第85話 精神病院の中で
「堀井さんの様子はどうですか?」
「ダメですね。まともな会話ができません。ずっと何かをつぶやいてるんですけど聞き取れません」
「やはりそうですか。どうしたらいいものか。まだ若いから更生できるならさせてあげたいんだけどね。あの様子じゃあ聞き入れてくれないだろうし」
「ですね。というかそろそろ本格的な検査をしないといけませんね」
「そうですね。前の病院は検査をする前に脱走されたらしいですし今回はしっかりしないと」
「はい。もう少しで準備ができますので検査を開始しましょうか」
「お願いします。私も準備ができ次第すぐに向かいますので」
「わかりました。よろしくお願いしますね先生」
◇
「あはは、きっとあの人があの魔女を殺してくれる。そしたら目が覚めて彼は私たちの所に戻ってきてくれるはずなんだぁ~あはははははは」
「堀井さん? 大丈夫ですか?」
「あはははは~いつになったら魔女は死ぬのかなぁ~私の空。早く戻ってきてねぇ~うははあはははあはあ」
「先生発作です。早く鎮静剤を!」
「わかりました」
先生はとっさに鎮静剤を打ち込んで堀井さんを眠らせます。
この病院に来てから彼女はずっとこんな様子で何かを話したと思ったらぼそぼそと話すかもしくは笑い声をあげて発作を起こすかの二択なのでなかなか検査が進みません。
「彼女一体何をすればここまで精神状態がおかしくなるんですか? はっきり言って異常ですよ。女子高生がここまでおかしな精神状態になるというのは」
「ですね。あまり詳しい資料は無いんですけど、どうやら同級生に元カレの恋人を襲わせたりしていたらしいです。何故そうしたのかは不明ですが」
「なんにせよ一応検査はできましたね。あとは数人の先生方と話し合って病名を割り出す必要がありますね。私一人だと判断は難しいので」
「先生は今のところ病名は何だと思いますか?」
「統合失調症の可能性が極めて高いかと。たまに幻聴や幻覚の症状がみられますし。他にも深夜にいきなり徘徊を始めると言った例もありますので」
「そうですか。わかりました」
統合失調症とはまたかなりすごい病気ですね。
普通に生活をしていれば高校生の女の子がかからないと思うんですけど。
それほどまでに何かつらい経験をしたのかそれとも他に何か原因があったのか。
わからないですけど。
そういえば、警察からの調査依頼もありましたね。
たしか、脱走後の約三日間どこに潜伏していたのか調べてほしいという内容でしたね。
そんなの無理に決まってるじゃないですか。
あの状態では何を聞いてもまともに答えられないでしょうし答えられたとしてもそれがどこまで真実かわからないのですからね。
◇
「ふふふっ空。絶対に取り戻すから。絶対にあなたを私だけのものにね」
あの魔女はきっと彼らがどうにかしてくれる。
ふふふふふ、逃げられると思わないでね。
準備が整ったすぐにでも殺しに行ってあげるからねぇ~~
「ああははははははははっはは」
◇
「また何かつぶやいた後に叫び始めましたね」
「ああ、やはり何かの幻覚を見ているのか幻聴を聞いてるのかもしれないな」
「どうします?」
「とりあえず放っておけ。今の私たちにできることは無い」
「わかりました」
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