飛騨國
・飛騨国
飛騨国の風俗は律儀にして愚なり。
(飛騨の人は律儀だけれど愚かである)
その愚とは日本は広といえども、この国に越たるは無きと覚る人百人に九十人如斯。
(その愚かさは日本広しといえども、百人に九十人はこの国を超える国は無いと思っている)
因玆我国より他邦へ出る事も嫌て、唯井中の坐より天を如窺なる形儀なり。
(自分の国から他国に出る事を嫌い、ただ、井戸の中に座り込み、空を見上げるような風である)
武士の風俗も唯我か領する処の所知を十分に覚て、是に上することあらじと思うの類にて、戒行不可然也。
(武士も自分の所領を掌握すれば十分であると思っていて、さらに向上させることは無いと思っている類で、修行が足りていない)
誠に山中の人等かく可也。
(実に山奥の人とはこのようなものである)
但生得は石鉄の性とも可謂なり。
(ただし、生まれつき石や鉄のような性格であるといわれている)
・超意訳
飛騨の人は律儀だけど愚か。
その愚かさは日本一であると多くの人が思っていて、まるで井の中の蛙。
武士も現状で満足してて、向上心に欠けている。
山奥の田舎者だから仕方が無いかな。
武骨で頑固な性格だからね。
・私評
『その愚かさ日本一』ってあんまりでは無かろうか?
伊賀や常陸とは異なる方向の酷評、明らかに小馬鹿にしている。
・一言要約
その愚かさ日本一




