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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第54話 美空の相談内容

「どうしたの? 美空ちゃん」


「ちょっと相談があって今いいですか?」


「ええ、大丈夫よ。相談って言うのはストーカーの件かしら?」


「それもあります」


「それも?」


 実際私が相談したいのはストーカーのことも含まれてるけどそれ以外の相談のほうがウエイトが大きい。


「単刀直入に聞きますけど永遠姉さんはお兄のことが好きなんですか?」


「……へ?」


 そう聞くと永遠姉さんが今まで見たことのないような顔をしながらぽかんとしていた。

 まさか、いきなりこんなことを聞かれるなんて思ってもいなかったのだろうなぁ。


「……空のことは大切な友達だと思っているわよ?」


「本当にそれだけですか?」


 私は永遠姉さんが言い逃れできないようにじっと目を見つめて問い詰める。

 私から見たら永遠姉さんはお兄のことを十分好きだと思う。

 距離感もそうだし他の観点から見ても永遠姉さんはお兄のことを好いているように見えて仕方がない。


「それだけっていうと?」


「いや、異性として好きなんじゃないのかと思って」


「えええ~!?」


 私のあんまりにストレートな物言いに永遠姉さんは今度こそ素っ頓狂な声をあげて顔を真っ赤にしていた。

 めっちゃ可愛い。

 私が付き合いたいくらい。


「最近の永遠姉さんとお兄の距離感が前よりも縮まっているように見えるし。永遠姉さんも最初のころよりお兄をちゃんと見てる気がするんだよね」


「そ、それはそうかもしれないけどそれと恋愛感情はまた別じゃない?」


「まあ、その通りなんだけど。だからこうして直接永遠姉さんに聞いてみたの。それで永遠姉さんはお兄のことが好きなの?」


 多分だけどお兄は永遠姉さんのことを好いていると思う。

 というか、好きにならないほうがおかしいし。

 今更別の女の子と付き合いました~ってお兄が言ってきたらちょっと手が出ちゃうかもしれない。


「……どうなんでしょうね。正直私にも詳しくわかってないのよ。空は私にとって特別というのはわかるわ。でも、それは美空ちゃんも一緒だし。これが恋愛感情かどうか私にはわからないの」


「そっか。でも嫌いじゃないんだね?」


「それはもちろんよ。空は私のことをずっと助けてくれるし優しいし頼りにもなる。最近は空が他の女の子と話してると妙にもやもやするの。何なんでしょうねこの感情は」


 永遠姉さんは少し物憂げな表情でそう言った。

 本当に自分の感情が理解できていないんだろう。

 多分だけど永遠姉さんって恋とかしたことなさそうだし。

 嫉妬もしたことないんだと思う。

 だから、最近感じてる感情に戸惑っているってところなのかな?


「それ嫉妬じゃない?」


「嫉妬?」


「うんそう。お兄が他の女の子と楽しそうに話したり二人きりでどこかに出かけてるのを想像したらなんかもやもやしない?」


「……する」


「じゃあ、やっぱり嫉妬だよ」


 その感情は嫉妬しかないと思う。

 もしかすると今日永遠姉さんの機嫌が悪かったのは女性関係だったりするのかな?

 あり得そう。

 お兄って自覚ない癖に結構モテるし。

 顔は妹の私から見てもいいし性格もいいから人気でそうなんだよね~


「そうなのかしら?」


「うん。例えばだけどお兄が他の女の子と楽しそうに話してたりしたら不安にならない?」


「なる」


「そう言うのを嫉妬って言うんだよ」


 やっぱり今日永遠姉さんの様子がおかしかったのはお兄の女性関係とみて間違いないっぽい。

 全く永遠姉さんを不安にさせるなんてダメなお兄だ。

 多分だけどお兄は永遠姉さんのことが好きなんだろうけど自分じゃ釣り合わないとか思ってるんだろうな~

 なんかお兄らしいや。


「どうすればいいのかしら?」


「どうしようもないんじゃないかな。どうしても不安に思うなら直接お兄に言ってみればいいと思うよ。素直に言えばお兄は絶対永遠姉さんの言うことを聞いてくると思うから」


「わかったわ。ありがとうね美空ちゃん」


「いえいえ。永遠姉さんにはいつもお世話になってますから」


 それにその不安の種はお兄っぽいし。

 不甲斐ないお兄で申し訳ない。


「そういえば私からも聞きたいことがあるのだけどいいかしら?」


「なんですか?」


 永遠姉さんが聞きたい事?

 お兄関係だろうか。


「空が喧嘩に強いのはどうしてなの?」


「喧嘩ですか?」


 お兄って喧嘩強いのかな?

 あんまりそういうことをしてるのは見たことないんだよね~


「そう。この前の事件で空は三対一なのにほとんど一瞬で三人を倒したのよ。普通はできないことじゃないかしら?」


「確かに……」


 普通の人なら三人に囲まれたら勝てないと思う。

 だって二人で押さえられたら何もできなくなってしまうし、そうなったところを残った一人が殴るなり蹴るなりすれば終わってしまう。


「美空ちゃんなら何か知っていると思ったのだけど知らないかしら?」


「う~ん。確定情報ではないんですけど昔から瑠奈ねえって男子に絡まれてたんですよ。それから守るために体を鍛えてたんじゃないかと。昔はよく筋トレとかしてましたし」


「なんだか空らしいわね」


「私もそう思います」


 お兄は好きになった人のことはとことん大切にするタイプだ。

 まあ、その大切な人に裏切られたわけだけど。


「教えてくれてありがとう。美空ちゃんの相談はもういいのかしら?」


「はい、今日はこのことが聞きたかっただけなので。答えてくれてありがとうございました」


「いいわよ。それじゃあおやすみなさい」


「おやすみなさい。永遠姉さん」


 今回はあれが聞けただけで収穫だ。

 出来ればお兄と永遠姉さんがくっついてくれると嬉しいんだけどな~

 そんなことを考えながら私は部屋に戻った。

 このころにはすっかり自分がストーカーされていることなんて忘れていた。

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