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恋人に浮気され親友に裏切られ両親に見捨てられた俺は、学校のマドンナに救われた  作者: 夜空 叶ト


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第47話 会議は踊らず、そのため進まず

「ちょっと待ったぁ!」


 いざ、話し合いが始まるといったタイミングで勢いよく会議室の扉が開かれた。

 そこから入ってきたのは、桃色髪の最近少し見慣れてしまった一つ下の後輩の姿。

 七海さんが満面の笑みで入ってきたのだ。


「遅いぞ杉浦。早く座ってくれ」


「は~い」


 七海さんは返事をしてすぐに俺の隣に座ってきた。


「今日はよろしくね七海さん」


「こちらこそお願いします。とはいってもあの人が来てるなら私ができることなんかないと思いますけどね」


 七海さんは少し苦い顔をしながらそういった。

 あの人って誰のことだろうか?

 まあ、昨日詮索するなと言われたばかりだから聞きはしないけど。


「では、改めましてこれより話し合いを始めていきたいと思います。議題については先日皆様にお話しした通り、堀井さん、飯田君、田中君、加藤君が起こした強制わいせつ未遂事件についてです。なお、今回の話し合いでは学校側での処分を決めるものであり、この話し合いが終わったら四名には一度警察に方に連れて行かれることをご留意ください」


 教頭がそう宣言をすると室内の空気が少し重苦しいものになった。

 加害者側の保護者もまさか警察に連れて行かれることになるとは想像もしていなかったらしく驚愕に顔をゆがめていた。


「まず、概要の説明をします。先日の放課後、堀井さんが被害者である天音さんを屋上に呼び出し、その後に他三名の男子生徒によって拘束させます。その後は堀井さんが天音さんが乱暴を受けているところを撮影してネットにばらまくという発言をしていました。あと少しで乱暴されるという寸前にここにいる柳君が助けたという顛末です」


「なんで屋上の状況をそんなに事細かく知っているのよ!」


 男子生徒三人のうちの誰かの保護者がそう声を上げた。

 まあ、妥当な疑問点だと思う。


「そこに関しましてはこちらにいる杉浦さんが動画を撮影したらしくそれが決め手で今回の事件が鮮明に分かったというわけです」


「なんで屋上にカメラなんて置いてあったのよ!」


「私は屋上から見える景色が好きでカメラを置いていたら偶然そんな映像が取れたわけですが、ご確認なさいますか?」


 七海さんは声を上げた保護者を見ながらそういった。

 その声音は確かな圧力が込められていて声を上げた保護者がすぐに怯んで座ってしまった。


「今回被害をうけた天音さんに謝罪申し上げます。この度は学校側の不手際で大変ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」


 校長と教頭はそういうと立ち上がり頭を下げた。

 学校の最高権力者たちがそろって頭を下げる姿なんてなかなか見られるものじゃないだろうな~


「並びに柳君、今回天音さんを助けていただき本当にありがとうございます。今回の事件が取り返しのつかないことにならなかったのは君のおかげです」


 もう一回二人は頭を下げた。

 こう何回も頭を下げられるとなんだか居心地が悪くなってしまう。


「いえ、自分は当然のことをしただけなので気にしないでください」


 本当に俺は自分にできる当たり前のことをしただけだ。

 そこまでかしこまって感謝されることではない。


「そして学校側としましては、今回事件を起こした四名を退学処分にするつもりでございます」


「そんな!」


「そんなのあんまりよ!」


「いくらなんでも……」


 男子生徒側の保護者は口々に喚きまわっていた。

 自分たちの息子が何をしでかしたのか、まだしっかりと認識していないのだろうか?

 流石に苛立ってくる。


「いえ、学校側のご判断は正しいと思いますよ。彼らはそれだけのことをしでかしたのですから。もちろん私の娘もね」


 声を上げたのは瑠奈のお母さんだった。

 何度も面識がある人だ。

 最近は会っていなかったが、かなり良識的な人物だったはずだ。


「でも、いくら何でも退学は……」


「そうですよね~」


「ええ」


 それでも、まだ退学という判断に納得がいかないのか保護者たちは騒いでいる。

 全くイライラするな。

 だが、騒いでいるのは保護者だけで生徒たちはだんまりだ。

 ある程度自分たちが何をしでかしたのか理解しているのか、それとも退学という言葉に身がすくんでいるのか、全く他の要因があるのかはわからないが。


「あなた達いい加減にしてくださいませんか? あなた達のご子息がしたのは学校内外関係なくただの犯罪行為です。学校側が犯罪を犯した生徒を退学にしたのは何ら間違った事ではありません。そんなことよりあなた方が考えるべきことは今後、もっと言えば裁判のことではないですか?」


 保護者達の生産性のない会話に苛立っていたのは俺だけではなかったらしく後藤さんが立ちあがってそう声を上げていた。

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