美濃國
・美濃国
美濃国の風俗その意地綺麗にして、譬ば如水精。
(美濃の風俗はその性根が綺麗で、例えば水晶の様である。)
されば水精も不磨は光り出ること能わず。
(水晶も磨かなければ輝くことが出来ない。)
然れども根性を能く生付きたる風俗は必垢を削る事早し而、能く道理に従う。
(しかしながら、生来の性根が良く出来ている風俗は悪い所もすぐに改まり、よくよく道理に従う。)
雖然西美濃は人の風儀柔に見えて徹する処の物鮮く、言舌風流に見ゆるなり。
(けれども西美濃の人の品行は柔和でありながら信念を通す鮮やかさがあり、言葉使いに優雅さがある。)
東美濃は生得の儘にして木地也。
(東美濃の天然自然のままで、まるで木地のようである)
日本国の風俗四五ヶ国の内也。
(日本の中で4~5ヶ国の中に入る)
されども所から気質に馴れたる風なれば、卑しき事も多く有之也。
(しかしながら、そういった気質に馴れてしまっているところがあるので、卑しい事も多くある。)
直なるか能きとて、人の手足の曲るは亦其理の上の直なり。
(真っ直ぐなのはよいが、人の手足も曲がるからこそ、真っ直ぐなのが良いのである。)
如此の節に当たると云事を知りたる人は百人に七八十人は無之して、たまたま一人にても是理に達する人あらば、名高く可成。
(この事を知っている人は百人に七八十人も居なくて、たまたま一人でもこの真理に達する人が居れば、名声を得るだろう。)
されども勢強くして、国風の手本とも可成ほどの人々は希なるへきなり。
(しかしながら周囲に流されて、この国風の手本になれる人は稀となる傾向がある。)
・超意訳
美濃の人は水晶のように心が美しい。
多少悪いところがあっても、元が良いからすぐに改まる。
西美濃の人は上品だし、東美濃の人は純真さがある。
日本の中でもTOP5には入るね。
ただ、純粋すぎるのもちょっとね。
手足も曲がるからこそ役に立つというもので、何でも真っ直ぐならいいというわけでは無い。
このことに気付いている人があまり居ないのが残念。
・私評
なかなかの褒め様である。
近江で騙されて、美濃で人としての温かさでも知ったのだろうか
・一言要約
水晶の如き




