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再会の裏側で

 その頃王宮の王の私室では、王のベルナルトと王の弟のジェラール・フェイバス公爵が話し合っていた。



「そろそろフィリエルに婚約者を決めてはどうですか」


「婚約者か……しかしなぁ」



 突然の弟の提案にベルナルトは渋面を作る。

 別に王族や貴族ともなれば、もう婚約者がいてもおかしい事ではないのだが、ベルナルトは今まで色々と不自由をさせてきたフィリエルには、せめて自分で決めた相手と添い遂げさせたいと考えていたのだ。



「私は心配なのですよ、このままではフィリエルが一人にならないかと。

 エリザならある程度は触れます、まだフィリエル自身に触れないにしてもこれから訓練を重ねれば可能性はあります」



 フィリエルは普段からあまり人と必要以上に近付く事はない。


 フィリエルはその強すぎる魔力故に幼い頃から周囲に恐れの目で見られていた。

 成長するにつれ色々な事を理解し始めると、次第に周囲から距離を置いた、家族でさえ一定の距離を保つようになっていった。

 傷つける事を恐れて………。


 それがジェラールには気掛かりだったのだ。



「周りから怖がられ、母から抱き締められた記憶もない……。

 フィリエルはよくグレなかったな、私なら確実にグレてるぞ」


「確かに、よくあんな良い子に育ったものです。

 しかもあの父上の下で」



 兄弟二人はうんうんと頷き合った。



「しかしお前は、フィリエルを自分の息子にしたいだけではないのか」



 ジェラールの娘のエリザがフィリエルに好意を持っているのはベルナルトも知っていた。

 ジェラール自身もフィリエルを可愛がっている。



「それもありますが、それ以上に私はあの子に幸せになってもらいたいのですよ。

 あの子に触れ、理解し、フィリエルが安心して傍に居られる者。

 強引かもしれませんが、伴侶がいる事はフィリエルにとって良い事だと思うのです」



 その声色には本心からフィリエルを案じる思いが見えた。



「エリザなら私としても嬉しいですが、チェンバレイ家の娘も良いと思います。

 性格も良く魔力も高い、将来有望らしいのでフィリエルに触れる魔力を錬れるようになるでしょう」



 チェンバレイ家ならば歴史も古く王族と婚姻も問題ない家柄だ。

 現在の当主は自分にも他人にも厳しい厳格な性格で、己の領分を理解し、王族と婚姻関係を結んでもそれを利用して、無駄に政治に介入してくることもないだろう。



「ふむ、それならばエリザとチェンバレイ家の娘を呼び食事会でも開いて、そこでフィリエルの意見を聞くとしようか」



 こうしてフィリエルが知らぬままに二人の大人によって話が進められた。








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