なんでだろう?
妹の可奈視点となります。
長い間更新できず、申し訳ありません。
「はぁ……気持ちいい~」
今日一日の疲れを癒やすように、私はのんびりと湯船に浸かっていた。
ジップロックで防水したスマホを片手に、私はボーッとスマホを眺めていた。
ブーッ
すると、クラスメイトの男の子からレインにメッセージが送られてきた。その内容は……
『……好きです。もし良かったら俺と付き合ってください』
とのことだった。そのメッセージを見て、私は一度ため息をつく。
「……またか」
本当に申し訳ないけどそう思ってしまう。これで何回目? 中学に上がったくらいから急に告白させることが増えて、一年生の頃は月に2、3回だったけど、二年に上がってからは多いときで10回くらいはされている気がする。
好意を持ってくれるのは嬉しいけど、告白の度に断る手間を考えると、はっきり言って迷惑だと感じている。
私はそのメッセージを既読にしないまま放置することにした。今は一日の疲れを癒やす至福の時間なんだ。あまり考え事はしたくない。と思った側から、今度は別のことが頭に浮かんでしまう。
「そう言えば、お兄も愛花姉に告白したんだよね……」
告白という単語から、自分の兄が幼馴染みで私も姉のように思っていた愛花姉に告白してフラれたことを思い出した。
長い間二人を見てきた私は、二人は両思いだと思っていただけにその衝撃はとても大きかった。
確かに妹の私から見ても、兄である佐伯天成はイケメンじゃないし、何か特出した才能があるわけでもない、普通の男子だ。
それに比べて愛花姉は、昔こそ目立たない女の子だったけど、今では誰もが認める美少女、テニスでも雑誌で取り上げられるくらいに注目され、頭も凄く良い。
普通に考えれば二人が釣り合うとは誰も思わないだろう。
けど妹の私には、二人はとってもお似合いの、素敵なカップルに見えていた。
いつか私も、あの二人のようになりたいと思っていた。
なのに……
「なんで愛花姉はお兄を振ったんだろう?」
何度考えても、それだけが全く分からなかった。
◇◇◇◇
「ただいまー」
お風呂から上がり、ドライヤーで髪を乾かしていると、玄関の方からお兄の声が聞こえてきた。
どうやらやっと帰ってきたようだ。
「お兄おかえりー」
「おう、ただいま」
私は一度ドライヤーを止めて、お兄にそう声をかける。すると、お兄は私のいるリビングに向かいながらそう返してきた。
「遅かったじゃん、どこか行ってたの?」
時計を見るともう既に7時を回っていた。
「まぁちょっと。クラスメイトと遊んできた」
へぇー珍しい、お兄がクラスメイトと遊ぶなんて。
「どんな人なの? 男友達とか?」
ちょっと興味が湧いたので、お兄にそう聞いてみる。クラスメイトって言うくらいだから、愛花ねえや真司って人ではないみたいだし。
「いや、女の子。華城っていうんだけど、最近仲良くなったんだ」
「えっ女の子? その人と二人で遊んだの?」
「まぁ……うん」
それを聞いて私は驚いた。だって……女の子と二人で遊びに行くなんて、それってもう……
「愛花姉のことはもう吹っ切れたってこと?」
お兄の性格上、愛花姉にまだ気持ちがあるのならそんなことはしなかったはず、なのにそうしたっていうことはもう愛花姉のことは吹っ切れているってことなのかな?
「あーまぁ吹っ切れたって言えるほどじゃないけど、何時までも引きずってても良いことないしな。だから俺も前を向かなきゃと思ってさ」
そう語るお兄の表情はなんだかとても凜々しい感じがした。昨日までの曇った表情とは打って変わって、とっても晴れやかで、なんだか余裕のある表情になっていた。
なんかお兄のくせに生意気な顔……
「お兄のくせになんか生意気だ」
「おっと、くせにとはなんだくせにとは」
思っていたことをそのまま口にしてしまった。
「だってお兄っていつもどこか余裕のない、焦った顔をしてるじゃん! なのにそんな出来る男みたいな余裕の顔してるのはなんか気に食わない!」
「はぁ? なんだそれ?」
「華城って人は可愛いの?」
「えっ……まぁ可愛いと思うぞ。クラスでも人気あるんじゃないかな?」
「へぇ……そうなんだ。良かったね、可愛い人と遊びに行けて!」
「なんなんだ一体?」
頭の上に?マークを浮かべているお兄。けど、私にも私が何を言いたいのか分からなかった。
妹の私にとっては兄が焦った顔をしているより、余裕のある晴れやかな顔をしている方が良いに決まっている。
それに失恋に囚われているよりも、今の前を向けている状態の方が絶対良い。
ただ、その華城って人によってお兄が前を向けたってことが気に食わん。
「何でもない! お兄の女たらし!!」
何故だか私の心はとてもモヤっとしていた。




