因幡國
・因幡国
因幡国の風俗は八上・智頭・邑美三郡は実にしても而も勇有て約を不変形儀なり。
(因幡の国の八上・智頭・邑美の三郡は誠実で、しかも勇気が有って、約束を違えない振る舞いをする)
高草・気多・法美・巨濃の郡の風儀は如形佞にして、邪智多くして、丹波の風俗に似たり。
(高草・気多・法美・巨濃の郡の性格は佞で、悪知恵が多く、丹波の風俗に似ている)
武士は名利利欲に関わりて、徳のつく方に従う風俗なり。
(武士は名声や利益に関しては、多い方に従う風俗である)
一国の内に如斯風儀の替ること寔に天性自然の理とは云ながら、気質の稟る所の正不正の因て如斯なること可見也。
(一つの国の中でもこのように品行が変わるのは実に当然の事であるが、気質の出来上がる所の善悪が原因となるのも必然である)
・超意訳
因幡国の中央部の人は誠実で勇気が有り約束を破ったりしない。
西部と東部の人は媚び諂いが著しく、悪知恵が働き、丹波の人に似ている。
武士は名声・利益を求め、体裁の良い方に従う。
同じ国の中でも人によって性格が違うのは自然なことだが、それはきっと出生地に左右されるのだろう。
・私評
中央部と東西の差が著しいのも珍しい。
東側は但馬を挟んでなぜ丹波なのだろうか?
やはり作者の知人に因縁深い人物が居るのではなかろうか?などと推察する。
西側は伯耆、はてさて如何?
・一言要約
中央部は善し、東西部は悪し




