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圧倒的ガチャ運で異世界を成り上がる!  作者: ケンノジ


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24/114

24話

「どこに向かってるのでしょう?」


 20mくらい先を走るゴブリンを見てクイナが言った。


「ゴブリンの国とか、かしら……」

「なんです、その少女趣味な予想」

「う、うるさいっ。少女趣味なんかじゃないわよ」


 よっぽどテンパっているのか、ゴブリンは後ろを振り返らず短い足を動かしている。


「ギギ、ギギ」


 走ったり歩いたりを繰り返すゴブリンの先には森が見える。


「もしかして、あそこがあいつらのねぐらなのか?」

「ゴブリン自体どこにでもいるし、特別な環境下でないと生活できない、なんてないから……その可能性はあるわ。別に森に名前があるわけじゃないし、街道からも離れていて誰も近寄る物好きもいないから、魔物が棲みつくことが多いのよ」


「で、そこをねぐらにしちゃったわけか」


 町からも相当離れている。

 昨日の捜索しながらの2時間程度じゃ、ここまで足は伸ばせなかったのもうなずける。


 迷うことなくゴブリンは森の中へ入った。


 クイナがいた森やエルム湖の森とはまったく違う印象を感じた。

 鬱蒼と茂る森は、昼間なのに薄暗くてちょっと気味が悪い。


 ゴブリンが踏み固めただろう雑草が道のようになっているだけで、歩きやすいように整備された道なんてなかった。


 視界は悪く、もうあのゴブリンの背中は見えない。


「なんかちょっと薄気味悪いわね……」

「そうですね……」


 リーファとクイナが森の様子を見てつぶやいた。


 おれが先頭で、道なき道を歩く。


「弁当持ってくれば良かったな」

「なんでジンタはピクニック気分なのよ……」


「いや、途中でお腹すいたら大変だろ?」

「がうがう……」


 お腹空いたの声だ! たぶん。


 アイボからパインゴを取りだしてあげると、

「がるぅ~」

 と、ひーちゃんは機嫌良さそうな声を出した。


「のんきねえ……」


 だいたい、どれくらいの規模の巣なのかもわからない。

 森なんだから10体20体じゃ済まないだろうし。


「リーファ、ここってどれくらいの広さがあるんだ?」

「そうね……小さな村一つ分くらいはあるかしら」


「それなら、ある程度行って手に負えなさそうなら一旦引き返して、また準備して再調査してもいいか」


「そうですね、そうしましょう。ねぐらがわかったのなら、いつ来てもいいでしょうし」


 クエスト期間は10日間と設定されているし、あと4体狩ればいい。

 すぐに片付くだろう。


 左右を木々で遮られていた一本道がしばらく続く。

 それが途切れ、拓けた場所にでる。


 そこには、複数のゴブリンがたむろしていた。


「「「ギャ、ギャギャ!」」」


 こっちに気づいて、小剣を構えるゴブリンたち。


 あ。平原にいた奴らよりも強い!


――――――――――

種族:ゴブリン(エリート)

Lv:16

HP:260/260

MP:24/24

力 :47

知力:8

耐久:44

素早さ:21

運 :11

――――――――――


 しかもこいつら、普通のやつより大きい。

 追いかけた奴はひざ丈くらいだったのに、こいつらは腰まで背丈がある。


 おまけに鎖帷子着てやがる。サイズは若干あってないけど。

 何も装備していない一体が、おれたちが追跡してきた奴で間違いないだろう。


 全部で6体。


 おれは魔焔剣を引き抜いた。


「リーファは後方支援。怪我した人が出たら治癒を」

「うん! わかった」


「クイナはリーファの護衛とおれの援護を頼む」

「わかりました!」


「がうっ? がうっ?」

「ひーちゃんは……そうだな……指示は特にない」


「がるぅ……」


 そんなにヘコむなよ。

 ひーちゃんは自由に動いてくれればそれで十分だ。


「「「ギ、ギャギャ! ギャギ!」」」


 剣を手にゴブリンが迫ってくる。


 キュゥン! と風の矢が走り先頭のゴブリンを貫く。


 続いておれが斬り込んだ。


 一体目を斬り伏せ、二体目が放った斬撃をかわす。

 ――あああ、もうまどろっこしい!


「【灰燼】!」


 剣にまとわりつく漆黒の焔を見て、びくッとゴブリンたちが固まるのがわかった。


 隙あり――


 真横になぎ払った剣は、近いゴブリンも遠くにいるゴブリンも一瞬で両断した。

 それどころか、付近の木々十数本を巻き込んだ。


 ズゥゥウン、と木が何本も倒れ、地面がちょっと揺れた。


 もうちょっと、手加減の練習しないと……。

 とにかく、さっき見かけたゴブリンは全員倒したようで、動いている奴はいなかった。


「ななななな――何ですかその技……」

「ちょ、怖いんだけど……」


 声に振りかえると、二人が剣を指差していた。


「あ。そういや、ちゃんと見せるのはじめてだったな」


 まだ轟々と黒炎が燃え盛っている。

 二人はおれから、というよりも剣からすすすす、と距離を取った。


「がうがう~♪」


 さすがご主様ー、とでも言いたそうなひーちゃん。

 なんか嬉しそうだ。


「離れたゴブリンも真っ二つだったわよね……」

「ああ、そうだな」

「なんですか、そのさも当然のような言い草は……」


「だって地面も裂けるし」


「「えぇぇぇぇぇ――っ!?」」


「あんまり大声出すなって。また敵が出てくるかもしれない」


 それはそうと、強いゴブリンがいるってことは、やっぱり巣で間違いなさそうだ。



次回は明後日1/9 17時頃更新します!

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