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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第64話 消息不明の藤田悟

「先輩の人気もやっと落ち着いてきたっすね」


「本当にね。今まで昼休みに移動するときに毎回囲まれてたから大変だったよ」


 遊園地に行った翌週の月曜日

 俺は七海さんと会話をしていた。

 こういう時間はあんまり嫌いじゃない。

 七海さんは信用できるし話していて普通に楽しいからだ。

 美空も永遠も信用できるんだけど迷惑や心配をかけたくないから少し取り繕ってしまうのだ。

 まあ、七海さんに迷惑をかけていいというわけでもないんだけど。


「本当にすごい人気でしたよね~何人の女の子から連絡先聞かれたんですか?」


「覚えてないよ。ていうか、誰一人として連絡先は交換してないし」


「え!? 交換しなかったんすか? もったいない。あんなにいろんな女の子から連絡先聞かれてたのに」


「そもそも、あの噂を鵜呑みにしていたような人たちとは交換したくなんかないしね」


 あの噂が流れたとき俺に手を差しだしてくれたのは永遠と美空と七海さんだけだった。

 それ以外の人はうわさを鵜呑みにして俺のことを責めていた。

 責めていなくとも陰口を言っている人間がほとんどだったのを覚えている。


「ま、それもそうですよね。それで今日は何か用があるんですか? 最近はよくお昼に話してる気がしますけどもしかして私のこと好きになっちゃいましたか?」


「いや、そういうわけではないんだけど。以降何かわかったことはあるかなって思ってね」


「なんだ。そんなことでしたか、残念」


「絶対揶揄ってるでしょ」


 七海さんは俺を揶揄って遊んでいる節がある。

 それは永遠も同じなんだけど 七海さんはそれなりに頻繁に俺のことを揶揄ってくる。

 揶揄われることは嫌いではないけどこういう恋愛関係を匂わせてくる揶揄いはあんまり好きじゃなかったりする。


「どうでしょうか? それと進捗ですけどいまだに消息は不明です。家にも帰っていないようで今となってはどこで何をしているのか全く分からない状況ですよ。ここまでくれば逆に危害なんて加えてこないかもしれないっすね」


「そうだといいんだけど」


 危害を加えてこないようであれば悟のことなんてどうでもいい。

 あいつがどこで野垂れ死んでいようが俺にはもう関係のない話だ。


「そんな感じです。また何かわかったら報告しますね」


「お願いするよ」


「話が以上なら先輩は早く天音先輩の所に行った方がいいのでは?」


「そうだね。じゃあ、また」


「はいっす」


 七海さんは元気に挨拶をして教室に戻って行った。

 今思えば七海さんも俺がひどい目に遭っているときに助けてくれたうちの一人なんだよな。

 なんだか忘れてしまいそうになるけど、七海さんも俺のことを助けてくれた数少ない人間なんだ。

 その後に酷い事件に巻き込まれはしたけど、最近かなり動いてもらっているし±で言えばプラスだと思う。


「っと早くいかないとまた永遠に怒られるな」


 最近はお昼休みに行くのが遅くなると怒られるようになったので急がねば。

 しっかり七海さんと話してくるって伝えてるはずなんだけどな。


 ◇


「やっと来たわね」


「遅くなってごめん」


「いえ、そんなに待ってないからいいのだけど何を話していたの? 藤田君の事かしら?」


 永遠は自分の席に座りながら聞いてくる。

 相変わらず永遠は勘が良くてすぐに何を話していたのか言い当てられてしまう。

 これからどれだけの時間を一緒に過ごすかはわからないけど永遠に隠し事をするのはやめておこうと思う。


「そうだよ。七海さんでも何もわからなかったみたい」


「そうなのね。もしかしたらもうどこか遠くに行っていたりね」


「だとしたら安心できるからいいな」


「そうよね。でも、気にしすぎても疲れるだけだし今のところは頭の片隅にでも置いておけばいいんじゃないかしら?」


「それもそうだね。ありがとう」


「……これくらいお礼を言われるようなことじゃないわ」


 なんか永遠の顔が赤い?

 もしかして熱があるんだろうか?


「ちょっとごめん」


 そう断わりを入れてから俺は永遠の額に手を添える。

 うん、別に特別熱いわけではないな。

 永遠に熱が無いようで安心した。


「いきなり何するのよ」


「いや、顔が赤かったから熱があるのかと思ったんだけどなかったみたい」


「……そう簡単に熱なんか出ないわよ。空は心配性なんだから」


 腕を組んでそっぽを向く永遠は少し子供みたいで可愛らしい。

 俺が言う権利はないと思うけどこれを今クラスの俺以外の人間に見られてると思うとなんだかもやもやする。

 これは独占欲なんだろうな。

 俺が永遠を独占する権利なんか無いのに。


「……? いきなり俯いてどうかしたの?」


「いや、何でもない! それよりお昼にしよう。時間に余裕はあるとはいえもたもたしてると時間が無くなっちゃうから」


「それもそうね。食べましょうか」


 永遠は一瞬考えこむような仕草ををしたけどすぐにお弁当を取り出した。


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