肥後國

・肥後(ひご)国

肥後国の風俗大形肥前に似たりといえども、その勇の甲乙を数えるに、百にして其一也。

(肥後国の風俗は大方肥前に似ていると言っても、その勇の甲乙を数えると、百に対して一である)

武士の風俗は肥前に替りて柔なり。

(武士の風俗は肥前と替わって柔和である)

雖然其意地、筑前・豊前両国を合たるよりも上と可知なり。

(そうではあるが意地は筑前・豊前の両国を合わせたよりも上だと知られている)

されども智あるを以て分別多く、思々なる所あるにより、一和する事少なく、二つ三つにも引分れての形儀なれば、肥前にはるばる劣る物か。

(それでも智恵があるから分別が多く、思い思いとなる所があるから、一つとなる事は少なく、二つにも三つにも分かれてしまう形儀であれば、肥前には遠く及ばず劣る物だろうか)

・超意訳

肥後は肥前によく似ているけど、その勇ましさを比べると肥前の百分の1に過ぎない。

武士は肥前よりも柔和である。

それでも筑前・豊後を合わせたよりも意地が強い。

ただ、なまじ智恵が有るから百人百様となり、団結力に欠けるところがあり、この辺が肥前よりもずっと下だ。

・私評

まぁたいてい当て馬にすべく、絶評の後は酷評だよね。(信濃に対する上野が良い例)