上総國
・上総国
上総国の風俗大体安房に替ることなし。
(上総の人は安房の人と大体変わらない)
雖然此国の人は別而気質偏屈にして、その勤る所諸民ともに常山賊夜討を本と覚えて、正道を知る人百人に九十人無之。
(しかしながら此の国の人は偏屈で、誰もが山賊・夜討のような卑怯なやり方を行い、正しい道を知っている人は百人に九十人も居ない)
雖然その健気なる事関東に二番と可劣風儀に非ず。
(しかしながら、その気丈で勇ましい様は関東では二番より劣ることは無い)
されば勇を内にし、智と和を外にして是を勤るを以て善とす。
(勇気を内に秘め、智恵と人の和で以て物事を行うのが最も良い)
然に此の国の風儀勇を先にして、智を後にするといわん哉。
(しかし、この国では勇気を先にして、智恵を後にしている)
最も知勇兼備の人ありと難云。
(もっとも知勇兼備の人が居るとは言い難い)
唯気質に勝て、勇を強く行う風俗なり。
(ただ、気性により勇気を発露している)
危き事多し。
(危なげなことが多い)
・超意訳
上総の人は安房の人と替わらないが、偏屈で卑怯、正々堂々な人はまれである。
ただ勇ましさはあって、関東でも一番か二番だね。
でも、その勇ましさも知恵を疎かにしているから何とも危なっかしい
・私評
つまりは脳筋という事かな、もしくは向こう見ず
勇ましさを前面に出しているという点では、甲斐国に似ている気がするがこちらは『豪勇』、上総国は『蛮勇』といったところであろうか
・一言要約
向こう見ずな脳筋




