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試験

「だあぁ!俺はもう無理だ!」



 頭を抱えながら突っ伏すゲインの叫びが教室中に響き渡り、あちこちでクスクスと笑い声が聞こえる。



「全く、大袈裟だね。ただの試験じゃないか」


「お前は勉強が出来るからそう言えんだよ!

 俺は今回点が低かったら小遣い減らされるんだぞ!」



 ゲインの叫びの原因は数日前から始まった期末の試験だ。

 残りの試験は今日を含めて後二日だが、


 残りの二日には魔法の成り立ちを学ぶ歴史学、魔法の構成や魔法陣を学ぶ魔法構築式学、さらに古語を中心に魔法に関する学科の試験が揃っており、そういった学科は他の学科より覚えることも多く難しい。

 勉強嫌いのゲインには限界がきていた。



「普段からちゃんと授業聞いてないからでしょう。

 ねぇ、ルエル…ちゃん……?」



 ユイがルエルを見ると、ルエルは教科書に突っ伏しブツブツと喋っていた。



「もう無理、これ以上頭の中に入らない……。

 水魔法の構築式は……この魔法元素記号は……。

 うぅぅ、覚えたそばから覚えた単語が消えていく……。

 魔法で一発ドカンと職員室襲撃したら試験無くなるかしら」


「良いなそれ」


「いやいや、ダメだから」



 ルエルもゲインと同様に限界にきていたらしい。

 なにやら危ない発言まで飛び出している。


 余裕のあるユイとフィニーは二人を見てため息をついた。


 その時、教室の扉を開けて担任が入ってきた。



「おい、全員座れ。ホームルーム始めるぞ」



 Hクラスの担任のトラヴィスは癖のある黒髪で色んな方向に髪が飛び跳ねている。

 いつもダルそうにして、見た目から教師という職業はほど遠く見える。

 しかし面倒見は良いので生徒からの人気は高く、トラちゃんと呼ばれている。



「今日が終わったら休み挟んで週明けに試験の最終日だから、遊ぶならほどほどにしとけよ」



 他の教師のように勉強しろっと言うのではなく、ほどほどに遊べというあたりがトラヴィスらしく生徒からも人気な理由だろう。


 これを勉強第一のエリート集まるAクラスで言ったら反感を買いそうだが、ここはエリートって何美味しいの?っというエリートとは無縁の成績の良ろしくない者が集まったクラスだ。

 Aクラスを担当する厳しい教師と違い、トラヴィスぐらい緩い教師の方が適任と言えた。

 生徒達は、はーいと元気良く返事をする。



「それと、カーティス。

 今日の試験終わって帰る前に職員室寄ってけ、少し話がある」


「はい」



 ユイの返事を聞くと、ダルそうにしながら教室から出て行った。



「呼び出されるなんてユイ何かしたのか?」


「ゲインじゃあるまいし」


「どういう意味だフィニー」


「それより勉強しなくて良いの?もうすぐ試験始まるよ?」


「…………」



 ユイに指摘され試験の存在を思い出したゲインは、すぐさま教科書にかじりついた。


 ルエルは勉強を諦め、黙々とカンニングペーパを作成していた。

 しかし、すぐさま気付いたフィニーに全て破り捨てられる。






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