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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。  作者: きなこ軍曹/半透めい
第二章  俺の本気の力がどう見てもリリィの劣化版な件について。
55/181

すっごく大きいから気持ちいい

ブクマ評価感謝ですm(_ _)m



 「よし、じゃあ始めまーす!」


 俺たちは今、久しぶりにギルドで治療をしている。


 ……それにしてもさっきは驚いた。


 朝、顔を洗おうと鏡の前に立ったら、どういうわけか真っ赤に腫れ上がった俺の顔がそこにあった。


 驚いて、博識のアウラ先生に聞いてみたところ、どうやら夜のあいだに血を吸う虫に噛まれまくったということらしい。


 まぁそんなこんなあったが、すぐに治療も終わらせ大事にはいたらなかった。


 「おう!今日もよろしく頼むわ!」


 さて、今日のお客さん第一号も来たことだし、治療に集中するか――。





 「はぁ……やっと一通り終わったな……」


 時間も昼食をとるくらいになり始めたころ、ようやく並んでいた人たちのほとんどを治療し終えることができた。


 「アウラとトルエは先に昼食とってきていいぞー」


 急ぎのお客さんがきたときのために、念のため俺かトルエが残っている必要があるので、この組み合わせになるのは仕方がない。


 「分かったわ、でも一応できるだけ早く帰ってくるようにするから」


 そう言って、トルエとアウラがギルドの外へと出て行った。


 残されたリリィは俺の膝の上に座りだし、気持ちよさそうに目を細めている。


 「じゃあ次の人、どうぞー」


 そして、俺は再び治療を再開した。


 




 「おう、あんちゃんいつもお疲れぇ」


 みんなも朝食をとっているのか、珍しく客足が途絶えたとき、よく治療をうけにくる冒険者のおっちゃんたちが数人話しかけてきた。


 パッと見た感じ怪我をしているようには見えないので、ただ話をしにきたということだろう。


 「んぅ、ちょっとおはなつみにいってくるぅ!」


 ちょうどその時、最近アウラたちに教えられたばかりの隠語を使いながら、リリィが俺のひざからおりた。


 「了解」


 おっちゃんたちもリリィがいない方が話せることも増えるかもしれないな、とか考えながらリリィを見送る。


 「よっこらせっ、と……。……で、あんちゃんは結局誰が本命なんだい……?」


 席に座った一人のおっちゃんが身を乗り出しながらそう切り出す。


 「えっと、何が……?」


 だがあいにく俺にはイマイチその意味が分からなかった。


 「……本命ってのがまずわからないんだけど?」


 「おいおい……」


 すると、おっちゃんたちが呆れたような顔を浮かべるが、知らないものは知らないのだからどうしようもない。


 「はぁ、まぁつまりあれだ。誰と一番ヤってみたいか、ってことだ」


 「ハァッ!?」


 いやおかしいだろ。どうしていきなりそんな話になったのかがまずわからない。


 「だって、あんちゃんいっつも三人くらい可愛い娘連れてんだろ?まぁ二人はまだ子供みたいだから一人に絞られるっちゃあそうだが、噂じゃギルドのアスハさんとまでヤケに親しげだって聞いたぞ?」


 「ま、まあ確かに皆可愛いのは否定できないけど……」


 だからといって、そんなに話がうまく進むわけもない。


 俺はそこらへんの一般人とも変わらないし、まず相手にもされないはずだ。


 「はぁっ!?あんちゃんそれでも男かよぉ。ま、まさか……男が好きなのか……?」


 「違ぇーよッ!?」


 見当違いなことを言いながら俺から遠ざかるおっちゃん達に慌てて否定する。


 変な噂でもたったらどうするんだ。


 「ははは、冗談に決まってんだろ?」


 「勘弁してくれ……」


 ほんと、冗談に聞こえないから。


 「たっだいまぁー!!」


 俺がため息をついていると、お花摘みから帰ってきたリリィが俺の膝の上に座ってくる。


 「ねぇ、何はなしてたのー?」


 無邪気な笑顔を浮かべながら俺とおっちゃんに聞いてくるが、今話していた内容を伝えるわけにもいかない。


 おっちゃんたちもさすがに子供の前では自重してくれるだろう。


 「リリィちゃんとこのお兄ちゃんがどういう関係なのかなーって話をしてたんだよ」


 おっちゃんのうちの一人が勇敢にもリリィに伝える。


 ……少々きわどいけど、それならぎりぎり大丈夫なところだ。


 「んー?ネストとのかんけい?」


 「そ、そうなんだよ。このおっちゃんたちがしつこくってさ。教えてやってくれよ」


 リリィならば変なことは言わないだろうし、というか実際何もやってない。


 「えっとねぇー、リリィはネストの上にいるよぉー?」


 「「「……は?」」」


 「ネストの上はねぇ、すっごく大きいから気持ちいいのぉー」


 ちょ、ちょっとまて?


 え、リリィは何を言ってるんだ?


 もしかして、膝の上ってことか……?


 「……まさかあんちゃんがそんなやつだったなんて」


 「そ、それならまだ男が好きな方が……」


 「恐ろしやァ……」


 だんだんとおっちゃん達が俺から離れていく。


 速い奴は既にギルドの入口にまで行っている。


 「じゃ、お、俺はお先に」


 「が、頑張ってな……?」


 そして各々好き勝手いいながら散らばっていく。


 「ご、誤解だぁぁぁぁぁああああああああああっっっ!!!」


 俺の絶叫に反応するものはそこにはもう、居ない――










 次の日から、俺が幼女趣味の変態だという噂が流れました。


 

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