回復魔法ですけど、何か?
ブクマ評価感謝です。
今回少し短いのでご了承ください。
申し訳ないですm(_ _)m
「俺の腕を切り落としてみてください」
俺はそう言いながら、以前にギルドでもこんなことがあったなぁ、と懐かしく思った。
「……ふむ、君が言うならば、それに従おう。だが切り落とすというよりか、消し飛ばす、という風になってしまうが良いだろうか」
「えっ!?」
魔王様は少し黙り込んだあと、俺にそう確認してくる。
隣でパルフェクト姫が驚いたような声を上げているが、気にしない。
俺は、別に構わないと頷くと、魔王様が俺の腕を消し飛ばす、その瞬間を待った。
「……ッ……!」
そして、魔王様が一度意気込んだかと思うと、俺の腕のあたりが何やら黒いモノに覆われてしまう。
「ッッ!?」
一瞬後、俺の腕からは紅い血が滴り落ち、床には血溜まりができている。
それを見たパルフェクト姫は、その顔を青くさせる。
「な、なにをしておるのじゃっ!?」
そして物凄いで俺に詰め寄ってくる。
「……えっと、ヒール?」
何か悪いことをしたかな、と思いつつ俺はいつもと同じように回復魔法を自分に掛けた。
「……ほう」
「っっ!?」
それに対し、二人はそれぞれ違った表情を見せる。
まず魔王様はというと、俺の回復魔法により新たに生えてきた腕を感心したように見てきている。
そしてパルフェクト姫はというと、俺の切り落とされた腕をまじまじと見たあと、俺の新しく生えた腕に、目を見開いていた。
「……えっと、こんなもんですかね」
俺はそんな二人に対し、このままにしておくわけにもいかないのでひとまず声をかける。
「い、今のは一体なんなのじゃっ!?」
すると、パルフェクト姫は未だに俺の回復魔法に感心している魔王様とは違って、俺に食って掛かってきた。
「……え、一応回復魔法ですけど、何か?」
「なっ……」
パルフェクト姫は、俺のその応えに愕然としているようだ。
「これは、すごいものだな」
そこでようやく、魔王様が我に返ったのか、そう呟いた。
「確かにこれなら魔族にでも回復魔法が効くというのは頷ける」
そして一人頷きながら、俺に称賛の言葉を告げてくる。
「……」
しかしやはりというべきか、パルフェクト姫はどこか納得のいかないような顔をしている。
けれど俺の回復魔法を目の当たりにして、何も言えずに黙り込んでいた。
「よし、これならリリィの風邪も治してくれるだろうし、ここに連れてきてあげなさい、パルフェクト」
「……」
しかしパルフェクト姫は、そんな魔王様の言葉に再び顔を青くしたかと思うと、下を向いてしまった。
「ん、パルフェクトどうしたんだい?早くリリィを連れてきてあげなさい」
魔王様は自分の言葉に応えないパルフェクト姫を急かす。
「―――その必要はありません」
その時、後ろの方から声が聞こえてきた。
「……え?」
思わず扉のほうを振り返ってみると、そこにはドレスを着飾った、女の人が立っている。
「……えっ!?」
その女の人が誰だろうと思い、少し目を細めて見てみる。
その結果、そこに立っていたドレスを着ている女の人は、どう見ても――――――メイドさんだった。




