日向國
・日向国
日向国の風俗無体無法の事のみ多く、唯気の尖なるに任せて、己理と見る時は、非と云人有といえども、且而不用。
(日向国の風俗は無体無法な事が多く、ただ血気に任せて、自分が理であると見た時は、非という人が有っても、それを用いない)
己非と云う時は、人来て道理といえども、且而不従。
(自分が非であるという時は、人が来て道理だと言っても、それに従わない)
於是其非理は第二にして、其談する処の人と口論になり、終討果すの類多き風俗なり。
(これはその非理は第二で、その談議をする人と口論になり、終には討ち果たす類の事が多い風俗である)
実に偏卑の浅ましき事人倫の道理を不知事可歎所也。
(実に偏り卑しく浅ましい事は人倫の道理を知らぬからで嘆かわしい)
唯死するを以て善とする事危き風俗也。
(ただ、死を以て善とする事があり危うい風俗である)
可恐。
(怖いね)
・超意訳
日向の風俗はもう無茶苦茶で思い込みと激情が激しく、自分が『こう』と思ったら人が何いっても聞きやしない。
論議してても自分と相手のどちらが正しいとか関係なく、口論が高じてその相手を殺してしまうなんて事はざらにある。
こんなにも野蛮なのは文明人としての常識を知らないからで、実に嘆かわしい
死が全てを解決させる風があって危なっかしい。
怖いねぇ…
・私評
いままでと打って変わって野蛮な風が出てきたな
・一言要約
話を聞かない激情家




