筑前國
・筑前国
筑前国の風俗大体飾り多くして、人の心十人は十人皆思い思いに違り。
(筑前の風俗はだいたい飾り気が多くて、人の心は十人居れば十人それぞれ違う)
勇気も一応は勤め遂ぐると言うども、飾りある風俗故に、終には何事も成就すまじき国風也。
(一応勤めきるくらいの勇気はあると言っても、飾り気ある風俗だから、最後まで何も成就しない国風である)
西国に珠敷き花奢の国なり。
(西国には珍しい風流・優雅な国である)
酒色を好む事千人に七八百人如斯。
(千人に七~八百人は酒と女を好む)
惣而此の国は万事の風俗我か為に徳つく事なれば、我か親中絶する人をも親み寄、親を捨てても其人に親しむの風儀甚だ不可然也。
(総じてこの国の風俗は、何事でも自分に得な事であれば、自分の親を切り捨てる人でも親しみ、己の親を捨ててもその人に親しむ風儀は甚だしかるべからず)
・超意訳
筑前の風俗は見栄重視で、考えが十人十色。
一応勤めきることぐらいはできるけど、見栄張りな性格だから、結局成功しない。
西国には珍しく風流・優雅な国である。
あと酒と女が大好き。
総じてこの国は自分の得になるなら見境なく、親を捨ててでもすり寄る性格。これはとても良くないね。
・私評
筑前は西国を統括する機関として太宰府が置かれるなど、畿内や中国との交流が多かったことから、九州各国とは一風違う国風となったのであろう
・一言要約
見栄張り、酒好き、女好き




