丹波國
・丹波国
丹波国の風俗は人の気情弱、面々格々にして、十人は十様にして、我が身を自慢し、人を誹り、人の誉あるを可誉とはせずして、余の人の夫より誉れ多きにたくらえて是を誹るの類にて、悉皆女人の風俗に不異。
(丹波の国の人は人を思いやる気持ちが弱く、各自それぞれ、十人居れば十人様々で、自分を自慢し、人を誹り、人の誉を褒め称えず、他の人の誉の多さと比較して誹る類で、悉く皆女人の風俗に変わりが無い)
下劣も是も従て、己か日夜勤る所の耕作の道は第二にして、商売を本とすること偏に身の栄花をせんことを常々たくみ、都而勇気寡うして、諂強く、昨日味方にありし人今日者敵となり、亦前になり替り、渡世する類の風俗最も哀れなる形儀不及是非事とも也。
(下劣なことにそんなのだから、自分が本来勤めるべき耕作仕事は二の次に、商売に精を出すのは偏に栄華に暮らすことを常々考えており、全くを以て勇気少なく、諂う心強く、昨日味方だった人が今日敵となり、また(後ろに居たと思ったら)前に居たりして、世を渡り歩く類の風俗は最も哀れで仕方がない)
雖然自然に能き人出生せば、気の柔なる意地により成立風儀なれば、双う方なき程の人も出来べし。
(それでも自然と有能な人が生まれれば、柔和な性格によって成り立つ風土であるから、並び立つ者無きほどの人も出来る)
天下乱れてこの国を治めば、五日の内に可従也。
(天下が乱れた時にこの国を制圧すれば、五日の内に従わせることができる)
・超意訳
丹波の人は非情で独善的、傲慢で人を馬鹿にして、人を褒めようともせず『お前よりあの人の方がスゴイ』などと他の人と比較してでも馬鹿にしようとして、悉く女と変わりが無い。
本来行うべき畑仕事を放り出し商売に手を出して、大儲けして豪奢に過ごしたいと常日頃から企んでおり、実にみっともない。
全くを以て勇気が無く、媚び諂いが著しく、昨日の味方は今日の敵となり、ころころと立ち位置を変え立ち回る様はもはや哀れとしか言いようがない。
それでも有能な人が生まれたら、伸び伸びと育つだろうから、比肩する者の無き人物ともなるであろう。
乱世にこの国を制圧するのなんか5日も有れば十分だ。
・私評
場合によっては超優秀な人物も出るとは人国記にしては持ち上げ方が極端である。
作者の知り合いに丹波出身で超優秀だけど嫌味なヤツでも居たのだろうか?
・一言要約
哀れな国




