*【作中補足】* 『妄想図鑑』 No.04:黒薔薇ノ黙咲(くろばらのもくしょう)
『妄想図鑑』ーーその存在は現実をも越える。
ぺたりと最初の頁を捲った刹那、背筋をつたう冷気に息を呑む。
墨のような闇の中から、紅の線画が浮かび上がった。
その輪郭は人の形をしていながら、
視れば視るほど歪み、蠢き、俺の記憶を食い破っていく。
ーーこれはただの図鑑ではない。
禁忌の“生き物”そのものだ。
■図鑑No.05:黒薔薇ノ黙咲
■ 分類名
沈黙開花型ーー深層妄想精霊。
■ 妄想発動条件
静寂の夜 × 香気過多 × 妄執の余熱。
→ 発動確率:極めて低い(ただし発現時の衝撃は最大級)。
■ 通称
「黙して咲く黒の幻影」、「禁忌に咲く死香の花」、
「精神侵蝕型ヴィジョン」とまで呼ばれる。
■ 外見特徴
黒薔薇と赤薔薇が幾重にも重なった中に、ひとつの顔。
その表情は“沈黙”そのもの。
虚ろに光る紅い瞳が、見る者の感情を“凍結”させる。
眼差しだけで言語を不要とし、威圧と色気を両立。
肌は夜に沈むような深黒。輪郭すらも不明瞭な幻想体。
(*擬態形態・静止時)
■ 内面/キャラ性
発声は一切しない。
妄想主ですら「言葉を許されぬ存在」と錯覚するほど。
感情は眼差しと花弁の動きで表現。戦闘時は花弁が刃となる。
常に“見下ろす”視線を保ち、接近者を圧迫し精神的支配を行う。
登場時の周囲には“音”が消えるという現象が発生(無音結界)。
■ 神代魔法との関連
関連呪式ーー「黒薔薇結界陣」
敵意を察知すると自動発動。
精神支配と感情封印を同時に行う高等妄想干渉魔法。
■ 発動魔法候補
「薔薇界顕現」
半径5m内の精神活動を封じ、感情エネルギーを吸収。
「紅瞳封縛」
視線を合わせた者の妄想を、一時停止状態に追い込む。
■ 備考
黒薔薇ノ黙咲は、
ゴクトーの“心が最も沈んだ時”にだけ現れる幻影であり、
普段は彼自身もその存在を封じている。
妄想図鑑内でも“最も危険な沈黙体”として、
神々から要監視対象に指定済み。
その存在理由は不明。
「トラウマ」と「禁断の憧憬」が、
混じり合って形成されたとの説もある。
■ 図鑑メモ
「……言葉が、届かない。いやーーあの眼に見られた瞬間、
俺の妄想が、ひとつ……息を止めた気がした」
ーーゴクトー(黒薔薇ノ黙咲、発現後の記録より)。
ページを閉じても、その余韻は心の奥底に残り、
俺の妄想を絶え間なく掻き立て続けるーー。
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