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sideフィリエル
もしかしたらほんの少しでも姿を見れないかと僅かな望みに、フィリエルは西棟に用事があるという友人兼護衛の二人について来た。
人だかりの中にその姿を探し、フィリエルは視線をうろうろと向けていると、その人だかりの中にじっとこちらを見つめている人物を見つけた。
肌身離さず身に付けているペンダントの石と同じ水色の瞳。
会いたくて、会いたくて、けれど事情により祖父から会うことを止められていた。
四年ぶりに見た小さな女の子は綺麗になっていて、フィリエルの心がざわざわと落ち着かなくなる。
もう少し見ていたかったが、用事を終えた二人が呼びに来たので後ろ髪を引かれるようにこの場を後にする。
フィリエルはもう一度、先程見ていた少女のいる場所を振り返る。
「もうすぐだ……。
もう少ししたら会いに行くから……。
それまで待っててくれ」
フィリエルの呟きは誰にも聞こえる事はなく風の中に消えた。




