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人国記を読む  作者: 三河
山陽道8ヶ国
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安藝國

安芸国は今の広島県西部地域です。

挿絵(By みてみん)

安芸(あき)

安芸国の風俗は人の気質実多き国風なれども、気自然と狭くして、我は人の言葉を待ち、人は我を先にせん事を常に風儀として、人の善を見ても差して褒美せず、悪を見ても誹る儀もなく、唯己々が一分を作、己を意地にして抜き出たる人千人に十人と無之して、世間の嘲哢をも不厭風儀なり。

(安芸国の風俗は人の気質は誠実な国風であるが、元々が心が狭く、自分は他人の言葉を待ち、他人は自分を先に言わせようとするところが常にあり、人の善行を見てもさほど褒めず、悪行を見ても批判せず、ただ各自が面目を作り、自分より優る者は千人に十人も居ないと意地を立て、世間からの嘲笑すら嫌とはしない風儀である)


侍の形儀取分如斯也。

(侍のふるまいは取り分けてそうである)


因玆頼みなき様なれども、底意は実儀より起こりたる事なれば、善き所多し。

(だから頼みにならないようだが、心の奥底では誠実さから起こることなので、善い所が多い)


此気質を離たる人出来は、名人とも可謂人可出国風なり。

(この気質を離れることが出来る人は、名人と言える人を出せる国風である)


別而、佐伯・沼田・賀茂郡の人健儀強く、二心表裏すくなく、形儀よきなり。

(特に、佐伯・沼田・賀茂郡の人は健気で律儀な所が強く、心に表裏が少なく、よいふるまいである)


・超意訳

安芸の人は誠実なのだが心が狭く、お互いに相手が話し出すのを待つところがあり、人の善い所も褒めなければ、悪い所を批判したりもしない。

『自分より優れた人はそうそう居ない』と孤高のプライドを持ち、世間から馬鹿にされてもどこ吹く風で気にしない。

侍は特にそうである。

一見頼りなさそうだが、根が誠実なので善い所も多い。

変なプライドさえなければ名人になれるだろう。

特に南西部の人は律儀で、心に表裏が少ないから良いね。


・私評

下げながら最後は上げるという人国記には珍しいパターン。

他国ならコテンパンに叩いてる所を上げようとしている。

どうも作者は安芸に好印象があるようだ。

・一言要約

根は善い国

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― 新着の感想 ―
[一言] ●安芸國 確かに、何か一生懸命に持ち上げようとしている珍しいパターンですね。 安芸國に知り合いでもいるんでしょうかね? 内部の地名まで詳しく挙げているし……。
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