第51話 頼れる相談相手
「もしもし? 珍しいっすね。先輩の方から私に連絡するなんて」
「ああ。少し厄介なことが起きてね。力を貸してほしいんだ」
「はぁ、先輩はトラブルメーカーっすね。いいっすよ。一体今度はなにに巻き込まれたんですか?」
「実は」
それから俺は美空がストーカー被害に遭っていることとしばらくの間は三人で登下校することを七海さんに話した。
「なるほどです。ストーカーとはまた厄介ですね。犯人に心当たりとかってあるんですか?」
「いいやない。というか、まだストーカーがいるって確認したわけじゃないんだよ」
「難しいっすね~一応警察に相談することを私はお勧めするっす。確かに何かが起きる前では動いて来ればいっすけど起きてしまったときに相談していたっていう事実があればいい感じに迅速に動いてくれるんで」
七海さんに相談してよかった。
やっぱりこういう事には慣れてるらしい。
「一つお願いがあるんだけどいいかな?」
「なんすか?」
「妹をストーカーしている犯人を突き止めてほしい。もちろんこれは探偵の娘である七海さんへの依頼だ。必要があるならお金も出す」
これが本当の目的。
今までの七海さんの行動的にこういうことに慣れているのは間違いがない。
だから、七海さんに犯人を突き止めてもらおうと思ったんだ。
犯人が分かればやりようはいくらでもあるからな。
「そういう事っすか。いいっすよ~」
「ありがとう! それで報酬はいくら出せばいいんだ?」
探偵に頼み事なんかしたことないから相場はわからないけど決して安くはないんだろう。
覚悟しておかねば。
「別に報酬はいらないっすよ。先輩には個人的にお世話になってるんで今回はただで引き受けますよ」
「お世話なんてした覚えはないんだが?」
「先輩にはなくても私にあるからいいんすよ。じゃあ調べるんで少し間待っててください。警察に一応相談するのも忘れないでくださいね」
そういって七海さんは電話を切った。
「とりあえずはこれで少しは安心できるか。いったん警察に相談に行くかな」
◇
「本当あの人はなんであんなにトラブルを招き寄せるんっすかね? そういう何かに愛されてるんすかね~」
電話を切ってすぐに私は考え始める。
柳先輩の妹さんをストーカーしてるのは一体誰なのか。
「真っ先に候補に出てくるのは堀井先輩っすけどさすがにそれは無いでしょう。今は確か裁判中ですし彼女は精神病院に入れられそうって聞いたんでさすがに干渉はしてこれないでしょう」
じゃあ、残る可能性。
勿論私が知らない人物の可能性だってある。
というか、そういう人物が犯人である可能性のほうが高い。
「でも、タイミング的に考えておかないとまずい気がするんですよね~」
残る可能性は藤田先輩か。
柳先輩に因縁がある相手だし性格的に絶対何かをしてくると思うんだけど今のところそう言った行動は見られない。
でも、警戒しておいた方がいいっすね。
「ま、いったん妹さんのことを調べてみるとしますかね」
私は最低限の機材をもって家を出た。
◇
「じゃあ、学校に行くか」
「そうね。準備は良いかしら美空ちゃん」
「うん! なんか二人に朝早く出てもらって申し訳ないよ」
「気にすんなよ。これくらいさ」
「そうよ。こういう時は頼っていいのよ」
2人で美空にそういう。
別に少し朝早く出るくらいなんともない。
美空の安全がそれで多少でも守られるなら全然良い。
「ありがとう!」
とりあえずは様子見かな。
俺は少しだけ警戒心を強めながら外に出るのだった。
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