*作中補足*『妄想図鑑』 No.08:腹の虫ぐうさん(ハラノムシ・グウサン)
ページをめくった瞬間、俺の脳内に響く声。
「旦那! 出番でございます!」
……おい、『鼓動』、俺はまだ呼んでねぇぞ。
ていうか『鼓動』、勝手にテンション上げすぎだろ。
■ 図鑑 No.08:腹の虫ぐうさん(ハラノムシ・グウサン)
■ 分類名
胃内浮遊型・感情同調妖精
■ 発生条件
空腹時または強いストレス下でゴクトーの腹部に「ぐぅぅ……」という音が鳴ると出現。
特に美味しそうな匂いが漂ってくると、反射的に召喚される。
■ 通称
「腹音妖精」、「ぐう感知器」、「ゴクトーの胃袋代理人」。
■ 外見特徴
丸っこい胴体と薄く透ける羽根。
豚のような鼻と唇が特徴的。
頭に立つ「食欲アンテナ」が2本あり、感情に応じて角度が変化する。
うっすらピンクに染まったほっぺたと常にぷくっとした唇。
羽ばたくたびに「ぐぅ〜」という微かな音波を出す。
背後に見える魔法陣は、食事への執着心を可視化した妄想の痕跡。
(*ゴクトーの内臓系妄想から自然発生した、食欲と感情のマスコット妖精)
■ 性格・振る舞い
ひたすら食べたい気持ちに忠実。
喋らないが腹の虫音で感情を表現する。
香りんと非常に仲が良く、よく一緒に空中をふらふらしている。
ゴクトーが落ち込んだときや集中力が途切れたときに、
代わりに怒る、泣く、笑う。
実は知性が高く、食材の危険判定や毒物検知に優れている。
(鼓動による命名根拠)。
一度「ぷく〜っ」と怒ると、説得は不可能。
■ スキル一覧
【ぐぅビーム】
空腹妄想を圧縮し、一定の「食欲圧」で敵をひるませる音波攻撃。
【ぷくふよフライト】
浮遊しながら微弱な気流を作り、空気中の香りを可視化する。
【ぺこぺこ感知】
半径20メートル以内の食物・調理中の匂いを即座に察知。
【おこぷん怒号】
感情が臨界に達すると爆発音とともに、一時的に妄想存在全体に影響を及ぼす。
■ 備考
鼻妖精・香りんとは姉妹妖精という説もあるが、分類上は別系統。
『江戸っ子鼓動』いわく「妄想界のゆるキャラ枠」であり、グッズ化を希望している。
戦闘力は皆無だが、時折ゴクトーの決断に影響を与える不思議な存在。
一部では「食神の化身」として崇められているらしい。
■ 図鑑メモ
「腹の音が鳴ったとき、何かが動き始めた。
ーーこの世界には、胃にも感情があるらしい」
ーーゴクトー(宿屋の朝、目玉焼きを前にして)。
そのグリモアは、まるで生きているかのように柔らかく、
ページの間からは微かな魔力の流れが感じられたーー。
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