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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第79話 過去の夢

「空君! 空君ってかっこいいよね」


「わかる。本当に理想の男の子って感じ!」


「あはは」


 その光景を見て俺は確信する。

 これは夢だ。

 それも小学生のころの夢。

 どうしてわかるかって?

 これは俺が過去に経験したことをその通りに再現された夢だからだ。

 明晰夢っていう奴なんだろうか。

 意識と記憶はあるのに体や発言は思い通りに動かない。

 機械のようにただ昔に起こった出来事を再現しているだけの夢。

 でも、それは本当に不愉快で忌々しくて。

 最近は見て無かったのになんでいきなり。


「簡単か」


 声にならない声のようなものを夢の中で発する。

 最近は学校で下級生の女子生徒に囲まれたりしたからきっと昔の記憶が刺激されたんだろうな。

 全く迷惑な話だ。


「それに比べて、妹さんは、ねぇ?」


「わかる。なんで空君の妹なのに出来が悪いんだろうね~」


 そんな美空をバカにする声が聞こえる。

 小学校に上がってからずっと俺にくっついていたから目をつけられたんだと思う。

 いつしか美空に対する罵倒やいじめのような物が始まった。

 俺のせいで美空がいじめられてると知ったときは死にたくなるくらいに自己嫌悪したな。

 ま、そのあとは美空にそんなことをした連中とは縁を切ったし。

 虐めたてやつらにほんの少しばかり復讐もしてやった。

 思い返してみればこのくらいから美空は俺に異様に懐くようになったんだったっけ?


 ◇


「……はぁ」


 目が覚めてもさっきの夢の内容を忘れることができなかった。

 普段の夢は忘れてるのになんでこういった嫌な内容は頭にこびりつくのか。

 全く不愉快だな。


「……そろそろテストか」


 最近はいろいろあって忘れてけどもうそろそろテストだ。

 二年生最後の学年末テスト。

 進級できなくなるほど悪い点を取るつもりはないけどもう少ししっかりやらなければ成績に大きな影響を与えそうだな。


「永遠と同じ大学に行くためにも頑張りますか」


 せっかく恋人になれたのに同じ大学に通えないなんて辛すぎる。

 そんなことになったら怒られるでは済まされなさそうだ。


 ◇


「そろそろテストだけど空は大丈夫そう?」


「う~ん、まずまずかな。赤点とかは絶対ないだろうけど高得点を取れるかどうかって言われたらちょっと怪しいかな」


「なるほどね。まあ、今回の範囲は難しいものね」


「そうなんだよ。特に数学。あんなの意味わからない」


 俺は自分で自分を文系だと思っている。

 だから、というわけでもないんだけど数学とか物理は大の苦手だったりする。

 英語とか国語は得意なんだけどなぁ。


「ふふっ、その気持ちはわかるわよ。あんなの社会に出たら使わないでしょ。と思うけど学校の教科である以上今必要なのだからやらないといけないのよね」


「そうなんだよね~俺も頑張らないと」


「いい心がけね。それよりも美空ちゃんの方は大丈夫かしら?」


「さあ? でもあいつは努力できる奴だから。きっと永遠に教えてもらったところを復習とかしてるだろうさ。まあ、テスト前にもう一回くらい勉強会を開いてもいいかもしれないね」


「そうね。じゃあ、杉浦さんも誘って四人で勉強会をしましょうか!」


「だね」


 こうして俺達四人で勉強会をすることが決まったのだった。


 ◇


「うへぇ~こんなのわかんないよ~」


「美空ちゃんここはね、この数字をここに代入して……」


「空先輩、美空さんって勉強が苦手だったんですね」


「ああ、頭は悪くないんだけどあいつ勉強が嫌いだからな」


 今までほとんど勉強していなかったつけが今になって回ってきているのだろう。

 まあ、美空ならやればできると思うしそこまで心配はしていないけど。


「にしても、こうしてみると永遠先輩と美空さんは姉妹みたいですね?」


「わかる。見てて尊い」


「何言ってんすか……」


 少し引かれてそうだけど本当にそう思うのだから仕方があるまい。

 恋人と妹が和気あいあいとしているのを見ると心がほっこりする。

 昔とは大違いだな。


「……先輩? 顔色悪いですよどうかしたんですか?」


「ん? いやなんでもない。ちょっと疲れただけだ」


「にしては顔色が悪すぎますよ? 少し震えてますし。本当に大丈夫ですか?」


「ああ。大丈夫だ。心配かけて悪い」


 そこまで体調は悪くないんだけどな。

 どうやら俺は今まで目を背けていただけで何一つ克服なんてできていなかったようだ。


「永遠先輩ちょっと空先輩やばそうなんですけどどこかで休ませてあげられませんか?」


「空? 大丈夫なの?」


「……実を言うと結構不味いかも。なんか震えとまんないし冷や汗もやばいから」


「わかったわ。とりあえず私の私室のベッドに寝かせるわね。ほら行くわよ。支えてあげるから」


 永遠に体を支えられながら永遠の私室のベッドに横たわる。

 くそっ。

 全然治ってないじゃないか。

 自分が情けなくて仕方がない。


「一体何があったの? それただの体調不良じゃないでしょ」


「……聞いてくれるか?」


「もちろんよ」


 ◇


「お兄どうしたのかな?」


「あの様子は少し普通ではなかったっすね」


 呼吸が浅くなってたし発汗もしてた。

 ただの体調不良じゃないと思う。


「美空さん少し聞きたいことがあるんですけど」


「なに?」


「空先輩の過去について教えていただけませんか?」


「……」

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