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信長Take3【コミカライズ連載中!】  作者: 松岡良佑
17章 永禄4年(1561年) 弘治7年(1561年)必然と偶然と断案
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166-3話 若狭湾決戦後始末の顛末の結果の結末の行方の因果の余波 日本の副王

166話は4部構成です。

166-1話からご覧下さい。

【阿波国/芝生(しぼう)城 長慶私室】


 こんな所に男女が密会では妙な噂が立つのが普通だが、内容を知る者にとって、そんな下世話な発想は間違っても出ない。

 何せ、最悪な結果となれば、入ったのは2人、しかし、出てくるのは1人かもしれないのだから。


「さっそくだが聞こう。この世は何故乱れていると思う?」


 着座するなり長慶はさっそく始めた。

 まるで『今日の晩飯何にする?』とでも聞く様な口調だ。


「うーん……。申し訳ありませんが、答えは分かりません」


「分からん!?」


 いきなりの長慶の質問に対し、実に適当な答えを言う帰蝶。


 この答えは長慶にとっては予想外であった。

 何かしらの答えを持つであろう者を選んで面談をしているつもりであった長慶。

 事実、今まで面談に挑んだ者は、答えは様々であっても、己の答えを持ち合わせていた。

 それなのに、帰蝶の第一声は『分かりません』である。

 史上初の女大名に対する期待もあっただけに失望も強い。

 思わず刀に手を掛けようと腕が動いてしまう。


「それが分かれば、私は日ノ本は当然、三国は疎か南蛮含めた世界の支配者になっているでしょう」


 刀に伸びる長慶の手が止まった。


「そう言う事か。コレはワシが愚かであった。確かにその通り。そんな真理が分かれば苦労はせん。宗教の悟りに匹敵する問であったわ。その上で聞こう。この世は何故乱れているのだと思う?」


 伸びた手は引っ込んでいない。


「ッ!」


 長慶は敢えて同じ問いをぶつけた。

 長慶も帰蝶に言われて納得する、確かに真理に匹敵する難問だが、それでも『分からない』などと小賢しい答えは求めていない。


「分らんのは分かった。では分らんなりに何の為に動いている? 仮に本当に分らんのに動いているのであれば私戦を無秩序に繰り広げる凡百の大名と何ら変わらん!」


 長慶は左手で鞘を、右手で柄を握って動きを止めた。


 長慶の覇気が強まる。

 座った体制のままでも帰蝶を上下に分断できる技量は充分に感じられる佇まい。

 大広間で対峙した時とは比較にもならない、信長にも匹敵する嵐の如き覇気。

 まさに日本の副王たる長慶の真骨頂だ。


「じゃが、ワシはお主がそんなツマラン人間だとは思えん! その武名! 功績!! 迫力! 女の身で大名として我が前に立つ偉業! これが傑物でなくて何なのか!?」


 長慶の弁が熱を帯びる。


「まさか織田の尖兵で終わるつもりではあるまい! 斎藤家だけが生き残る為だけに動いている訳ではあるまい! 何の理想も持たぬ訳ではあるまい! お主の野望を聞かせよ! ッ!?」


「本音で話せそうですね?」


 突然、帰蝶の様子が激変する。


「なッ!?」 


 帰蝶は戦場と変わらぬ殺気を放出した。

 一方的に試されるのは好きではない。

 これは戦いなのだ。

 ならば今は一騎討ち。


「或いは、この部屋から歩いて出られるのは私だけかもしれませんね?」


 長慶が不要と判断した者は斬られる。

 事実、毛利元就は(そうさせる策だったが)斬られた。(137話参照)

 だが、面談される側が黙って討たれる筋合いは無いし、逆に長慶を不要と判断すれば、その後の生還を考えなければ殺す事も可能だ。


 帰蝶の顔が殺気で歪む。

 滲み出た殺気が長慶の体を侵食する。

 だが、その中に確かな覇気も滲み出る。

 ただ強ければ良いだけの武将では不可能な、信長にも認められた真に人の上に立つ者にしか出せない支配者の覇気を帰蝶は身に着けていた。


「成程! ワシがお主を試している様に、お主もワシを試しておったのだな!? ククク! 面白い! 面白いぞ斎藤帰蝶! 我が前にて、そんな事を言ってのけたのはお主が初よ! それでこそ招いた価値がある! ワシに不足を感じれば遠慮なく討ち取ればいい!!」


 そう言って長慶は刀抜き、お互いの中間地点に突き立てた。


「その本音、是非聞かせてくれ!」


 今まで数々の武将を怯ませ驚かせてきた帰蝶の殺気に対し、長慶は顔を輝かせて興味を示す。

 まるで玩具を目にした子供だ。

 長慶も全く負けていなかった。


「最初は些細な夢でした」


「夢とな? それは何じゃ?」


「歴史に名を残す事です」


 斎藤帰蝶は、日本史上最高の大英雄織田信長の正室なのに、一体何をやって、どう信長と関わって、いつ死んだのか不明な点が多すぎる人間だ。

 まずこれを正す。

 これが最初に望んだ(ささ)やかな野望だ。


「歴史に名を残す? どういう事だ?」


「何せ女は政治の道具なのに、私は病で寝込んでいた身。このまま『斎藤道三の娘』以上の情報を残せば上出来の、死ぬのが定めの身でした」


「ふぅむ、成程。男では理解が及ばぬな。逆に男はどんな阿呆も阿保として名を残せる。女で名前が残るのは大抵は悪女であろうよ」


「それなのに織田の殿に嫁ぐ奇跡です。こんな病弱の私で良いと言って下さったのです」


「だから織田の為に心血注ぐと? 病が快癒した今、それを遮る障害は無くなったと?」


 少々前世と混ざった説明だが、あえてそのまま話す帰蝶。


「そうです。歴史に名を残す為に挑んでいますが、まずは織田の殿の理想に沿う。これが私の理想。これが大前提。先ほど『織田の尖兵か?』と仰いましたが、私はそうである事を厭いません。必要なら戦うし出しゃばる。世の男共が怪訝な顔を向けようとも、あからさまな態度を取られ様ともです。夫婦大名に難色を示され様と、女が世に出る為には並みではダメなのです。常識を破壊するなど当然も当然であります」


「ふむ。恐らく男には一生理解が出来ぬのであろうな。興味深い話だ」


 長慶はどんなに気を付けていても男の立場で考えてしまう。

 帰蝶の事を認め評価していても、男社会の常識に染まった人間だ。

 どうしても力ある男なら『確固とした野望があるはずだ』と思ってしまう。


 だが帰蝶は目的と手段が逆だ。

 手段こそが目的なのだ。


「とは言え、さすがに女の私が武家を継ぐとは夢にも思いませんでした。常識を破壊すると言いつつ、これは予想外でした」


「ハハハ。そうであろうな。それは流石にワシでも思いつけぬ発想よ」


「そうして武家を継いで、まだ二月(ふたつき)程ですが各地を巡り改めて思いました。家臣、妻の立場なら、夢だけの為に動く事ができる。しかし大名になって思い知りました。いえ、それまでも強く考えてはいましたが、国を経営する立場になりより一層、問題意識が強まったと言って良いでしょう」


「それは一体?」


「宗教です」


「ほう?」


「例えば織田は宗教を織田殿の理想に作り替えようとしています。斎藤、今川もこれは賛同しています。逆に武田は宗教を利用し勢力の拡大を企んでいるハズ」


 武田の宗教戦略については前世の事実から判断しているが、実際に対面した武田晴信を見た時に、この歴史も同じと判断した。(164-2話参照)


「そして今や、加賀、越中、能登、飛騨に拡大した一向一揆。政治の失敗だけが原因ではありますまい。最初の切っ掛けは政治だったとしても、煽っている者がいるのは確実。斎藤、朝倉、上杉で封じ込め殲滅をすると決めましたが、恐らくそれだけでは足りないでしょう。何せ、一揆と手を結ぶ勢力もいるのですから」


 加賀一向一揆の始まりは富樫政親の弾圧が切っ掛けだが、その富樫政親は当初、浄土真宗の力を借り守護家への内紛介入であった。

 その後、その力を政親が恐れ弾圧し、逆に敗れて自害し、加賀は百姓の持ちたる国となる。

 更には大小一揆と言われる内紛に入り混迷を極め今に至る。


「先日も企ての一つを潰しましたが、今思えば近江に一向一揆を誘発させる手筈だったのでしょう」


 浅井久政である。

 自国の兵だけでは全く足りない上に、主家にも内密だった斎藤家打倒の思惑。

 奇襲を仕掛けたとて後が続かないが、しかし近江で一向一揆を誘発させれば、あるいは手を組めば可能性は広がる。

 何せ、伊勢願証寺を滅ぼした織田家に与する斎藤家なのだから、一揆を誘発し手を結べる公算は高い。

 そして、それは事実であった。 


「摂津は言うまでもなく石山本願寺のお膝元。そこで思いました。もし、この戦乱を収める場合、宗教に導いてもらうか、宗教を導くか2つに1つにしか無いと。1つの考えに纏まれば、無用な争いは減らせましょう」


「言っている意味は分かる。しかし、宗教に導いてもらうにしても、仏教宗派は数限りなく、その座を巡って争いが起きるに決まっておる。しかも今は南蛮宗教まで進出する始末じゃ。仮に仏教が統一されても今度は南蛮宗教と戦うハメになろう」


「そうです。ただ私も宗教が憎い訳ではありませぬ。病床の折には仏の教えに随分救われました。ですから滅ぼす手段は取りたくない。ならば手段は一つ。我らが宗教を導くしか無いのです。宗教を法にしてはなりません。正に王法為本。外ならぬ一向一揆の総本山たる本願寺の蓮如上人が説いた正に至言。法の下に宗教を置かなければ」


「ほう」


 現代でも政教分離を掲げる国は数多い。

 それは信仰の自由を保障する側面もあるが、国が国教を定めるとデメリットが多すぎるからだ。


 国教を定めれば、必ずその他は邪教になる。

 そうなれば正当国教以外を迫害し余計な対立も抱える事になるのは、いちいち例を挙げないが歴史的事実。

 邪教を滅ぼすのは、人類共通の正義の実行であり歴史だからだ。


「あと一応3つ目の手段のとして如何なる信仰をも禁じ、完全に宗教を滅ぼす事ですが、これは論外でありましょう」


「まぁな。そんな不可能な事に労力を割く時は無かろう」


 一切の宗教を禁じても問題は起こる。

 心の中まで制御など出来ないのだ。


「仏法が日本に入って1000年少々。その成立はもっと古いのでしょう。しかし、そんな古臭い価値観を法律として掲げて破綻しない訳がありませぬ! 故に宗教を法の下に置く必要があるのです!」


 宗教を法にすると人間の進化も止まる。

 宗教とは当時の人々が生きて行く為に必要だった法でもあったのに、現代にまで適応させて問題が起きぬはずが無いのは、国際ニュースを見れば一目瞭然。


 大小様々問題が発生する政治と宗教。

 野放しにして問題が起きぬハズが無いのは、特に今を生きる読者の皆様にはご存じの通りだ。


 しかし、これが現代まで続く世界の常識。


 これを世界史上初めて問題解決に取り組み成果を上げたのが信長であり、追随したのが秀吉、家康である。

 信長が徹底的に戦い、秀吉が武力を奪い、家康が法で押さえつけた。

 これこそが戦国時代三英傑最大の功績といっても過言ではない。


 その苦労と偉業を忘れている人が多いが、彼らのお陰で、この時を境に日本人の大多数は宗教の束縛から解放され、世界に先駆けて『信仰の度合いの自由』を手に入れた。


「神仏の為に命を投げ打ったり、生活を破綻させては本末転倒! このままでは国が滅びます! 近い将来は良くても、遠い将来は必ず!」


 現代でも大問題が発生しているが、帰蝶のいう問題は信長教である。

 もちろん、信長教出現までに何の問題が起きないハズが無いと当然思っている。


「国が滅ぶ? 美濃国、という意味ではないな? 日ノ本の事か?」


「そうです」


 長慶も流石に信長教は見抜けないが、だが、帰蝶の只ならぬ雰囲気は感じ一端をつかんだ。


「そうです、と来たか。その心は?」


「朝廷が力を失い将軍の権威が地に落ち、各地の武家が食料を求め争いが激化したのが今の時代。しかし、その理由はオマケに過ぎないと思っています」


「ほう? 食い扶持の為に戦うのがオマケとな? では何のオマケじゃ?」


 長慶は聞き返すが、かと言って驚いてはいない。

 同じ事を思っていたのであろう。

 寧ろ、この後に続く言葉に期待している。


「信仰でしょう。宗教の信仰は当然、我らの主義主張も、所詮は信仰に過ぎません!」


「ッ! 驚いたぞ……!」


 長慶は己の思う正解をアッサリと言ってのける帰蝶に本心から驚いている。

 帰蝶の殺気を浴びせられた時よりも驚愕していた。


「その答えを言ったのは織田に続きお主が二人目よ!」


「そうだったんですか。殿は何も話してはくれませんでした。私がその答えに辿り着いたなら何よりです」


 実は帰蝶も冷静に見えて驚いている。

 それは長慶の思う正解に辿り着けた事ではない。

 自分は2回目の人生と未来の惨状を見て辿り着いた結論なのに、長慶はそんな事を経験せずに同じ答えに辿り着いている事にだ。


「もし本当に武家の争いが食料と支配地拡大が主眼ならば、とっくの昔に収束しているであろうよ! 最後の勝者が他者を力で押さえつければそれで終わりじゃ! あの応仁の乱でな! しかしそうはならんかった! 何故なら主義主張と言う信仰が噛み合わんからだ!」


「その通りにございます」


「信仰が理由では最後の勝者が現れるハズも無いも当然! 先も言うたが、仮に統一しても今度は次の戦いである宗派の争いが待つだけよ」


 世界唯一宗教である信長教も、宗派によって争いが繰り広げられる末期の世界。

 宗教の勝者は未来永劫絶対に現れないのであろう。


「だが我らの主張も所詮は信仰! 三好の行動は長慶教! 織田の行動は信長教に過ぎぬのだ! ならば今は日本全てが宗教戦争の状態!」


《し、信長教! なら私の考えは帰蝶教と呼ぶべきなのね》


《ま、まぁそうなりますかね? 私の歴史改変計画も胡蝶教なんですね》


 自分で辿り着いた答えから聞き覚えのある単語が出てきてしまい、帰蝶もファラージャも少々動揺した。


「何でもかんでも宗教の責任にしてはならぬ! ここを履き違えて単に武力だけで統一が成ったとて必ず元に戻る!」


「そうです。我らは己の信仰で他宗教の全てを従えねばなりません。ただし、絶対に信仰の自由を与えねば即座に元に戻りましょう。認めた上での支配です!」


 長慶の興奮は止まらない。


「斎藤帰蝶! そこまで辿り着いたか! そう! 正に今は歴史の転換期なのだ! その期待に応えてくれた解答にワシは鳥肌が止まらんぞ! 合格だ! 文句の付け様が無いわ!」


「ありがとうございます」


「そして合格したならば、ワシも覚悟を決め、さらに話さねばならぬ! ここからが真の本番! 正に命がけよ! 過去に11人、先の答えを言えずとも挑んだ者もいたが、先の答えに辿り着いたお主が言えぬハズがない事を問う! この先の面談に挑み全員が絶句した罪深い事をな! 期待はしておるが覚悟は良いか!?」 


 今川義元、織田信長、斎藤義龍、上杉政虎、北条氏康、毛利元就、長曾我部元親、松永久秀、宇喜多直家、三好実休、安宅冬康。

 これが三好長慶に選ばれし11人であり、10人生還、1人死亡の結果を生み出した面談である。


「はい。望むところです」


「よし! では最後の審判じゃ! ワシは何をしようと思っておるか述べてみよ……!」


「三好殿は今現在、日本の副王と称えられております。『副』を取り外したいと思っているのではないでしょうか!? 従って、日本の『王』三好長慶を目指していると推察します!」


「日本の王か。確かにワシは副王などと呼ばれて久しいが、では今の『王』は誰だ? ワシは『誰の副』なのか? これを明言せねば命は無いと思え!」


「天皇以外に存在しませぬ!」


「フフフ……! そんなアッサリと言ってのけるか! お主の兄は苦悶の表情で絞り出した答えであったぞ!」(91-3話参照)


 信長も義龍も、その他面談に挑んだ全ての人間がこの答えを言った。

 だが、例えば義龍は余りにも恐れ多くて苦悶しつつも絞り出した、病と寿命にも影響を与えたかもしれない答えだった。

 しかし、天下を目指す覚悟を持った者が、口に出すのは憚られても、この考えに至らないはずが無い。


 何故なら異常だからだ。


 何が異常かと言えば、日本の支配システムである。


 現在の世界では王の下に議会があり、王は象徴に過ぎない国が数多いが、日本は恐らく世界最速でそのシステムを導入した国だ。


 とは言っても、そんな規則が作られた訳ではない。


 だが、日本は天皇の下で№2を争うのが普通の国。

 藤原氏、平氏、源氏と最高権力者の天皇の次が最高権力者となるのが通例の国だ。

 王が絶対権力を持つ事を許されないのが現代まで続く日本だ。


 それを覆そうとした天皇も存在したが、一時的な権力回復しても、決して長続きはしなかった。

 また、天皇の座に挑戦した者もいたが、例えば平将門などは新皇を自称し2か月で滅んだ。

 他にも何人か挑んだと推測される人物がおり、足利将軍家3代目の足利義満や、織田信長も目指したのではないかと言われる。


 いずれにしても共通しているのは、絶対に天皇は権力回復が出来ないし、逆に天皇の権力簒奪を成し遂げ登り詰めた人物もいない。 


 だが、こんなのは世界の非常識だ。

 世界の歴史では、王や皇帝が倒されて当たり前だ。

 前王朝を潰して新王朝が成立するのが普通だ。


 日本だけが天皇の下の№2を争う不思議な国で、この時代に日本を訪れた宣教師もこのシステムが理解できず『日本には2人の王が存在し、どちらに挨拶すべきかわからない』と困っていた。


 何故こんな状態が安定して続くのか?

 天照大御神が大国主から国の支配権を譲り受けたからなのか?

 当たらずとも遠からずなのだろう。

 宗教が絶対の世界では神話は純然たる事実なのである。

 正に『天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス』であり絶対不変の常識。


 だから侵す存在は排除される。

 それはもう天の意思なのであろう。

 怨霊に匹敵する神の意志によって。


 あの頭脳明晰にして信長の忠臣だった明智光秀が、なぜ本能寺の変を起こしてしまったのか?

 その説の一つに朝廷守護説がある。

 天皇の権威を凌駕しようとする信長を排除した説だ。

 これには朝廷は関わっておらず、あくまで光秀の単独犯であり、自主性と自己犠牲によって成立している説だ。

 あの光秀が、後が続かないと気が付かぬハズが無いのに実行してしまう、まさに神の意志に取り憑かれたとしか思えない説である。

 

 他にも暴論だが、本能寺の変には様々な説があるが、決着がつかない理由も説明できる。

 何故ならこれは神の意志なのだから―――


 故に№2の座を争うのが日本の常識。

 №1を狙う者は滅ぶ。

 №1として振る舞っても滅ぶ。

 これが日本特有の自然の摂理だ。


 それなのに、三好長慶は天皇の大権に挑むと言った。

 日本の副王から日本の王へ。


「その通りだ! ワシは頂点を目指す!」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 三好長慶のテンションが急に上がったので思わず 「だが我らの主CHO所詮は信KO! 三好の行DO 長慶KYO! 織田の行DO 信長KYO! ならば今は日本全て宗KYO戦SO!」とラップっぽく…
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