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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第76話 お兄いい加減にしてよ!

 永遠とイチャイチャしてから自分の部屋に戻ろうと部屋を出るとすぐそばには美空がいた。


「どうしたんだ? こんなところに突っ立って? というか七海さんは?」


「七海ちゃんは少し前に帰ったよ。なんか急用があるとかで」


「そうか。七海さんはなんやかんや言って忙しそうだからな」


 最近は俺が厄介ごとを持ち込むからなおさらだろう。

 なんだか申し訳ない。


「そうだね。それよりも少し話があるからお兄の部屋に入れてもらってもいい?」


「ああ。もちろん。というか合鍵持ってるんだから入っとけばいいのに」


「あはは、確かにそうかも。完全に忘れてたよ」


「おっちょこちょいだな。んじゃ行くか」


 にしても話って何だろう?

 永遠がいるところで話さないということは永遠には聞かせたくないことなのだろうか?


 ◇


「お兄! そこに正座しなさい」


「……へ?」


「聞こえなかったのかな? せ・い・ざ……して?」


「……はい」


 なんだか既視感を感じる状況に冷や汗が背中を伝う。

 いや、ちょっと待て。

 この怒りようもしかして……


「七海さんから聞いたよ? お兄瑠奈姉と会ったんだってね? しかもそれを予想してたとか」


 七海さん、君俺を売ったな???

 美空にあのことだけ話してさっさと逃げたな?

 くそっ、七海さんは忙しいんだろうなと思った俺の心を返して欲しい。


「えっと、はい」


「で、多分だけどさっきまで永遠姉さんに怒られてたんでしょ?」


「……はい」


「怒られた後で悪いけど今からは私がお兄をお説教します。今回は私も割と本気で怒ってるから長くなるね。でもお兄が悪いから甘んじて受けてね?」


「わかりました」


 これまでで見たことのない笑みを浮かべている美空の説教が始まった。


 ◇


「まずお兄は頭がおかしいわけ? 狙われてるのはお兄と永遠姉さんなのになんで当事者のお兄が行くわけ??? 警察とか他にも頼れる場所や人がいたよね? なんでいつも一人でやろうとするのかなぁ?」


「それは……」


「答えなくていいよ。何となくわかるし。どうせ誰かに迷惑をかけたくないとか自分と瑠奈姉の問題だからとか考えてたんでしょ? どうせ」


「……」


 美空の言っていることが完璧すぎて何も言葉を発せない。

 誰かに迷惑をかけたくないと思ったのもそうだし瑠奈との問題は自分で解決したかった。

 今回の件についても完全に俺のエゴだ。


「人が簡単に変われないのはそういう所なんだよね。私はお兄の妹として今年で17年目になるからさ、多少はお兄自身がわかってないことをわかってるつもりでいるの。だからねお兄は今でも自分のことをどうでもいいって思ってるんでしょ。最悪自分一人が死ねばどうにかなる。とかさ。いつまでたってもお兄は自己評価が低いんだよ。永遠姉さんに言われて多少治ったと思ってたんだけどやっぱり簡単には変われないね。人間って」


 言われて気づく。

 確かに俺は今まで自分のことを度外視していた節がある。

 今まで全く意識してなかったけどそう言われたらそうなのかもしれない。


「いい加減気づいてよ。お兄のことを大切に思ってる人がいるのにお兄自身が自分を傷つけてどうするの! お兄がしてることはお兄を大切に思ってる人たちに対する侮辱だよ。いっつも自分を卑下して自分で自分を見下して何がしたいの? いい加減その行為に意味なんか無いって気づいてよ。その行為をすることでお兄が大切に思ってる人が傷ついてることに気づいてよ! もし今回の件でお兄が帰ってこなかったら私、わたしぃ……」


 美空は泣きながら俺に抱き着いてきた。

 その姿をみて改めて俺がどれだけ美空に心配をかけていたのか自覚する。

 勿論美空だけじゃなく永遠にだって。


「本当にごめん。ごめんな。美空」


 自然と涙があふれてくる。

 なんでなのかは自分でもわからない。


「お兄が自分を信用できないっていうならお兄を信用してる私や永遠姉さんを信じてよ。それならできるでしょ。それともお兄は私たちのことを信用できない?」


「まさか、2人のことが信用できないなんてことは無い。あるわけない」


「じゃあ、これからは自分を卑下しないで。自分を傷つけないで。約束できる?」


「わかった。今まで心配かけて本当にごめん。ずっと心配かけてたよな」


「そうだよ。まあ、そんなお兄の面倒を見るのも私の役目だから。でも、次は無いからね」


「わかった。本当にごめん」


「もういいよ。じゃあ私は部屋に戻るね」


「送ってくよ。といっても距離は近いけど」


「ありがと~」


 俺は美空が退いてから正座をやめて立ち上がる。

 そのまま部屋を出て美空を部屋まで送った。


 ◇


「これでわかってくれるといいんだけどな」


 お兄に部屋に送ってもらった後私は自分のベッドにうつ伏せになりながら考えていた。

 昔からお兄は自分を大切にしてなかった。

 でも、最近は目に余るのだ。

 瑠奈姉に浮気されてからお兄の破滅願望? みたいなのが強くなった気がする。

 いつも自分のことを優先して考えない。

 お兄は多分だけど今まで永遠姉さんと交わした約束を破ったことがあるのかもしれない。

 でも、それはお兄に悪意があったわけじゃないんだと思う。

 お兄は自己肯定感が虫けらみたいに低いから。

 自分の命<永遠姉さんに迷惑をかける

 みたいになってるから迷惑をかけないようにって行動してるんだと思う。

 この思考が完全に素なんだからたちが悪い。

 普通の人間は自分が第一優先のはずなのにお兄はそうじゃない。

 優先してるのはいつも自分以外でその人のためならお兄は自分の命を簡単にかける。

 かけてしまうのだ。

 普通は何かを天秤にかける時自分自身が天秤のはずなのにお兄は自分を天秤に乗せてしまう。

 そして簡単に自分を切り捨ててしまうのだ。


「今日の話でお兄が少しでも私の気持ちをわかってくれたらいいんだけどな」


 これ以上お兄に自分を傷つけてほしくない。

 幸せになってほしい。

 だから、これ以上《《自分を嫌わないで欲しい》》。

 私はそう思うのだ。

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