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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第49話 やっと戻った平穏

「なんで庇ったんすか? 後藤さん」


 警官や加害者、学校関係者の校長や教頭が会議室から出て行った直後に七海さんがそう声を上げた。


「何のことでしょうか?」


「とぼけないでください。堀井先輩の話っすよ。最も罪を問われるべきは男子生徒三人ってあれ嘘ですよね? 教唆した堀井先輩が主犯として罪に問われる可能性が十分にあることくらいあなたならわかっているでしょうに。なのにああ言ったのは何でですか? あなたがわからないわけないですよね?」


「気に食わなかっただけですよ。いい年した大人が寄ってたかって一人の女の子に罪を擦り付けようとするその状況がね。もちろん堀井さんが悪いことは理解していますし裁判になればしっかり追及するつもりですのでご心配なく」


「ならいいんすけどね」


 後藤さんと七海さんはしばらく見つめあった後微笑んで何事も無かったかのように違う話を始めた。


「それでは永遠さん私は今から警察署のほうに行きますのでこれで。後日永遠さんも事情を聴かれると思いますのでその時は柳さんと一緒に来てくださると助かります」


「わかりました。空もそれでいいわね?」


「うん。永遠がそれでいいなら俺もそれでいいよ」


 案外何事もなく終わって少し安心してる。


「ありがとうございます。それでは永遠さんをよろしくお願いしますね柳さん」


「わかりました。任せてください」


 後藤さんはそう答えた俺を満足そうに見た後に会議室を後にした。


「私も用事があるんでこれで失礼しますね~」


「ああ、うん。ありがとう七海さん」


「では」


 七海さんもそう言い残してすぐに会議室を出て行ってしまった。


「私達も帰ろうか空」


「ああ。なんか、あっけなく会議は終わったけど大丈夫なのかな?」


「多分ね。あとは後藤さんが上手くやってくれると思うし、私たちにできることはもう何もないわ」


「確かに。それもそうだね。じゃあ、帰ろっか」


 永遠の言うことはもっともだったため、そのまま俺たちも会議室を後にする。

 素人である俺たちができることはもうない。

 下手に手を出して場をかき乱すわけにもいかない。

 でも、一つだけ気になることがあった。

 七海さんが後藤さんを知っているかのような言動だったのが気になる。

 一体どういう関係なんだ?


「まあ、詮索はよしておこう。世の中には知らないほうがいい事のほうが圧倒的に多いのだから」


「何か言った?」


「いいや何も。それよりも早く家に帰ろう。こんなところでもたもたしてても意味ないし」


「それもそうね」


 そういって俺たちは家に帰ることにした。

 これですべてが終わってほしいとそう願いながら。


 ◇


「んで、あんな目配せまでして私に何の用っすか?」


「用というほどではないですがね。あなたにもお礼を言っておこうかと思いまして」


「お礼? 後藤さんが私に?」


「ええ。その通りです」


 後藤はにっこりとした笑みを浮かべてそういう。

 昔からこの人のこういう何を考えているのかわからないところが恐ろしく感じる。

 いい人なのか悪い人なのかすらわからないんだ。


「そっすか。まあ、礼は素直に受け取るっすけど」


「そうしてください。では、私はこれで。今から警察署に行かないといけないので」


「私も行きましょうか? 証拠の動画も持ってますし」


「いえ大丈夫です。それにそれくらい私も持ち合わせていますよ」


 本当に何者なんだこの人は。

 私が予測してカメラを置けたのは、柳先輩と関わってたことが大きい。

 この人はそれもなしにどうやって証拠動画を手に入れてるんだ?

 本当に謎の多い人物だ。


「さすがですね。じゃあ、私は帰ります」


「ええ。お気をつけておかえりください」


 ◇


「ただいま~といっても誰もいないか」


「当たり前でしょ? 今はお昼前なんだから美空ちゃんが居たらそれは何かあったっていう事になるじゃない」


「それもそうか。どうする? 今日はお昼外で済ます?」


 流石にここ数日問題続きで永遠も疲れているだろうし、料理を作らせるのは申し訳ない。

 こういう時のための外食ではないだろうか?


「う~ん、今からもう一回外に出る気分でもないのよね」


「じゃあ出前でもとる? ピザとか」


「ピザ……いいわね。あまり食べたことないのよ」


「じゃあ、決まりだな。注文するけど何がいい?」


 webでデリバリーピザの注文画面を開いて永遠と一緒に眺める。


「いろいろ種類があるのね」


「うん。最近は結構種類が多いんだよね。期間限定のとかもあってさ」


「へ~意外と詳しいのね?」


「まあ、家にいたころはデリバリー取ることが多かったから一通りは知ってるな」


 母さんや父さんが家に帰ってこないこともあったから、その時はいつも美空と一緒にデリバリーを頼んでいた。

 だからか、少しだけ詳しくなってしまったのだ。


「じゃあ、これにしようかしら」


「わかった。注文しておくよ。多分30分後には届くと思う」


 注文を済ませてそれからの時間はゆっくりと過ごす。

 やっと戻ってきた平穏を噛みしめながら。

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