出羽國
・出羽国
出羽国の風俗は奥州に大体不替なり。
(出羽国の風俗は陸奥国とだいたい変わらない)
然ども奥州の風儀よりは健儀なるところありて、知も亦上也。
(しかし、陸奥国の人よりも健気なところがあり、頭も上である)
武士は我主・親へ忠孝の志あり。
(武士は自分の主君や親への忠誠・誠意がある)
下を使うの法を沙汰し、下臈は上を敬う心あり。
(下の者を使う場合もやり方を教え、下の者は上を敬う心がある)
百姓は地頭を頼む心入りありて、他の村郷の者我地頭を誹るを聞ては、その勝負を付るの類にて、寔に頼もしく、しおらしく有りの処多くあるなり。
(百姓は地頭(領主)を頼りにするところがあり、他の村の者が自分の村の地頭を馬鹿にするのを聞いたなら、喧嘩に発展するほどで、実に頼もしく、またしおらしいところが多くある)
蓋しこの国の者都而我国は遠国偏土にして、かたくえなく国風なる故に、恥け敷きなどとい云う風俗也。
(この国の者の大半は自分の国は辺境で、頑固になる性格だから恥ずかしいなどと思っている)
因玆奥出両国の者は四民ともに礼厚きなり。
(だから、出羽国と陸奥国の者は上も下も皆礼儀正しい)
本奥出の両国は一国を割り出したる国と云伝えり。
(出羽国と陸奥国の両国は一つの国を分けて出来た国であると言い伝えられている)
・超意訳
出羽国はね、陸奥と似た感じだね。
両国とも辺境の片田舎で有る事をわきまえており、それを恥ずかしがるところがあってか、皆礼儀正しい。
特に出羽の人は陸奥の人に比べて見所がある。
武士は主君や親への誠心があり、上も下も互いに思いやる心がある。
民も地頭を信頼し、地頭を馬鹿にした人と喧嘩になるほどで、実に可愛げがある。
・私評
褒めてはいるんだろうが、上から目線に見えるのは気のせいだろうか?
・一言要約
可愛げのある田舎者




