第六話
「なんで裏切ったんだ?」
問い詰められる。
別に理由なんてない。
僕は自分に従っただけ。
「今はその話をしているときじゃないよね、波音?
兵士達が怒ってるんだ」
僕がそういうと波音ははっと気持ちを持ち直す。
冷静に周りの分析をしているようだけど……まだ甘いな。
仕方ない。
僕がやろう。
両腕を刃へ変え、残った兵士達に襲い掛かる。
僕にとってたった二十人程度の命を奪うなんて軽いもの。
勝負は一瞬でつく。
「改めて聞くぞ?
なんで裏切ったんだ?」
闘いが終わってすぐに彼は聞きなおしてきた。
嗚呼全く。
顔についているであろうねっとりした血液がうっとおしい。
払い落とし、左手を振る。
飛び散る血しぶきが床に模様を作る。
彼の瞳に真正面から見つめられ僕は少しはぐらかしてみることにした。
「裏切ったって言うのは、僕が波音達を裏切ったほうかな?
それともこの連合郡を裏切ったほうかな?」
完全なるすっとぼけだ。
案の定彼は少しイラッとしたらしい。
むっつりとした顔になり
「後者のほうだ。
あのまま行けばお前は自分の存在価値というのを見出せたのかもしらないんだぞ?
それをなんでわざわざ棒に振ったんだ?」
そういってきた。
存在価値……ね。
僕は波音に少しだけ微笑みかけると声色を変えた。
「あいつは…波音を…蹴りやがった」
あいつは君を……シャロンを。
蹴りやがった。
「ただそれだけのことだよ」
ただそれだけの事。
そうそれだけの事。
僕はそのまま波音の側を通り過ぎ、二人の最終兵器の所へ行った。
助け起こした最終兵器は僕に怪訝な目を向けてくる。
「僕達はこいつをみかたとして認識してもいいのか?」
そしてこれだ。
喉元にレーザーが付きつけられた。
まぁ仕方ないかもしれないね。
僕の事を百パーセント知れなんて言わない。
だけど……。
「女としての喜びを知りたくないですか?」
まだここで死ぬわけにはいかない。
生きなければならない。
そのために汚れ仕事も。
全てを引き受けた。
最終兵器……シエラは僕からぱっと離れた。
作戦は成功だろう。
まさかああいった話が苦手とはね。
確信を持って言ったわけではない。
まさか最終兵器が下ネタに弱いとはだれも思いつかないだろう。
僕自身驚いている。
「何?
どうしたの、シエラ?」
姉最終兵器が妹に問う。
「い、い、今…こいつ……ぼ、僕のこと……」
「別に、怪しいことは言ってませんよ。
ただ、犯しますよお嬢さん☆
って言っただけです」
つまりそういうことだ。
そんなことはどうでもいい。
僕は早く波音。
君に目標を達成してもらわなければならない。
早くその時が来ないか、と。
僕は。
僕はシャロンを守らなければならないから。
「波音、終わったよ!」
……。
最終兵器は扉の開け方も分からないのかな。
右の方に一応スイッチがあったんだけど……。
崩れる扉は一応五千年もの歴史を持つのだから……。
いや、いいんだけどね。
中にはごちゃごちゃしたものが入っているわけでもない。
何もない、に等しい。
台座の上に小さい薄い直方体が指みたいなものに挟まれている。
これが波音が探している記憶媒体……か。
ふーん?
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ありがとうございます。
死ぬほど恥ずかしい。
昔に書いた文章を読み返すの死にたい。
いっそ殺せ。




