後日談2 天使に出会った日
お子様なので、ひらがなメインで読みにくいかと思いますが、ご了承ください。
わたしの名前はドロシー、5さいです。
お父さまとお母さまと弟と乳母と、いっぱいの使用人のみんなと暮らしています。
この前読んでもらったご本で、お姫さまと王子さまが結婚してたの。
わたしもお姫さまって呼ばれることがあるから、王子さまと結婚するのかしらってお母さまに聞いたら、「できるかもしれないわね」って言われたの。
お父さまは、むかし王子さまだったんだって。
じゃあ、今はちがうの?って聞いたら、今はちがうんだって。
お父さまのお父さまは、この国の王さまだけど、お父さまは王さまにはならないんだって。
おじいさまの次の王さまになるのは、お父さまのお兄さまで、わたしのおじさまなんだって。
むずかしくて、よくわかんない。
わたしは、おじいさまにお会いしたこともあんまりないから、おじさまもよくわからないの。
でも、おじさまの子どもは王子さまだから会ってみる?ってお母さまが言うから、はいって答えたの。
お城に行って、王子さまに会ったけど、王子さまはわたしを見て「なんだ、このちんちくりんは」って言ったの。
わたしはちんちくりんなんて名前じゃないよ、ドロシーだよって言ったら、「ふん」って言って遊んでくれなかったの。
わたし、あんな王子さまと結婚するの、やだ。
お姫さまは、王子さまとなんか結婚しなくても、幸せになれるんだから!
あのね、今日、お母さまのお友だちのセリィおばさまが遊びにきてくれたの。
わたしがセリィおばさまに会ったのは、うんとちっちゃいころだったけど、わたしの頭をなでてくれる優しい人だから、大好き。
セリィおばさまが産んだ赤ちゃんが大きくなったから、会いにきてくれたの。
ノアっていう男の子なんだって。
大きくなったって言ってたのに、ガーベラスよりもちっちゃい。
でもね、ガーベラスよりもずっとかわいいの!
ガーベラスもかわいいけど、もっともっとず~~~っとかわいいの。
セリィおばさまそっくりで、ふわふわの金色のかみの毛と青いおめめで、よちよち歩いてわたしのところにきてくれるの。
きっとノアは天使なんだよ!
天使は頭にわっかがあるって、わたし知ってるんだから。
ないしょだけど、ノアのかみの毛にわっかがかくれてるの、わたし、見ちゃったんだもの。
「わたし、結婚するならノアがいい」って言ったら、お母さまとセリィおばさまが「それはいいわね」って言ってくれたの。
だから、わたしはノアと結婚するんだよ。
でも、「ノアがもっと大きくなってからね」って言われちゃった。
わたし、待ってる。
きっと、王子さまなんかより、ノアと結婚した方が幸せになれるんだよ。
ノア、早く大きくなればいいのに。
おわかりかと思いますが、ドロシー(ドロフィシス・ゼフィラス)はカトレアの娘です。
後日談1で触れている、カトレアの2人の子供、上が長女ドロシー、下が長男ガーベラスです。
セリィが産んだ跡継ぎの男の子が、ノア(ノアジール・ジェラード)になります。
今回は、ノアが2歳、ドロシーが5歳、ガーベラスが3歳になった頃の話になります。
王子さま=王太子の息子は、この頃7歳。
初めて会った可愛い従妹に、照れ隠しからいじわるをしてしまい、この後ずっと嫌われることになります。
まあ、血が近いので、普通に行っても結婚はしないでしょうけれど。




