?ようやくできたんだねぇ」
畑で作業をしていたお婆さんが、
2人に気付き声をかける。
エキナ「あ!おばあちゃんこんにちわー!」
それに気づいたエキナが両手で大きく手を振る。
エキナ「この人は彼氏じゃないよー!森で迷子になってたから連れてきたのー!」
シナの手を引っ張って前に出す。
それに合わせてシナも軽く会釈をする。
「おやぁ、そうだったのかい。それはすまないことをしたねぇ....エキナちゃんも早くいい人が見つかるといねぇ」
エキナ「はいはーい!じゃあまたねー!」
会話が長くなりそうなことを察知したのか、
エキナはお婆さんの言葉を遮って歩き出す。
シナ「えっあっじゃあすみません。失礼します」
シナもそれについていく。
エキナ「もー、おばあちゃんは私を見るたびに彼氏は〜とかいい人が〜とか結婚が〜って言ってくるんだよ〜!」
おばあさんに声が届かない距離まで来てから、
エキナが愚痴を言い始めた。
シナ「....あー...エキナのことをそれだけ可愛がってくれてるんじゃないか?」
エキナ「....どういうこと?」
エキナがシナの顔を覗き込む。
シナ「可愛い子がずっと1人より...早く安心できる人のところで身を固めて、守ってもらって欲しいんじゃない....のかな?って...」
んーっと少し悩んだような顔をして、
ニコッと笑顔になり口を開く。
「シナは私のこと可愛い。って思ってるんだー?」
赤い綺麗な髪がふわりと揺れる。
シナ「なっ!あっいやっ...そういうわけじゃない...ってわけじゃないが...んん....」
唐突な質問に戸惑いを隠せない、
目が左右に泳いでいる。
腕が決まった位置に定まらず、
顔や肩などを行ったり来たり。
エキナ「ふふ..冗談だよ〜!そんな本気にしなくていいって!」
べしべしとシナの肩を叩く。
シナ「いてて...」
そうこう話ているうちに、
土の道だった足元は、
石畳の道に変わっていた。
中心街に着いたのだ。
エキナ「あ、中心街に着いたね!騎士団に行く前にちょっと見てまわっておこっか!おつかいもあったし!」
中心街は家々が立ち並び、
道の両脇には屋台が出ている。
いわゆる商店街のようなものだ。
その中をエキナは歩いていく。
エキナ「あぁ、わかった。どのみち何も覚えてない...見て回って覚えなくちゃな」
屋台での買い物、
野菜や果物を選びながらエキナと会話する。
焼きたてのパンの匂いにシナの腹が鳴り、
エキナにからかわれたりもしながら、
二人は賑やかな街を歩き回った。
中心広場の噴水では子供たちが遊んでおり、
時折その水しぶきが風に乗って頬をかすめる。
そんな日常の中で、エキナは
町の人々に笑顔で迎えられていた。
頼み事、世間話、依頼のお礼、ただの挨拶……
そのどれもが温かく、優しいものばかりだった。
エキナ「はー!たくさんまわったねー!」
広場のベンチに並んで座り、
噴水を見ながら背筋を伸ばす。
エキナ「どう?覚えられた?逆に何か思い出せた?」
ベンチに対し後ろ手に手をつきながら、
シナの方に体を向けながら。
シナ「何も思い出せなかったが....いい街だなということと...君がとても愛されているんだなということがわかったよ...」
距離が近いことに一瞬ドキッとし、
エキナの柔らかくて優しい匂いで、
ドギマギしたことを隠すように。
街中を眺めながらそう話す。
エキナ「でしょー!いい街なんだよ!ここは、私の故郷なんだからね!」
体の向きを直し、広場の方を見つめる。
子供が追いかけっこをしているのが見える。
エキナ「....私ね。この街で両親と暮らしていたの...」
少しの沈黙の後エキナが語り出す。
優しい口調で言葉を紡ぐが、
悲しい目をしていた。
それをシナは遮ることなく。
黙って聴くことにした。
エキナ「子供の頃...この街に魔物の大群が押し寄せたの。騎士だったお父さんは街を守るために戦った...ただ数が多すぎて...そのまま...」
ぐっと目を瞑った。思い出したくない。
覚えていたくない辛い思い出を。
奥歯で噛み潰すように。
エキナ「お母さんは...私を守るために...盾になって........」
途中まで言いかけたが、
暗い雰囲気を元に戻すように、
言うのをやめた。
エキナ「その騒動は『ハンターズ』って組織と本部から来た聖騎士によって収まって街もなんとか復興したの」
エキナ「その時孤児になった私を街の人たちは優しく迎え入れてくれてね。ここまで育ててくれたの....だからこそ私はこの街が好き、ここの街の人たちが好き、この街の雰囲気が好き...」
閉じていた目を開く。
もう悲しい目はしていなかった。
優しい口調で決意のある目をしていた。
エキナ「私が今聖騎士をやっているのも、お父さんに憧れたからなんだよ!お父さんが守ろうとした人を守りたい、お母さんが守ってくれたことと同じことをしたい...だからこそ!私は今騎士なの!」
立ち上がって少し歩き、
腕を広げてビシッとブイマークをする。
シナ「....エキナは頑張り屋なんだな。すごいよ」
一連の話を黙って聞いていたシナも口を開く。
エキナ「えへへ...ありがとう!あ、一緒に生き残ったお姉ちゃんも今騎士なんだよ!すごいでしょ!」
唐突に褒められて顔を赤らめる。
恥ずかしさを紛らわそうと、
手をバタバタさせて話題を変える。
シナ「お姉さんも騎士。代々騎士の家系って感じなんだな」
にこーっと笑うエキナ。
エキナ「さて!そろそろ騎士団本部に行こっか!」
シナ「あ、あぁそういえばそうだったな。案内お願いするよ」
荷物を持ってベンチから立ち上がる。
エキナ「まっかせてよー!こっちだよ!」
大きく手招きをして歩き出す。
シナ「あぁ、わかった」
行ってはない方向の道へ向かう。
しばらく歩くと、3階建ての建物の前に止まる、
読者にもわかりやすく説明するならば、
3階建ての交番のような場所だ。
エキナ「ついた!ここが王国騎士団、黄凰支部だよ!」
建物の前で立ち止まってシナの方を振り返る。
シナ「ここが...なるほど....」
扉の上には二匹の鳥と剣と盾が描かれた、
騎士団のエンブレムが掲げられている。
シナ(なんの鳥が描かれているんだろ....)
エキナ「さ!入って入って!」
扉をエキナが開き、
シナの方に手招きをする。
シナ「あ、あぁ。わかった」
エキナに続いてシナも中に入る。
中はカウンターがあって、
市民からの相談受け付けといった感じ。
奥にはまた別の個室があり2階に向かう階段もある。
エキナ「本当はダメなんだけど、今回は特別だからね〜?」
カウンターの扉を開き奥へと進む。
奥の個室は机に椅子、棚が置かれていて、
ちょっとした尋問室のような感じだ。
シナ「ここは....?」
エキナ「ここはね、捕まえた犯人とかと話を聞いたり街のみんなの相談を受けたりするところ!でも今はここに用事はないかな。ほら、こっち!」
階段に向かう。
階段を登るとさっきまでとは一変して、
一般的な家のリビングのようだった。
簡易的なキッチンにソファー、
観葉植物も置かれてカーペットも敷いてある。
まだ上に続く階段もある。
シナ「一階とは全然違う感じだな...家って感じ」
エキナ「2階は共有スペース!3階に個人部屋があって、こっちがみんなでまったりする場所だよ!あ、荷物はそこの机に置いていいよ!」
シナ「ん、わかった」
買い物をした袋を言われた通り机に置く。
エキナ「さ、て、と、そこのソファー座っていいよ。飲み物用意するからさ!」
ソファーを指差し、食器棚の方に行く。
シナはソファーに座り壁や辺りを見渡す。
シナ(そこまで広くはないが...エキナ1人なのか?...さっき言っていた姉とやらもいるのだろうか....)
建物の広さや家具の数からして、
そこまで大人数いるとは思えない。
エキナ「はい!おまたせ、コーヒーでよかった?お茶もあるけど...」
ソファーの前にある低めの机の上に、
コーヒーのカップが置かれる。
シナ「.......多分飲めるはずだ、ありがとう」
コーヒーを受け取り飲む。
まず第一に苦いと思ったが、
そこまで嫌いな味じゃなかった。
エキナ「コーヒー飲めるなんてすごいね!私苦くて飲めないや」
シナ(自分が飲めないものを人に作ったのか...)
エキナは紅茶を飲んでいる。
果物か何かの甘い香りがする。
エキナ「さて...じゃあ...色々聞きたいこともあるでしょ?私もある、やっとゆっくりできるんだしここらでお話をしよっか」
優しい顔、優しい口調で、
きっとこれがエキナのやり方なのだ。
困った人がいれば助けて、
楽しいことで心を和らげ、
落ち着ける場所で話を聞く。
シナ「えっと...じゃあ.....」
聞きたいこと、言いたいこと。
互いにあるし、急かしたくもなる、
だが、ゆっくりと口を開いた。
3話はどうでしたか、いいね、ブクマ、感想をしてくれると励みになります。シナとエキナの距離がぐっと縮まるようなそんなお話でした、この次のお話もよろしくお願いします




