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人国記を読む  作者: 三河
東山道8ヶ国
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上野國

上野国は今の群馬県です。

挿絵(By みてみん)

上野(こうずけ)

上野国の風俗は碓氷・吾妻・利根三郡は人の形儀信州に似たり。

(上野の国の中でも碓氷・吾妻・利根の三郡は信州に人となりがよく似ている)


亦、勢田・佐位・新田・片岡四郡は風儀信州より上分の風俗なり。

(また、勢田・佐位・新田・片岡の四郡は信州よりも勝る風俗である)


然ども詰る所の意地少、信濃よりは不足也。

(しかしながら、結局のところ信濃よりも意地が少なく足りていない)


その譬を云に人の気上分なる故に、免す所の気ありて、我と我が非を少なきなりと小罪を免してなすが如し。

(例えば人が良いから何でも許してしまうところがあり、自分にも悪いところがあったと小さな罪を見逃してしまうようなものである)


小罪をなす時は、後大罪に及ぶ事眼前なり。

(小さな罪は、やがて後々の大罪になる)


然れば信濃の風俗上下ともに弓箭を取れば、負て気の屈する事無く、亦出て先悔を雪がんと励むか如く

(信濃では上も下も弓矢を取れば、負けたとしても屈せず、再び出撃して先ほどの悔しみを雪がんと励むかのようである)


此国は二三度も如斯なれども、後には理非を談して、不入剛気なれば、人数を損せんよりは戦を可止などとて、半より能分別発て差置く等の風儀に而、締まり少なし。

(上野の国では二三度はそのようにするが、やがて道理の有無を話し合い、気が乗らなければ、死人を出すよりは戦いを止めようとして、半分くらいはそのような分別をして放置する風であり、締まりが少ない)


亦、邑楽・群馬・甘羅・多胡・緑埜・那波・山田等の郡の風俗は一気勢にして、一人気を励ませば、諸人気を一にして一同し、また一人気を縮め気を挫かして退くときは、諸人其気に同するの類の風儀也。

(また、邑楽・群馬・甘羅・多胡・緑埜・那波・山田等の郡の人は人につられやすい、一人が頑張れば、全員同じように頑張るし、また一人が怖気づけば、全員同じようになる類の風である)


雖然根性は徹したる心あれども、気質の変に繋がるる事世に超えたり。

(貫こうとする根性はあるものの、気質を変える程ではない)


・超意訳

上野の国の人の中でも北側の人は信濃と同じかそれ以上に人が良い

人が良すぎて小さな事なら簡単に許してしまいがちで、後々の面倒に繋がりかねない

あと意気地なしなところがある

信濃なら戦いだしたら、負けても屈せず、もう一度戦う気概があるが、上野国でも最初は同じような事をしても、徐々になあなあになってしまい締まりが無い

南側の人は流されやすい、一人の勢いにつられてしまい頑張る時も萎える時もある

やる気はあるのかもしれないが、性根は変わらないよ


・私評

信濃より上と云いながら、結局落としている

結局は信濃を上げておきたいという、当て馬にされてしまった上野の悲しさよ

・一言要約

悪くないけど信濃よりかは劣る

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