その柔肌を撫でるように
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「……わからん」
俺は今部屋の中でずっと考え続けていた。
言わずもがな、リリィのことについてだ。
つい先日の腕相撲勝負において、俺はリリィの圧倒的な力の前に敗北を喫した。
「……いやまておかしい」
リリィの圧倒的な力ってなんだよ……。
「最初がおかしいから今まで分からなかったのか……」
部屋に引きこもること丸一日、俺はようやくそのことにたどり着くことができた。
「……」
では、圧倒的な力とは何か。
ちょっとズルはしてしまったが、一回は腕相撲王者まで上り詰めた俺の腕を、机が真っ二つになってしまうほど強く叩きつけられるほどの力。
あの細腕のどこにそんな力が隠されているのだろうか……。
わ、分からん…………。
とにかく今はリリィの件を調べなければならない。
「よし誰もいない……」
そうと決まれば即行動だ。廊下にだれもいないことを確認し、リリィがいるだろうところに向かう。
案の定というべきか、リリィはちょうど料理を作っている真っ最中であった。
「リ、リリィ」
若干緊張しながらも、リリィを呼ぶ。
「ん、ネストぉやっとでてきたのー?」
「ち、ちょっとリリィに用事があってな……」
俺が部屋にこもりきりだったのはリリィだけでなく、アウラたちにももちろん知られてしまっている。
「リリィにー?」
「あ、あぁ。だから一回俺の部屋に来てくれる?」
首をかしげるリリィは、俺の言葉を聞くと一度料理を中断した。
「あ、別に料理がすんでからでも全然大丈夫だぞ?」
まさか今すぐ来てくれると思わなかった俺はリリィにそう教える。
「ん、りょうりよりもネストのほうがいいーっ!!」
そう言いながら俺の腰あたりに抱きついてくるリリィ。
か、かわいすぎる……ッ!!
「そ、そうか。じゃあ行こうか」
上擦ってしまう声をどうにか落ち着け、リリィの手を引きながら部屋へと向かう。
「え、えっとそれで、リリィに用事っていうのはな……」
部屋に着いた俺は、まずリリィをベッドに座らせ、そう切り出した。
「……リリィの身体についてのことなんだ」
「リリィのからだぁ?」
俺の言葉の意味がよくわからなかったのか、俺の言葉を繰り返してリリィが聞いてくる。
「あぁ、ちょっと調べないといけないことがあってだな……」
そう俺は、俺が幼女であるリリィに腕相撲で負けた訳を調べないといけないのだ。
「じゃあまずは腕を見せてくれるか?」
最初に調べるのは本命である腕。
リリィは俺が言ったとおりにこちらに向けて腕を伸ばしてくる。
俺はゆっくりとその差し出された腕に触れる。
やはりというべきか、その腕は何の変哲もない、ただの柔らかい腕だった。
こんなに真剣に女の子の腕を見たことや触ったことが無いので、普通の女の子との違いは分からないが、恐らくはアウラたちもこんな感じだと思う。
……気持ちいい。
これなら何時まででも触っていられる自信がある。
「……んっ……くすぐったいーっ!」
俺がリリィの腕の柔らかさを堪能していると、我慢していたのかリリィは腕を引っ込めてしまった。
「あ、ごめんごめん」
あまりにも気持ちよかったから我を忘れてつい触りすぎてしまった。
イカンイカン、これは遊びじゃないんだから。
「じ、じゃあちょっとこっちに背中を向けて服を脱いでくれるか?」
リリィの力の原因が腕にないのならば、その身体のどこにあるかわからない。
前はさすがに厳しいので後ろを確かめれば良いだろう。
「うんっ、わかったぁー!!」
なんの躊躇いもなくリリィが今現在着ていた服を脱ぎだす。
「ッ!?」
しかもこちらを向いたまま脱ぎだしたので慌てて目を逸らす。
「できたよぉー」
程なくしてリリィの準備が出来たと言ってきた。
ちらりとリリィの方を確認すると、きちんと服を脱いでこちらに背中を向けていたので、胸をなでおろしながらリリィの身体を調べにかかる。
俺の指が、リリィの背中の白い肌に触れた。
「……んっ……」
リリィがくすぐったさからか、声をあげる。
だが、調べ物には犠牲はつきものという。リリィには悪いが今は我慢してもらおう。
リリィの背中はとても柔らかかった。
上からその柔肌を撫でるようにゆっくりと動かす。
「……んぅ……っ……」
それに合わせて、だんだんと大きくなってくるリリィの声。
それでも俺はその背中を調べ続けていた。
「………ネスト、一体何をやってるのかしら……?」
俺の部屋に、恐ろしい鬼の冷ややかな声が、響き渡った――。
「え……」
背中を調べることに夢中になっていた俺は、恐る恐る自分の部屋の扉の方へと視線を向ける。
そこには、アウラがまるでゴミを見るような目で俺へと向けていた。
そこで俺は傍から見た俺たちを想像してみる。
……男が幼女の服を脱がせて背中から襲ってる、ようにしか見えないわコレ。
「い、いや、違うんだこれはっ!!」
恐らくこれを誤解と解くのには時間が足りないかもしれないが、それでも少しの希望にすがってしまう。
「……ネスト宛に手紙があったから来てみれば……」
そういうアウラの手の中には確かに何やら手紙のようなものが握られている。
「こんの変態がぁぁぁあああああああっっっ!!!!」
そして、俺の部屋にアウラの怒声が響き渡った―――。
俺がしばらく部屋から出してもらえなかったのは言うまでもない、か……。




