第92話 よく当たるのは悪い予感
今日は終業式。
耳かきをしてもらってからも悟は特に何の行動も見せることなく今日で二年生が終わってしまう。
まあ、二年生が終わること自体は別にどうってことは無いんだけど。
今の今まで悟が何の行動もしないって言うのが不思議で仕方がない。
だが、どれだけ警戒してもあいつが何の行動も起こさないのなら手の打ちようがない。
「今日は後藤さんに送ってもらうんだけど空は本当に別行動するの?」
「ああ。少しだけ用事があってね。もちろん一人で危ないことをする気はないから安心してくれ」
「空がそういうなら信じるわ。でもあなた危ないことはする気なのね?」
「なんでそう思うんだ?」
「《《一人で》》危ないことはしないのなら二人以上でするのかなって思っただけよ」
本当に勘が鋭すぎじゃないか?
全くこの子には絶対に嘘はつけないな。
「バレたら仕方ないけどそんな感じだ。万が一の可能性を考えて行動するだけだし今回は安全対策を万全に取ってるから安心してくれ」
「空がそう言うのなら信じるわよ。頑張ってきてね」
「ああ。じゃあ行ってくる」
◇
「今回は私のことを頼ってくれたんすね」
「まあね。前回散々叱られたから一人では絶対に行動しないって決めたんだ。だから七海さんを頼った」
「少しは成長してるみたいで何よりです。私はいくらでも協力しますので。私本来の仕事でもあるので」
「本来の仕事?」
「秘密です。詮索はやめて早く行きましょうか」
七海さんに促されるままに俺は目的の場所に向かった。
俺の予想が正しければあの場所に現れるはずだ。
そうじゃないほうがいいんだけどあいつの性格上高確率でやってくる。
◇
「あれ? どうしてお兄がこんなところに? それも七海ちゃんと一緒に。もしかして浮気?」
「なわけあるか。それに七海さんは俺のことを散々好みじゃないって言ってたの知ってるだろ?」
「確かに! じゃあ、 なんでお兄たちが私の高校にいるの? しかも永遠姉さんいないし」
「まあ、事情は帰ってから話すしいったん家に帰ろう」
「そうっすね。家に着いたら私と空先輩で事情をお話ししますから」
美空は少し不審な顔をしてたけど納得してくれたのか頷いて歩き始めてくれた。
聞き分けの良い妹でお兄ちゃんは大変助かっています。
「ちょっと待ってくれや。お兄ちゃんがた」
はぁ~どうやら今日の俺の予感は当たってしまったらしい。
全くなんで悪い予感ばかり当たってしまうのか。
本当に嫌になってくる。
でもこうなるってことは来てよかったってことだよな。
「なんですか? というかあなたたちは誰ですか?」
少し人気のない場所に差し掛かったあたりで複数の男に声をかけられた。
そこに悟の姿は無い。
どうやら手勢をそろえていたらしい。
「そんなことはどうでもいいんすよ。そこにいる女の子をこっちに渡してくれません? そうすれば平和にこの場を収められるぜ?」
「いいわけないだろ? こいつは俺の妹だ。顔も名前も知らないあんたに渡すと思っているのか? 頭大丈夫か?」
「言うねぇ~じゃあこっちも実力行使させてもらうけどいいよな?」
「好きにすればいいんじゃないか? 七海さん美空を頼む」
後ろをちらっと振り返って七海さんに美空をお願いする。
五対一か。
まあ、七海さんに美空を任せたし警察にも通報は行くだろうから少しの時間を稼げばいいだけ。
今回の相手は凶器も持ってないし瑠奈の時に比べれば幾分か楽だな。
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