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シーナの錬金レシピ  作者: 天ノ穂あかり
レシピ5
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ウールズへの道中

 予定していた旅程を数日過ぎたものの、こうして私達はミーミルを発ちウールズへと出発した。

 ミーミルの首都オーディンからウールズの国境までは馬車で2日程で着くらしい。

 この大陸にある国は中央に(そび)える神掛山の星形に延びた裾野に沿って国が別れているので、裾野付近の町から国境までは然程遠く無いのだ。


 黒豹騒ぎで封鎖されていた森の中の街道を何事も無く進みながら、私は道中馬車の中でせっせと錬金術に勤しんでいた。

 本当はポーションの錬成もしたい所だけど、流石に揺れる馬車の中では出来ないから、今はコウガの服作り。

 いや、本当は出発前に作ろうと思ったんだよ?

 でもいざ錬成と思った時に、服は全然問題無かったんだけど・・・下着が、ね?新品ならいざ知らず、洗濯済みとはいえコウガに「貸して」って言い難かった訳よ。

 だからこの際一から作ろうって事で、メイリンに生地を売っている所を紹介して貰って一緒に買い物に行ったのだ。

 まぁ、そのお礼って事で昨日はメイリンの服やら下着やらを、ああでもないこうでもないなんて言いながら楽しく錬成してたら1日終わっちゃたんだよね。

 だからコウガと馬車に乗っている今、漸く錬成を始めているというわけ。

 今回用意したのは綿の生地と魔蜜蜂の胸毛、それからコウガ(獣型)のお腹のフワフワした所の毛。ちなみにこの毛は出発前にブラッシングして入手しました。

 先に錬成した服の方は黒豹の毛皮を使ったけれど、下着なら魔蜜蜂の胸毛の方が肌触りが良さそうだったんだよね。メイリンの評価も上々だったし。


「よし!じゃあフェリオ、お願い!」

「はいよッと」


 ――――――シュゥゥゥゥゥゥ・・・


「うん。出来た」


 白のTシャツと黒のパンツというシンプルな下着だけど、肌触りは抜群。なかなか良い出来だと思いながら、Tシャツの間にサッとパンツを忍ばせるようにして畳み、ワンセットにしてからコウガへと渡す。


「はい。これで全部錬成服が揃ったから、また()()着替えて、試してみてね」


 早速シャツのボタンに掛けられたコウガの手をギュッと掴んで止めながら、"後で"の部分を強調しながらニッコリと手渡すと、コウガは少し残念そうに受け取ってくれた。

 今はダメに決まってるでしょ!?密室!近距離!全裸、ダメゼッタイ!!


「助かル。毎回服着るの面倒だったんダ。ありがとウ」


 うん。私の心臓の為でもあるから、全然気にしないで。

 ()()()()()()はこれできっと無くなるはずだから。


「どういたしまして。あと何着か作っておくから、着替えが必要になったら言ってね」

「分かっタ」


 コウガの満足そうな様子を確認した後、スマホから残りの材料を取り出すと続けてあと数着ずつ同じものを錬成していく。


「そう言えバ・・・」


 そんな私の様子を見ていたコウガが、思い出したように口を開いた。


「森デ、解毒のポーションが降ってきたアレ、シーナがやったのカ?」


 解毒のポーション?

 ・・・そうだった!あの後衝撃的な出来事が多過ぎてすっかり忘れてた。


「一応、そう・・・だと思う?」

「一応?だと思う?なんだよソレ」


 曖昧な私の答えにそうツッコんだのはフェリオだった。いや、私だってよく分かって無いんだから、仕方無いでしょ?

 だから、よく分からないながらもその時の状況をスマホの画面を見せながら説明すれば、そんな私の努力も虚しく二人は揃って首を傾げてしまう。


「ウーン?」

「毒の表示が出て、ポーションを使うかどうか聞かれて、"はい"を押したら飛んでった?」

「そう。スマホからポーンッて」

「ポーンッてって・・・」


 だってそれ以外説明の仕様がないんだもん。


「急に出来る様になったのカ?」

「うん、多分。でもポーションが必要になる事なんて今までそんなに無かったから、今のタイミングで出来る様になったのか、分かったのが今だったのかは分からないんだよね」

「そうカ・・・取り敢えズ、試してみるカ?」

「試す?」

「そうだな。話を聞くだけじゃよく分からないからな。実際に再現してみるしか無いだろ」

「再現っていっても、ここじゃよく分からないよ?」


 馬車の中ではあの時の状況を再現するには狭過ぎるし、今はポーションも必要無いし。


「次の休憩の時にでも実験してみるか」

「そうだナ」

「問題はどうやって毒状態になるかだけど」

「それなラ、この辺りには毒キノコが多イ。それを使おウ」

「おッ!それいいな」


 実験と聞いて私が二の足を踏んでいても、フェリオとコウガだけで話がどんどん進んでいく。


「待って!わざと毒を食べるの?そんなの危ないよ。もし私の解毒ポーションが効かなかったらどうするの!?」

 

 確かに遠くにいる人にポーションを届けられたら凄く便利だし、それがどういう条件下で使えるのか確認しておく必要もあるとは思う。でも実験の為にコウガを危険に晒すなんて出来るわけが無い。それなのに・・・


「シーナのポーションなら問題無イ」

「心配なら毒性の弱いキノコを使えば大丈夫だろ」


 いやいや。私の精神衛生が大丈夫じゃ無いから!私を信頼してくれるのは嬉しいけど、もしうっかり猛毒キノコに当たって、私のポーションが効かなかったら危ないし、毒性が弱くたって身体に悪い事に代わりは無いのに。

 誰か~二人を止めて下さい!!

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