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外伝60話 信長Take6029 今回は? 何と? 無事? 成功? する事が? 出来? ま?   

今年の4/1までの時間の経過は、凄い遅く感じました。

今までの4/1は、「つい先日投稿したのにもう4/1か!? ネタどうしよう!?」なんて思っていましたけど、今年は本当に時間の経過が遅かった。

コミカライズ監修がそれだけ神経を使ったのだと推測してます。


コミカライズは順調です!

詳細情報はお待ちください!

【4月1日の5次元空間】


「はぁはぁ! ど、どうじゃ! 苦節何十万年か? Take幾つかもう忘れたが、ついに天下統一、天下布武を達成したぞ! これで文句なかろう!?」


 信長が5次元に戻るなり、喜びを爆発させた。


「はぁ~~~~。やっっっとですね!? 色んな未来知識を開放して、超人的身体まで手に入れて、結局、何も知識解放なしで挑んだ方が楽だったとは予想外でしたが!?」


 帰蝶も言葉はともかく、顔は笑っている。

 余程嬉しいのだろう。


 こうして信長と帰蝶が5次元空間に帰還した。

 両者とも無事寿命で死に、死んだ時期は違えど、同じタイミングで5次元に戻れるようにファラージャが調整し、今、ようやくのゴールとなったのだ。


 重火器を開発したり(外伝25話)、本能寺の変を自ら発生させたり(外伝26話)、野球をやったり(外伝33話)、バイオハザードを起こしたり(外伝47話)、試しに三好長慶の家臣になったり(外伝49話)したが、結局は、普通が一番だったのだ。


「お疲れ様です!」


 ファラージャが労った。


「よくやったな!」


 信秀が息子の活躍に満足している。


「本当に見事じゃ」


 斎藤道三が娘と婿の健闘を称える。


「辛い旅路でしたな」


 太原雪斎が苦労を慮る。


「幸せな人生じゃな。うらやましいわ。ハッハッハ!」


 朝倉宗滴が本当に羨ましそうに祝った。


「頑張りましたね。お見事です」


 深芳野が娘の武功を褒めたたえる。


「流石に負けを認めざるを得んな。見事じゃ」


 斎藤義龍が、渋々信長の実力を認めた。


≪中々の余興で楽しいのう。朝廷の奴らにはザマ見ろといいたいな!≫


≪クックック! 朝廷の慌てようは傑作よ≫


≪あぁ、邪悪な心が洗われるようじゃ≫


 崇徳天皇、平将門、菅原道真が信長の偉業を称える。


「ありがとう! 皆に認められ、こんなに嬉しい事はない! …………」


「ありがとうございます……! …………」


 信長と帰蝶は渾身の礼をを述べた。

 そして黙った。

 別に、さらなる賞賛の言葉を待っている訳ではない。

 色んな感想を聞いたり聞かれたりしたい訳でもない。(聞いたり聞かれたりしたいが)


「どうしました?」


 不審に思ったファラージャが尋ねた。


「え……その……」


「あ……えっと……」


 信長と帰蝶は言葉に詰まった。

 知らない人が居たからだ。

 しかも極めて怪しい不審者だ。


「……。あの……。しれっと挨拶を交えてしまったが、えっと……どちら様で?」


「あのその……中々奇抜なお召し物ですね……?」


 信長と帰蝶が祝福の賞賛を受けながら、知らない人間が混じっているのに違和感を持った。

 血の涙を嵐で巻き上げ、生首を纏い、雷を放電させる異形の者達。


 正直近寄りがたい妖怪としか思えぬ姿なのに、ファラージャ以下、復活した面々が何事もなく接しているので、違和感が凄いのだが、何か迂闊に突っ込むと失礼になりそうで、慎重に尋ねた。


≪おっと、自己紹介をしておらなかったな。ワシは崇徳じゃ≫


≪ワシは平将門であるぞ。いやぁ武家として鼻が高い≫


≪菅原道真じゃ。おっと! 余り近寄ると感電するぞ?≫


 居て当然の態度で、三大怨霊が言葉を交わした。


「おぉい!? ファラ!! 崇徳、将門、菅原って異常事態じゃないのか!? どう言う事じゃ!?」


 信長が渾身の突っ込みを入れた。

 やっと突っ込めて気持良さそうでもあった。


 日本最強の三大怨霊の登場だけでも驚愕なのに、人間形態ではなく、怨霊形態での顕現は、容易に人が復活できる未来知識であっても、予想外すぎる。


「去年の4月1日に知り合いましてですね。意気投合して信長さんの活躍を見守っていたんですよ」(外伝55話~57話参照)


「い、意気投合……? 去年の4月1日? 違う時間軸の話を言われても意味が良く分からんが……」


「こ、この状態の怪異と仲良くなったの?」


「信長さん、帰蝶姉さん!? 怪異って失礼ですよ!? 人を見かけで判断してはいけませんよ!」


 ファラージャがプンスカと怒る。

 その仕草があざとく腹が立つが、それ以上の異常な光景に信長も怯むしかない。


「えぇ……。ワシが悪いのか? 人を見かけでって限度が……。これは見かけで判断して良いと思うし、出会って即、斬っても許されるじゃろ……?」

 

 あまりの光景に、大変な苦労を重ね、天下布武して帰還した事は忘れた。


 ハロウィンやコスプレの概念など信長は知らない。(ちょっとした仮装の文化はあるが)

 だが、ここまで完成度の高いコスプレと言うより、正真正銘本物の不審者なのだから、信長の常識では斬るのが当たり前だが、皆が馴染んでいるので、頭がおかしくなりそうになる。


 バチィッ!

 突如聞いた事のない破裂音がした。


「きゃッ!? す、凄い! 本物の雷を出してるんですか?」


「そうよ。凄いでしょう?」


 深芳野に導かれ、菅原道真に指を近づけて感電した帰蝶は、恐怖よりも興味が勝っている。

 さっきまで混乱していたハズの帰蝶の順応ぶりに、信長はより一層驚き混乱する。

 信長は忘れているが、帰蝶は信長がフライングした5年間を、未来色調特訓で過ごしたのだ。

 この研究室では、何が起きても驚くに値しないと知っている。


「於濃さん!?」


 思わず帰蝶を『さん』づけで呼んでしまった信長。

 転生する技術は受け入れたが、眼前の光景は受け入れられない。

 信秀や道三らが復活しているのも知ってはいたが、こうして眼前で活動しているのを見ると、やはり悪夢の光景だ。

 なお道三らは信長の混乱を避ける為、死んだ年齢の見た目となっている。

 その配慮を崇徳、将門、菅原ら三大怨霊にも施して欲しいと思ったっが、口にするのは辞めた。


「さぁ、馬鹿な事はここまでにして、この後の歴史を鑑賞していきましょう!」


 ファラージャがそう言って、信長没後の世界を映し出した。

 今回の信長は1602年に死んだ。

 帰蝶は後を追う様に1603年に死んだ。

 天下布武を成し遂げた大往生だった。


「素晴らしい戦いであり、政治であり、治世であったと思いますよ。でも問題はお2人死後の話です」


「そうだな」


「えぇ。信長教が発生しては意味がないですしね」


 そう。

 天下布武は手段であって目的ではない。

 死後の世界がどうなっているかが問題なのだ。


「ではその後の地球の歴史を、日本中心にして見ていきましょうか。ハイパーアクシオン量子コンピュータなら、1603年から1億年後まで一気に検査できますが、それでは味気ないですからね。感傷に浸りましょうか」


 そこからは死後の未来鑑賞会となった。

 崇徳ら怨霊陣はスナック菓子を食べている。

 完全に映画鑑賞スタイルだ。


(怨霊のクセに自由な奴らじゃな……。いや、怨霊だからか? それに何か旨そうなモノを食っとるが……まぁいい)


 突っ込むのも疲れるので、信長は研究室に映に浮かび上がる地球を見る。

 歴史を動かす事件や事故があれば、その都度、その地域がクローズアップされる。

 そんな中、様々な事件や危ない戦争もあったが、日本は平和に見えた。

 戦国時代以前の常識として実に平和な日本に見える。


 ――そんな中、研究室が黄色に輝いた。


「警告信号ですね……。西暦2000年、『信長真理教』ってのが誕生してますね……?」


「何じゃと!?」


 信長教ではなく信長真理教。

 信長教に神経質になっている信長達には聞き捨てならない名称だ。


「今まで何度も失敗した歴史でも、バイオハザードが起きた歴史以外では、必ず信長教は何故か出てきましたが、この歴史ではたった400年程で誕生してますね? これは圧倒的最短記録でもあります」


 ファラージャが、無感情で機械の様に結果を読み上げた。 


「い、いやいや!? 信長教じゃなくて、信長真理教じゃろ!?」


「コレは別モノじゃないですか!?」


 絶対に『似て非なるモノ』だ、と信長と帰蝶は叫ぶ。

 こんなに何十万年も、約6000Takeも重ねてようやく、やっと初めて天下布武を達成して帰還したのに、こんなにあっさり『失敗』では無慈悲すぎる。

 そんな訴えを必死に行う2人を嘲笑う事件が起きた。


「あっ。20年後、信長教に改名しましたね……」


 必死に『セーフ』を訴えていたのに、無慈悲な言葉が出てきた。

 研究所も警報色の赤色を明滅させている。


「ッ!?」


「20年考慮しても最短記録です」


 ファラージャが冷徹に告げた。

 その目には光が宿っていない。

 もう頭の中では次の行動に向けて準備しているのだろう。


「……と言う事は?」


 そんなファラージャの思いを察しながら一応聞いた。


「やり直し……ですね」


 非情な宣告が下された。

 ギャラリーも『あ~あ』などと落胆していた。


「そんなバカな!」


「そうですよ! 天下布武を達成して日本を完全統一したんです!」


「言いたい事は分かりますが、しかし天下布武は手段であって目的じゃありません。目的は信長教の勃興阻止です」


 正論過ぎる言葉が突き刺さる。

 だが信長達も粘る。


「ま、待てッ!! この信長教が、世界を征服する宗教とは限らないじゃろう!?」


「それに、この信長教が5000万年どころか1億年間存続するなんて考えられません!」


「そうかもしれません。じゃあ慎重に未来を見てみましょう。とりあえず、この信長教の時代に、信長さんから数えて50代目の皇帝改め大統領となった北南崎桜太郎という人物が、『仇討ち法』とか言う狂った法を成立させてますね」


 苦々しい顔でファラージャが言うが、他の者はポカンとしている。


「仇討ち? 仇討ちぐらい別に良かろうて。政治で決まった規則なんじゃろう?」


「そうですよ。私闘は困りますが、政治公認の『殺人の権利』を与えたのであれば問題ないのでは?」


 信長と帰蝶が物騒な事を平然と言うが、これが次の瞬間死ぬ世界で生きた人間の意見だ。

 仇討ちは当然の権利である。


 ファラージャは、その感性の違いに絶句しつつ解説した。


「……戦国時代の常識に縛られた皆さんには当然かもしれませんが、基本的に殺人は仇討ちであっても許されませんよ? 情状酌量の余地はあっても罪になります。事実、数百年以内にそう言った世界になり、先進国では基本的に市民の殺人は、仇討ちであっても許されていません。許可も出ません」


「そうなのか? 面倒な世じゃな」


「え~と? この歴史では記録によると、150年ぶりに復活した法律みたいですね」


「つまり、復活に足る良い法律なんじゃないか?」


 今回、天下を統一した後、仇討ちに関する法も整備して逝った。

 考えうる全てを想定し逝ったが、時が経過すれば、世の中の流れには沿わない法も必ず出てくる。

 歴代皇帝と大統領が、その都度法改正を行い、民を導いてきた。

 そんな中、50代目の北南崎大統領が、仇討ち法を復活させた。

 必要だから復活させただけで、他意は無い。


「……100歩譲って良い法だとしましょう。あー……結局1億年には存在してますね~。……信長教が」


 面倒臭くなったファラージャが、残り9999万7975年分をハイパーアクシオン量子コンピュータを使い一気に検索し、無慈悲な結果を告げた。

 

「やりなおしです。信長教が出現しない状態で大往生してください」


「そ、そんな……ッ!!」


 信長と帰蝶は見える光景が歪み、足元が瓦解する感覚に囚われた。


「ちょっとオマケしてくれても良いんじゃないか!?」


「そうですよ! ちょっと慈悲を下さいよ!」


 信長と帰蝶がファラージャに食って掛かるが、更に無慈悲な声が2人をブッた斬る。


「ダメです。それに、これからコミカライズもあるんですよ!? そんな情けない姿を日本全国の皆さんに晒すのですか?」


「こ、こみからいず?」


「なんです、それは?」


 突然、理解できない話が始まった。


「マンガ化です!」


「まんが?」


「『信長Take3』って言うんです!! もうかなり形になっているんですよ! 特別に現物を見せますよ!」


 ファラージャが虚空に手を伸ばすと、原稿の現物データが復元された。


「言っている意味が良くわからんが……ほう? 察するにコレがワシか?」


「こっちが私ですね?」


 2人はマジマジと原稿をみつめた。


「そうです! こんなに素晴らしく仕上げてくれたのに、その情熱を裏切るのですか!?」


 ファラージャが文字通り次元の違う、2次元の紙の説明をするが、なぜか全員、その言葉を理解した。


「うむ。ワシは中々に勇ましく凛々しい美少年よな? 良く似ておる。褒美に茶器を与えたいのう」


 信長が自画自賛した。


「そうですか? 主人公らしいですけど美化しすぎでは? 私は何の変哲も無い可憐で美しい事実そのままですが」


 帰蝶が信長の自画自賛を否定し、己の事は特に褒めるでもなく受け入れた。

 事実だから仕方ない。 


「……。確かにお主は可憐じゃが……あぁ、こんな時代もあったなぁ。懐かしいのう?」


 信長が青筋を立てながら言った。


「……は? 今も可憐でしょ?」


 帰蝶の体から殺気が滲みだした。


「……」


「……」


 研究室の背景が歪み始めた。

 怒りと殺気のなせる業だ。 


「久しぶりに決着をつけるか? いつまでも互角の力量と勘違いさせるのも可哀そうだしなぁ?」


「そうですね。女に負けっぱなしでは殿方の沽券に関わりますからねぇ? 体に教え込んで差し上げますわ!」


 その言葉を合図に2人は殺気を全開にして戦闘態勢に入る。

 信秀や道三ら一般人は当然、崇徳、将門、菅原ら怨霊も逃げ出す始末の、悍ましい殺気が渦巻いた。


「あぁもう面倒臭い! さっさとやり直してきてください!」


 こんな所で暴れられても困る。

 ファラージャは崖から蹴落とす様に、強制的に2人を転送させた。


 一方、夫婦喧嘩したまま再出発した2人。

 信長は元服の儀式にて『打倒斎藤家』を掲げた。

 帰蝶は快癒祝いの場で『織田家討つべし』と号令をかけた。


 結局、織田家と斎藤家は最後まで婚姻はおろか同盟すら無く、お互いが不倶戴天の敵対勢力として、また少年少女の信長と帰蝶がお互い軍の先陣を切り、激闘を繰り広げる歴史を作り上げた。


 そうしてお互い相打ちで死んだ所で帰還し、前代未聞の大失態の歴史が一本誕生してしまった。

 Take6030の事であった。

 こうして、史上初の天下布武達成での帰還を果たすも、今度は史上最速記録での帰還を果たしたのであった。 

 

「ごめんなさい」


「申し訳ありません」


 信長と帰蝶が土下座した。


「さぁ! やり直しですよ! 時間は無限にありますからね! 何Takeでも行きますよ! コミカライズ記念ですからね!」


「はい……」


 こうしてまた、信長Take6031がスタートするのであった――

せんでした~^^;

成功するわけないですよね。

成功したら本編終了ですし……。

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