ココがつらいよ人国記⑤「三社託宣」
三社託宣とは、伊勢神宮(天照皇大神)・石清水八幡宮(八幡大菩薩)・春日大社(春日大明神)の三社の託宣、神のお告げを記したもの。
伊勢神宮
「謀計雖為眼前の利潤、必当神明罰。正直雖非一旦の依怙、終蒙日月の憐」
謀を巡らす者は仮に目先の利益を得られたとしても、後々必ず神が罰を下し、正直者は一時のひいきは無いとはいえ、最後には天地の神々の恵みを賜るであろう
石清水八幡宮
「鐵丸雖為食す、不受心穢人の物。銅焰雖為座す、不到心濁人の處」
例え、鉄の玉を口にする事があろうとも、神は心汚れた人の献上物を決して受ける事は無いし、例え、真っ赤に溶けた銅に座る事があろうとも、神は邪な人の所には決して行かない
春日大社
「雖曳千日注連、不到邪見の家。雖為重複深厚、必赴慈悲の室」
仮に千日の清めの注連を引いて内外を清らかにしても、邪心のある者の所には神は行かないが、仮に喪が重なるような人であっても、慈悲ある者の家には神は行くであろう
三つはそれぞれ「正直」「清浄」「慈悲」を表し、「この三つが大事だよ」というわけである。
しかしながらこの託宣、世間に広まったのは室町前期・中期あたりだそうだ。
人国記の作者と言われる、鎌倉5代執権は鎌倉中期の人で時代が合わない。
ここが人国記が書かれたのは室町時代と言われる所以でもある。




