キノコ鑑定
とまぁ、助けを求めてみたものの・・・あれから国境付近で一度休憩した際に、コウガは本当に森の中から怪しげなキノコを採って来た。
赤と緑の斑模様に黒いブツブツの付いた、見た目から明らかに毒が有りそうで美味しく無さそうなソレ、本当に食べる気?
他にも紫色のとか、白くて赤いブツブツのとか・・・真っ青でキラキラしてるやつなんて見た目は凄く綺麗だけど、食べて良い色してないよ?
更にはその姿をナイルとラインさんも見ていたものだから、止めるどころか話が大きくなっちゃったんだけど。
現状の説明からすると、私達は国境に一番近い所にある町の宿で一泊し、明日ウールズへと入国予定。
国境付近で交易が盛んな町だからか、宿もなかなかしっかりした綺麗な造りの宿だ。
そんな宿の一室で、私はナイルとラインさんに改めてスマホの機能を説明しているところ。
「へぇ。ヒトヨミの鏡は聞いた事あったけど、これは更に凄いね」
「そうですね。写しとる?というのがよく分かりませんが、要するにこの魔道具越しに見るとそのものの鑑定が出来るという事ですよね?」
ナイルが感心したように声を上げ、ラインさんは私の拙い説明を簡潔に纏めて確認を求めた。
「だいたいそんな感じです。撮すっていうのは・・・こんな感じで絵みたいに風景を保存出来る機能で―――」
そこから実際に採ってきたキノコを使って写真の説明をしながら、一つ一つキノコの毒性を調べていく。
赤と緑の斑模様に黒いブツブツキノコ
『有毒 症状:腹痛や嘔吐 処理すれば食用可』
紫色で細長キノコ
『有毒 症状:痙攣、顔面麻痺 食用不可』
白くて赤いツブツブキノコ
『猛毒 症状:皮膚の爛れ、呼吸困難 食用厳禁』
真っ青でキラキラキノコ
『無毒 食用可だが取り扱い注意』
コウガさん!?絶対食べちゃ駄目なキノコ混ざってますよ!!
危ない!この白くて赤いツブツブのキノコは絶対に食べちゃ駄目なヤツだ。
でも、見た目が一番アレな赤と緑の斑模様に黒いツブツブのキノコが一番マシとか、意外というかなんというか・・・。まぁ結局どれも毒キノコなんだけどね。
「スゴ・・・本物そっくりの絵を一瞬で写せて更に鑑定まで出来るなんて、やっぱり姫のソレって規格外も良いトコだよね」
「えぇ。性能が良過ぎるだけに心配にもなりますね」
「え?」
ラインさんが難しい顔をしてスマホを食い入るように見つめているのは、それって私がスマホを使って善からぬ事をするかもって疑われてる?そうだったらちょっと、いやかなり悲しいかも・・・。
「こんなモノがあると知れ渡れば、シーナさんを狙う輩が更に増える、という事です」
「あ、そっちですか」
良かった、疑われて無かった。寧ろ心配してくれたのに、私が疑ってすみません!
「他に何か?」
「いえッ!なんでも無いです。でも、その辺の対策はちゃんとしてるんですよ?これを使うには私がロックを解除しなきゃいけないし、盗まれても多分手元に戻ってくるはずなので」
まぁ、盗まれた事が無いから確証はまだ無いけど、盗難対策としては十分でしょ。
「でも、それだと姫が拐われない?」
「そうですね。どちらかと言えば、錬金術師な上に容姿だけでも狙われ易いシーナさんに更に付加価値が有ると分かれば・・・危険極まりないでしょうね」
「え?あー・・・それは、考えてませんでした」
確かにスマホは盗まれても大丈夫だけど、拐われて強要される危険があるのか。でも、容姿だけでも狙われてるの私?何故?
「ですから、気を付けて下さい。本当に。この魔道具も極力人前では使わないように」
「そうですね。気を付けます!」
真剣な表情のラインさんにそう念を押され、私もしっかりと頷く。元々スマホはこの世界の物じゃないから気を付けてはいたけれど、もっと注意しないとね。
「それで、今みたいにコレで人を写し取ると、普通のヒトヨミの鏡じゃ見えない、自分以外のステータスも見えるって事なんだよね?」
私の危機管理能力が少しだけ向上した所で、ナイルがスマホをヒョイッと持ち上げて興味深そうに眺める。
――――――カシャッ
すると、カメラのままになっていた所為で意図せずシャッターが切られる音がする。
「あれ?ごめん、なんかしちゃったかな」
突然の音に驚いたナイルが、慌てて私にスマホを返してくれたけれど、どうやらシャッター部分に指が触れて写真を一枚撮ってしまったらしい。
「写真、絵を写し撮ったみたい。えっと・・・あッ・・・」
そこに写っていたのは、ばっちりカメラ目線のナイルとラインさんの横顔。
ということは―――
ピロリン♪
新しいデータを取得しました
あーッ!!やっぱり!
私が不用意にナイルにスマホを渡した所為で、また本人の同意無しに個人情報を読み取ってしまった。
「どうしよう。ナイルとラインさんが写っちゃったみたい。二人の個人データが保存されちゃった」
私がそう言うと、ナイルはおぉッ!と少し嬉しそうにしたものの、ラインさんの肩がピクリと震えた。
そりゃそうだよね。個人情報を他人に勝手に見られる状態なんて気分の良いものじゃ無い。
「あのッ絶対に見ませ―――――」
「ねぇ姫。僕の情報ってどうやって見るの?」
「え?えっと」
慌ててラインさんに「見ません」と言おうとしたけれど、嬉しそうに尋ねて来るナイルに遮られて言葉を飲み込んでしまった。
「この画面でここの・・・ナイルの顔の所を押して―――」
個人情報は見ない様にしながらスマホの操作を教えてあげると、しげしげとそれを眺めたナイルがぱぁッと顔を輝かせてスマホ画面を此方に向けた。
「見て、ココ!姫のナイトで旦那候補だって」
「ちょっとナイル!個人情報だよ?そんなに簡単に見せちゃ駄目だよ」
「うん?姫に見られて困る事なんて僕には無いから大丈夫。寧ろ見て欲しい」
「そういう、もの?」
「そういうもの」
実際、私も興味が無い訳では無いのだ。それに話が脱線し過ぎているけれど、この機能が使えれば皆が遠くに居てもポーションを届けられる。
「じゃあ、遠慮無く―――」
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名前:ナイル
性別:男 種族:鬼人族
伴侶:シーナ・アマカワ(仮)
年齢:36歳
職業:シーナ・アマカワの騎士兼旦那候補
体 力:1002/1002
魔 力:1200/1200
攻撃力:86 敏捷:105
筋 力:78 耐力:93
知 力:117 運:65
技能:槍術 話術 鉱石鑑定 鉱石感応
魔法属性:【星】
状態:健康
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え、何それ?私が伴侶(仮)で、ナイルの職業が私の騎士で旦那候補?誓いの輪の所為だろうけど、こうもはっきり書かれると妙に意識しちゃうんですけど!?
いやいや、そこは気にしない。気にしたら負けだぞ、私。
そッそれで、後は・・・へぇ、ナイル槍が使えるんだぁ。使ってる所まだ見たこと無いよね?
魔法属性が【星】って、壮大過ぎない?
こんなガッツリ見ちゃってから言うのも何だけど、気になる所が多過ぎは?




