能登國
・能登国
能登国の風俗は別而人の心得狭くして、譬ば一足他に踏出す時は、則渇命に及と思うの類多し。
(能登国の人は特に心配性で、例えば他国に出たならばすなわち飢え渇き命に関わると思う類が多い)
因玆、武士つれなくあらかうにも誹にて渇命つなぐべき為に方向を勤る風儀にして、引放たる意地少なし。
(よって、武士が冷たく扱われても文句を言うだけで、命を繋げるために勤める風儀で、言行で表す意地が少ない)
雖然武士一身常の覚悟は如形なり。
(武士の日ごろの覚悟はそんな感じである)
されば是国より他へ踏出る程の器量の族有て他出する時は、必可秀也。
(それなのでこの国から他国に出る程の器量を持つ人物が居て、他国に出るようなら、必ず優秀である)
不出時は国の棟梁と可成人なり。
(出て行かなくても、国の統率者ともなれる人である)
若亦他邦せず棟梁とも不成蟄居するに於ては、自然と悪意を企る如くの風俗あるべし。
(もしも他国に出ず、統率者ともなれず、家に居続けるようなら、自然と悪巧みをするようになる)
偏国にして道理闇く、而驕の気有之。
(辺境だから道理に暗く、驕っているところがある)
・超意訳
能登の人は心配性で、他国に出て行ったら死ぬんじゃないかと思ってる
人から冷たくされてもちょっと文句を言うだけで、命には代えられないと我慢し続ける
だから、もしも他国に出ようとする人が居れば、その人は優秀に違いない
出て行かなくても、能登で大いに出世できるだろう
だが他国に出ず、出世も出来ず、引き籠っているようなら、良からぬことを企みだすから要注意
田舎だから世間を知らずなところがあるね
・私評
地元しか知らず他処を恐れる。
またしても田舎者扱いだね。
・一言要約
心配性な田舎者




